私・高瀬紗月(たかせ さつき)の婚約者・御堂圭介(みどう けいすけ)には、真っすぐで世話焼きな後輩・鷹宮真琴(たかみや まこと)がいる。真琴は彼にマッサージをしてやり、耳かきまでしてやる。下着の買い替え時期やサイズまで把握しているほどだ。私の誕生日に、圭介が私の好きな店を予約して祝ってくれる時でさえ、真琴は陰で念を押していた。【言い方悪いけどさ、甘やかされて調子に乗る人、ほんとにいるから。大事にされるのが当たり前になると、気づいたら立場、完全に逆になってる。で、痛い目見るのは、だいたいそっちなんだよ】私はトーク履歴を突きつけ、圭介を問い詰めた。けれど、彼はたいして気にも留めなかった。「真琴は率直なだけで、言い方がきついんだ。でも世話焼きで、根はいい子だよ。他の女みたいに、回りくどいことはしない」彼の煮え切らない態度に腹が立って、胸の奥が痛み、別れを切り出した。さすがに堪えたのか、圭介は顔色を変え、真琴をブロックし、もう二度と連絡を取らないと約束した。――ところが、挙式を目前に控えたある日。ようやく予約の取れたドレスデザイナーに、私がブロックされていることに気づいた。調べてみて、すぐに分かった。真琴が圭介のスマホを使い、デザイナーを罵倒した挙げ句、私の予約を勝手に取り消していたのだ。「あのドレス、正直高すぎじゃない?先輩のお金だと思うと、もったいなくて。まあ、あんたが恥かくのは勝手だけど。でも、ああいうの、あんたに似合わなくない?周りに笑われたら、先輩まで一緒に恥かくことになるじゃん。それ、見てられないんだけど」真琴は、にやにやと笑いながら眉を上げてみせた。そして――私の婚約者は、迷いなく彼女を庇うように前に出た。「心配して言ってくれてるだけだろ。そんなことでいちいち腹を立てるほうが、面倒じゃない?」……ああ、そうか。胸の奥に溜まっていたものが、すっと冷えていくのを感じた。もう、どうでもよくなった。私は黙って指輪を外し、彼の頬に向かって投げた。「もういい。結婚、やめる」「そこまでしなくてもいいでしょ、紗月。ドレス一着で、大げさすぎ。結婚なんて、ドレスが主役じゃないでしょ」真琴が、私の腕をつかんだ。彼女は圭介のほかの友人たちと同じく私より年上だが、あの連中みたいに私を「紗月ちゃん
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