車に乗り込んだ湊斗は、助手席に座らせていた男が勝手なことをしないように念を押した。「お前、嘘ついたらわかってるな?」「嘘なんてつきませんってば!本当のことしか言いません!」男は完全に彼に恐れをなしているのか、大慌てで叫んだ。その様子なら、嘘はつかないだろう。湊斗は瀬奈の元まで最短距離で向かう必要があった。エンジンをかけると、すぐにアクセルを踏んで車を走らせた。「隣町の倉庫って言ったよな?そこまで案内しろ」「は、はい……」湊斗は男のナビで車を走らせ続けた。内心焦っているせいか、急ブレーキが多く、いつもよりも運転が荒い。赤信号になると途端にイライラし出す湊斗を横目に、男は終始体を震わせていた。数十分経った頃、二人はようやく目的地に到着した。近くに車をとめた湊斗は、助手席に乗せていた男と共に車から降りた。「場所はここで合ってるのか?」「は、はい……間違いありません。この場所に里亜を連れてくるようにと……言われました」「一体誰に言われたんだよ……」「そ、それは俺にも……」湊斗は呆れた顔で彼を見つめた。雇用主が誰かもわからない状態で、そんなとんでもない仕事を引き受けるか?とでも言いたそうだった。「……」彼は何も言えないまま、ただ湊斗について行った。このような事態になるとわかっていれば、最初からこのようなことを引き受けてなどいなかっただろう。「この倉庫なんだな?」「はい、そこで待つようにと言われました。まだ中にいる可能性は十分にあります」中に犯人たちが潜んでいるかもしれない。湊斗と男は、辺りを警戒しながら倉庫へ入った。しかし、そこには既に誰もいなかった。男の顔が真っ青になった。「う、嘘は言っていません!たしかにここで約束していましたから!」「……」湊斗は倉庫の中を見回し、ため息をついた。「……一歩遅かったな」湊斗は苛立ちを隠しきれない、というようにポツリと呟いた。倉庫が僅かに荒らされた形跡があり、地面には複数人の足跡が残っていた。それは紛れもなく、ついさっきまで瀬奈たちがいたという証拠だった。「倉庫で合流したあとはどこへ行くつもりだったんだ?」「そ、それは私にもわかりません……全てはあの男の指示で動けと言われていましたから」「そうか……」せっかくここまで来たというのに、何の手がかりも得られないのか。落胆していた湊斗の
最後更新 : 2026-06-13 閱讀更多