「大丈夫?」 呆気にとられるナディアにジュリアスが手を差し伸べてきて立たせようとする。(あああああ! 手が! お手てがぁぁぁっ! ふ、ふ、触れてしまったあああああー! どうしよおおおぉぉー! 助けてゼウスー!) ジュリアスによって引き起こされながらもナディアは混乱の局地にいた。「びっくりさせてごめんね、俺との話し合いに応じてくれるのかどうか、どうしても答えが聞きたくて。ここなら邪魔されないだろうし」 にっこりと最高級に近い笑みを向けられて、ナディアの早まっていた心拍数がさらに上昇する。間近でこんなものを見せられたら、人間の女ならきっと泡を吹いて倒れているに違いない。 ナディアがそうならなかったのは、美形には慣れているということもあるが、ジュリアスから女を抱いたことがある匂いがするというのが一番だった。この男は番対象外だ。 それでも慌てふためいてしまうのは、それほどまでにこの男の性的魅力がとんでもないということだ。 シリウスも本来の姿の時の色気は凄かったが、ここまでではなかった。年上だからなのか性経験の有無の差だからなのかはわからないが、規格外すぎる。何かそれ用の魔法でも使っているのだろうかと勘繰ってしまうほどだ。『こっちから話すこととか別にないし! ここは関係者以外立入禁止だから出ていって!』と言いたいところだが、ナディアは何も言えずにジュリアスの顔から視線が離せなかった。「君はシリウスのことを酷く誤解していると思うんだ。俺と話、してくれるよね?」 ナディアはたじろいだ。また、「シリウスと結婚してくれ」みたいな話だとしたら、というか十中八九そうなんだろうけど、自分にはゼウスがいるし、とてつもなく困る。 けれど断れない。魅惑の圧が凄すぎる。美形だらけの里の中にだってこんな恐ろしすぎる美形はいなかった。ジュリアスが優雅に美しく大空を舞う鷹ならば、自分なんぞはさしずめ地を這う醜いミミズである。 ジュリアスは同情を誘うような憂いを含んだ表情をしているが、それが狙ってやっていることなのはナディアだってわかっていた。『この男の思惑通りになってたまるものか!』と、ナディアは気力を掻き集めて何とか自分の意志を口にする。「話すことは……何もないわ…… 本を買ったら帰って……」 シリウスに情みたいなものは感じているが、ナディアが恋しているのは
최신 업데이트 : 2026-04-01 더 보기