その結婚お断り~イケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~의 모든 챕터: 챕터 61 - 챕터 70

76 챕터

18 魔性の男 2

「大丈夫?」 呆気にとられるナディアにジュリアスが手を差し伸べてきて立たせようとする。(あああああ! 手が! お手てがぁぁぁっ! ふ、ふ、触れてしまったあああああー! どうしよおおおぉぉー! 助けてゼウスー!) ジュリアスによって引き起こされながらもナディアは混乱の局地にいた。「びっくりさせてごめんね、俺との話し合いに応じてくれるのかどうか、どうしても答えが聞きたくて。ここなら邪魔されないだろうし」 にっこりと最高級に近い笑みを向けられて、ナディアの早まっていた心拍数がさらに上昇する。間近でこんなものを見せられたら、人間の女ならきっと泡を吹いて倒れているに違いない。 ナディアがそうならなかったのは、美形には慣れているということもあるが、ジュリアスから女を抱いたことがある匂いがするというのが一番だった。この男は番対象外だ。 それでも慌てふためいてしまうのは、それほどまでにこの男の性的魅力がとんでもないということだ。 シリウスも本来の姿の時の色気は凄かったが、ここまでではなかった。年上だからなのか性経験の有無の差だからなのかはわからないが、規格外すぎる。何かそれ用の魔法でも使っているのだろうかと勘繰ってしまうほどだ。『こっちから話すこととか別にないし! ここは関係者以外立入禁止だから出ていって!』と言いたいところだが、ナディアは何も言えずにジュリアスの顔から視線が離せなかった。「君はシリウスのことを酷く誤解していると思うんだ。俺と話、してくれるよね?」 ナディアはたじろいだ。また、「シリウスと結婚してくれ」みたいな話だとしたら、というか十中八九そうなんだろうけど、自分にはゼウスがいるし、とてつもなく困る。 けれど断れない。魅惑の圧が凄すぎる。美形だらけの里の中にだってこんな恐ろしすぎる美形はいなかった。ジュリアスが優雅に美しく大空を舞う鷹ならば、自分なんぞはさしずめ地を這う醜いミミズである。 ジュリアスは同情を誘うような憂いを含んだ表情をしているが、それが狙ってやっていることなのはナディアだってわかっていた。『この男の思惑通りになってたまるものか!』と、ナディアは気力を掻き集めて何とか自分の意志を口にする。「話すことは……何もないわ……  本を買ったら帰って……」 シリウスに情みたいなものは感じているが、ナディアが恋しているのは
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19 ブラッドレイ家の秘密

 次の定休日。 ナディアはジュリアスに指定された飲食店に向かっていた。ゼウスとも一緒に訪れたことのある都内の肉料理専門店だ。肉しか頼まなくても変には思われないのでこの店を選んだのだろう。ここのローストビーフは絶品なのでナディアも気に入っている店だ。 しかし、またこの前のようにジュリアスに魅入られやしないかとやや緊張しながら店に入って――ナディアは、ハッと奥の席にいる人物に視線をやった。(オリオン!)『無事に帰ってきたんだ!』とホッとするような気持ちになりながら足早に近づこうとして――しかし、途中でピタリと歩みを止める。(違う。オリオンじゃない) 姿形や匂いは茶髪の少年に変幻した時のシリウスのものだが、足を組んで椅子に座っている居住まいや、窓の外を物憂げに見つめているその視線はシリウス本来のものとは違っていて、違和感がある。シリウスはナディアの前では何をするにもいつも楽しそうにしていて、陽気の塊のような男だった。こんな風に影を背負ったような雰囲気を出したりなんてしない。 ナディアは、この茶髪の少年の姿をした人物の正体にすぐに気づいた。「こんにちは。よく来てくれたね」 彼もすぐにこちらに気がついた。声や匂いまで全てこの姿の時のシリウスのものに変わっている。 ジュリアスは何かを思い悩むような表情から一転して柔らかい微笑みを浮かべ、わざわざ立ち上がって丁寧に迎えてくれたのだが、やはり違和感が拭いきれない。 なぜなら、この少年姿のシリウスは、ナディアを見つけた時にはいつも、大輪の花が咲いたような満開の笑顔になって「ナディアちゃん!」と言いながら、両手を広げて嬉しそうに抱きついてくるから。    穏やかな微笑を浮かべながらも、その瞳の奥でこちらを探るような隙のない視線を向けたりはしない。「……どうも」 軽く応えてから、促されてジュリアスと相向かいの席に座る。 ジュリアスは真っ直ぐこちらを向いているが、ナディアは何だか居たたまれない。連絡手段がないというのもあるが、ゼウスとつき合ったことをシリウスにはまだ知らせていない。 ゼウスのことを知られたら、シリウスにどう思われてしまうのだろう――(それにしても、目立たないようにという配慮だとは思うけど、自分の弟がよく変幻する姿に変わるとか、ちょっと趣味が悪くない?) 椅子に座ったまま沈黙しているナデ
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20 シリウスの事情

「私はゼウスが好きなの。あなたがあなたの婚約者を心から愛しているように、私もゼウスを心から愛しているの。私はゼウス以外の人は考えられない」「でも、まだ番じゃない」「そうだけど……」「その思いは他の男と寝れば消えてしまうような儚いものだ。本物じゃない。悲しいかな、獣人とはそういう生き物だ」 ナディアは咄嗟に反論できない。「君が未だにエヴァンズと番になっていないこと、それこそが答えなんじゃないかな?」 ナディアは首を横に振った。「そんなことないわ。私はゼウスと一つになりたいってずっと思ってる。だけど、色んな事情があって…… ゼウスを『悪魔の花婿』になんてしたくはないし、私のせいでゼウスが処刑されるだなんて絶対に嫌だし…… あなたたちみたいに魔法の力でもあれば別なんでしょうけど、一生黙ったまま結婚するなんて事もとても無理だし……」 言いながら泣きたくなってくる。獣人じゃなくて、ゼウスと同じ人間として生まれてきたかった。「今は、ゼウスの奴隷になってもいいかなって思ってて…… 一緒になる方法がそれしかないのなら、そうなってもいいかなって思ってる」「奴隷……」 ジュリアスはナディアの言葉に軽く眉根を寄せ、まるで忌避すべきもののようにその単語を口にする。「一つだけ前提として言わせてほしいんだが、エヴァンズの奴隷になるには、君が獣人であることを彼が受け入れる必要がある。 エヴァンズの昔の恋人や両親、それから姉の婚約者……エヴァンズ自身もかなり慕っていた義理の兄が獣人に殺されていることは知っているか? あの男は獣人をかなり憎んでいるぞ。これは俺の見立てではあるが、エヴァンズは君の正体を受け入れないと思う」 うつむくナディアに、ジュリアスは言葉をかけ続ける。容赦なく。「それにもし彼が君の正体を受け入れたとしても、その先は? 君は人間の奴隷になるということの意味が本当にわかっているのか? 獣人は番になった相手をずっと愛し続けられる生き物だが、人間は違うぞ。獣人基準で考えない方がいい。今どれだけお互いに愛を誓い合っていたとしても、時がすぎれば変わってしまう者も多い。もし番になってからエヴァンズに他に愛する女性が現れたらどうするんだ? そのことはちゃんと想定しているのか?」 ナディアは絶句していた。(ゼウスが他の女性を愛する……? 『メリッサだけだよ』っ
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21 雨の日

「じゃあ、今日は帰るね」「あ…… そうなんだ……」 ゼウスとのデートの帰り道、以前だったら二人はそのままホテルに直行していたが、ジュリアスとの話し合い以降、ナディアはそういう行為を避けていた。 ゼウスは明らかに落胆している。それはそうだろう。デート終わりに二人きりになるのを避けるのは、これで十回目だ。 初めて肌を触れ合わせて以降、ナディアは坂道を転がり落ちるようにゼウスとの行為に耽溺していた。 ただしまだ番にはなっていない。「私は人生でたった一人の人としかそういうことはしたくないけど、まだ覚悟ができてないから」と最後の行為だけは拒んでいた。 一度ならず何度も何度もそんな理由で拒んでいたら普通別れることになってもおかしくはないと思うが、重い男ゼウスはこのくらいのことでは絶対に別れないと言い張っていた。ナディアがその気になるまでいくらでも待つと。 そうは言っても二人でイチャイチャすること自体を避けるようになった影響だろう。ナディアが「帰る」発言をしてから、街道を歩く二人の雰囲気はぎくしゃくしている。 仕事が忙しいだとか月ものだとか理由をひねり出すこともできたが、これまでの九回で繰り返し使ってきたので、流石にそう何度も同じ理由を言うのは苦しい。「……俺のこと嫌いになった?」 やや暗い雰囲気をまとったゼウスが悲しそうに聞いてくる。 ナディアはぶんぶんと首を横に振った。「そうじゃないの、そうじゃなくてね、ええと、今夢中になってる本の続きが早く読みたいから、今日はこのまま家に帰りたくて」「何てタイトルの本?」「う、ううんと、恋愛ものなんだけどね、ちょっと恥ずかしいタイトルだから、ひ、秘密よ」 ゼウスとのデートを早く切り上げてまで読みたい本などないのだが、本の題名を問われて咄嗟には思いつかず、ナディアはしどろもどろといった様子で返事をした。 しかしゼウスは硬い表情になっている。何か適当に本の名前をでっち上げれば良かったと後悔した。 二人は無言のまま馬車の停留所近くに立ち、シリウスの家がある方面の馬車が来るのを待つ。ゼウスの家があるのは反対方向なので、ここでお別れだ。 馬車がやってきたので他の人に続いて乗り込もうとすると、腕を掴まれた。「メリッサ、今日はどうしても一緒にいたい。駄目?」 振り向けば悲しそうな顔をしたゼウスに懇願される。 ナ
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22 彼の味

 部屋に入ると即ゼウスが服を脱がせようとしてきた。濡れた衣服の前をはだけさせながら深くキスしてくる。 服からぽろりとこぼれ出た豊かな胸の頂きをゼウスが口に含むと、ナディアの口から自然と甘ったるい声が漏れた。 ゼウスは手を伸ばすと下着をずらしてナディアの秘所をまさぐり始めた。「やっ、ゼウス、こんな所で」「ごめん我慢できない、一回やらせて」 ナディアは部屋に入って数歩もいかない床の上に横たえられる。ゼウスはナディアの下半身の衣服を全部脱がせてしまった。足を大きく開脚させられたナディアの全身を羞恥が襲う。 広げられたナディアの膣口付近は既に愛液で濡れていた。ゼウスはベルトを外して自身を取り出すと、少し開きかけている秘裂に添わせるように陰茎をこすりつけてくる。 先端とカリ首筋の部分がぷっくりと立ち上がっていたナディアの秘芽を引っ掻いて気持ちがいい。思考が麻痺してくる。「あっ、きもちいい」 ずりゅずりゅと敏感な所を繰り返し激しく刺激されて、ナディアは簡単に絶頂までの階段を駆け上がる。 ナディアが一度達してもゼウスはまたイっていない。ゼウスはナディアの手を掴み、ナディアの愛液で濡れた陰茎の上部分を覆うように握らせる。ゼウスはナディアの腰を少し浮かせて位置を調整しながら尚も抽送を続ける。 ナディアも再び押し上げられる快感に悶えながら、呼吸を乱して時々喘ぎつつ、色っぽい顔つきになっているゼウスをぽーっと見上げていた。心臓が鷲掴みにされたように甘く苦しくて、ドクドクと脈打っている。(この人が好き)「あっ……! あ、あぁっ! メリッサ……!」「ああん! ゼウスっ! ああっ! 気持ちいい!」 やがてゼウスが達した様子で体を震わせて白い雄の液を吐き出し、ナディアもゼウスが達する寸前の激しい動きでたまらずまたイってしまった。ナディアのお腹は白い飛沫を浴び、手の平もこぼれた精液で濡れていく。 ハアハアと呼吸を繰り返すゼウスは自分を落ち着かせるように目を閉じている。 ナディアもくたりと四肢を投げ出しながら、吐き出されたゼウスの雄の匂いにうっとりとしていた。手を口元に近づけて、ゼウスの精液を舐める。「えっ? メ、メリッサ……!」 ゼウスが驚きの声を上げた。突然ムクリと起き上がったナディアがゼウスの股関に顔を近づけてきたからだった。ナディアは射精したばかりで少
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23 最後は必ず俺の所に戻ってきて

 ベッドに横向きに寝転んだナディアは、座るゼウスの陰茎を咥えながら請われるまま自分の蜜壷に指を入れていじっていた。ナディアは陰核が敏感なので中は触らず外ばかり触ることが多かった。ゼウスとつき合うようになってから中も気持ちいい所があることを知った。 獣人女性は番を持つと、番だけに性器内部を明け渡すようになり、自分の指であっても中に入れたくなくなるらしい。しかしナディアにはまだ番がいない。「もっと開いて、よく見せて」 ナディア片脚を立てるようにして開いていたが、ゼウスが太ももに手をかけてさらに開かせてくる。ゼウスは秘部をいじっていたナディアの指を抜くと、代わりに自身の指を埋めてきた。 剣を握る節のある指でくちゅくちゅと音を立てて中をいじられて、良い所を刺激されたナディアの体がビクビクと跳ねた。下腹部が熱を持ち始めてそれを外側へ開放したい気持ちが強くなる。「メリッサ、可愛く吹けたよ」 最初に潮を吹いた時は漏らしてしまったと焦ったが、出してしまったそれは尿とは違う匂いのもので、これが里のお姉様方が言っていたものかとすぐに理解できた。耳年増になっていたおかげで驚かずにすんだ。 ゼウスは愛液で濡れた自身の指を舐めた後、ナディアの陰核にも舌を置いて舐め始めた。自然とシックスナインの姿勢になり、ナディアは再び目前の愛おしい屹立を咥えた。「んっ…… んんぅっ……」 口の中では愛しい人の分身がドクドクと脈打ち、下からは陰核を舌で愛でられる淫らな音がする。気持ちが良くて永遠にずっとこうしていたいと思った。幸い明日の朝まで時間はたっぷりとあった。 快楽の波が緩やかにナディアを包む。「んっ…… んぅっ! んんんっー!」 ゼウスの舌が膣の中に差し込まれた状態で、陰核を指で激しく刺激されたナディアは果てた。ナディアはゼウスの柔らかい舌を締めつけ、ゼウスも彼女の絶頂を舌で味わう。 本日既に三回射精している口の中のゼウスの怒張は、ナディアが刺激をしても硬さはあるが吐精する様子はなかった。お風呂場ではフェラの後に壁に手を突かされてお尻を突き出し、閉じた太ももの付け根でゼウスを挟んで素股をしていた。 繰り返される口淫に数度ナディアが絶頂すると、ゼウスはナディアの口の中からズルリと自身を引き抜いた。息を整えてるナディアを下にすると、ゼウスが方向を変えて上から覆い被さってくる。
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《恋の危機編》1 実らなかった恋

 その日、本部にある一番隊長執務室へ現れたその人物を見たジョージは、かつての部下の訪れに顔をほころばせた。「やあやあ、これはジュリアス君、久しいね」「ご無沙汰しております、ジョージ隊長」 ジュリアスもジョージに向かって麗しい笑顔を見せた。  根なし草の二番隊長アークに代わり、普段ジュリアスは本部にいることも多いのだが、年明け以降彼はずっと獣人による深刻な被害を受けた村々の復興支援のために各地に滞在していたので、顔を見るのは久しぶりだった。 ジュリアスは最初から二番隊に所属していたわけではなく、銃騎士養成学校卒業後は一年間だけジョージの率いる一番隊に配属されていた。 今は二番隊に移って隊長代行として忙しくしているようだが、ジョージはその当時のことを懐かしく思い出す。 ジュリアスは最初からとてつもなく有能で、頼もしい新人だった。  しかしその容貌から貴婦人たちに粉をかけられまくることも多く、少し前のゼウスのようにかなり大変な思いをしていたと推察される。その様子は一時期のゼウス以上だった。 出待ちのようにどこへ行くにもファンの女性がつきまとい、手紙やらプレゼントやらが毎日のようにジュリアス宛てで本部まで送られてくる。  自宅にも物や人が押し寄せたらしく、彼は途中から実家ではなくて隊員の独身寮に住居を移していた。 最初の頃の令嬢たちによるジュリアス争奪戦は苛烈だった。「ジュリアス様と肉体関係を持ちました!」だとか、「ジュリアス様の子供を身籠りました!」などと、偽装妊娠も含めて言い出す令嬢が後を立たなかった。 しかし不思議と令嬢がジュリアスと関係したとされる時間帯に、彼には必ず不在証明があった。  かなり巧妙に仕掛けられたと思われる場合であっても、後から必ず証拠が出てくるので、ジュリアスが責任を取らされる形で結婚に追い込まれるようなことには全くならなかった。 妊娠した令嬢たちのお腹の子はジュリアス以外の種だったらしく、相手がどこの誰かもわからないような場合もあって、かなり揉めたと聞く。 一連の騒動においてジュリアスが常に、「女性を和姦もしくは孕ませたという汚名を着せられそうになった被害者」であり続け、彼への誹謗中傷すら立たずに一度も立場が悪くならなかったのは、ひとえに彼の生家であるブラッドレイ家の秘密――彼ら魔法使いであること――
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2 次期宗主失踪事件

 キャンベル伯爵領は獣人の里に近いことから獣人たちによる「狩り」の襲撃に遭うことも多かった。伯爵家は領民を守るために私兵を編成して度々獣人と衝突していた。 しかし、シドが獣人族の族長になってからは、その戦いも激しくなる一方だった。最初にフィオナの祖父が、次いで父が、叔父が、母が、長兄が―― 私兵を率いて戦いに赴く度に討ち死にした。 キャンベル伯爵家の直系は、次兄のフィリップと、フィオナを残すのみとなってしまった。 次兄フィリップも、成人と共に爵位を継いだ途端にシドの襲撃に遭い、瀕死の重症を負った。  フィリップの傷はとても深く、領主の仕事はとてもできないと判断した彼は爵位をそれまで持っていた祖母に返上した。 しかしその後奇跡的に回復したフィリップは、領地に祖母と妹を残し、単身上京して銃騎士となる道を選んだ。 養成学校入校試験の時に、手伝いとして来ていたジュリアスと出会ったフィリップはその後意気投合して、彼らは親友になったらしい。  フィリップが故郷の妹を呼び寄せてジュリアスに紹介したところ、お互いに運命を感じてしまった二人は、交際を始めて即婚約を交わしたとのことだった。 銃騎士養成学校を特例により一年で修めたフィリップは、以降ずっと二番隊に所属し、ジュリアスが隊長代行になってからは彼の副官に指名されるようになった。――「ジュリアス婚約」の知らせは首都に激震を走らせた。 ジュリアスに本気だった令嬢たちが涙に暮れる者と怒りに震える者に二分する中、ジュリナリーゼも涙に枯れる者の一人だった。 彼女はかなり意気消沈して食事も喉を通らなくなって痩せてしまい、部屋に籠もりきりなって塞ぎ込むようになった。 ジュリナリーゼは次期宗主として後継者を産まねばならず、成人以降早期に結婚をとの声も多かったが、彼女はジュリアス一筋でジュリアス以外には浮いた話一つなく、婚約者もずっと立てないままだった。 ジュリナリーゼの様子を憂いたのは母である宗主ミカエラと、それから銃騎士隊総隊長グレゴリーもそうだった。 総隊長はジョージと同年代のがっしりとした体格の男だが、顔の上半分を隠すような仮面をいつもつけていた。  仮面は顔の醜い火傷の痕を隠すためだという話だったが、素顔を見たことがあるのは銃騎士隊の中でもジョージを始めとした数人に限られた。 いつも冷静沈着で公平な判断
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3 ジュリアスの画策

「――隊長? ジョージ隊長?」 過去を回想しすぎて意識をやや彼方へ飛ばしていたジョージは、あの時の怒りに満ちた表情とは違い、こちらを心配そうに見つめている目前の美しすぎる銃騎士ジュリアスに名を呼ばれて、現実に引き戻された。「ああ、少しボーッとしていたようだ。すまないねジュリアス君」 執務室の中にはジョージとジュリアスの他に、副官と副隊長とその副官がいる。気心の知れた仲間たちは皆同じ年代で、銃騎士隊の黎明期から支え合ってきた大事な仲間たちだ。 彼らは一番隊長執務室を我が物顔で占拠していて、ジュリアスに茶を出しながら自身も茶を飲んでまったりしていたり、チェスに興じていたりと思い思いで寛いでいる。この部屋は一番隊の首脳陣たちの憩いの場となっていた。 しかし如何せん全員がいい年のため、口を開けばあっちが痛いこっちが痛いと話題はそんなことばかりであるし、もうそろそろ退役を考えるのには充分すぎる年齢に差しかかっていた。 けれど後任がなかなか見つからない。良さそうな人材がいても、貴族たちとの折衝事案の難儀さを知って敬遠されてしまう。 後継者探しはジョージたちの頭の痛い問題だった。 本当はジュリアスを平から役付きに昇進させる話が出た時に、ジョージは総隊長にジュリアスを次期一番隊長として自分に預からせてくれないかと申し出ていた。 ジュリアスならば、魑魅魍魎どもの蠢く貴族社会でも充分すぎるくらいに渡り合っていけるだろうと思ったからだった。 ところがジュリアスは人気者のために、他にも「うちの隊にくれ」と言い出す隊長たちが多数出た。 けれど二番隊長アークが他を牽制しまくり、かなり強硬な態度で自身の隊長代行にすると譲らず、最終的には「二番隊長代行」という現在の地位に落ち着いた。 ジョージはアークから絶対に息子を自分の手元に置いておくという揺るぎない意志を強く感じたので引き下がったが、中には引き下がらない男もいた。 三番隊長マクドナルド・オーキットだ。 マクドナルドはジョージと同様に、銃騎士隊での活躍が認められて伯爵位に叙された平民上がりの男だ。 三番隊は首都近郊が主な守備範囲となっているが、全国に散らばる各部隊の補佐と相談役も担っている。三番隊は他部隊の応援に駆けつけることも頻繁で、他の部隊よりかなり忙しい。「『隊
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4 遠距離 1

「転勤、ですか?」 ゼウスの隣りにいた銃騎士が声を上げる。ゼウスも下された命令を受けて、動揺していた。 その日、ゼウスは午後から令嬢たちのお茶会の護衛についていた。以前はゼウスに熱っぽい視線を向けてくることもあった彼女たちだったが、メリッサと恋人になった影響なのか、最近はそのようなことも少なくなってきた。 いつものように複数で護衛に当たっていたところ、ゼウスだけに緊急の要件があるのですぐに本部まで戻れ、という伝令が入った。 伝令を持ってきた隊員に要件が何か聞いてもそこまでは聞いていなかったそうで、何だろうと思いつつも、残った隊員に後を任せてゼウスは本部に戻り、一番隊長執務室に向かった。 途中で顔見知りである一番隊の何人かと合流すると、皆同じ要件で呼び出されていたことがわかった。 盤上遊具や健康器具などが置かれて少しごちゃごちゃしているその部屋に入ると、ジョージ隊長他副隊長たちも待ち構えていて、挨拶もそこそこにゼウスたちはいきなり地方の一番隊への赴任が告げられた。 一番隊は貴族の護衛が仕事なので、首都から離れた地方にも勤務先がないわけではない。しかしだいたいがその地を守る隊が護衛任務も兼ねてしまうので、わざわざ一番隊と銘打った部隊が置かれることも少ない。 首都近郊では獣人に襲われることも極端に少ないため、通年暮らしている貴族も桁違いに多く、護衛任務に特化した部隊が必要だった。 ゼウスたちが移動を命じられたのは、一つの大陸で一つの国家を形成しているこの国の、南の海上に連なる列島群に置かれた一番隊の支隊だ。 常夏に近いこの島々は観光名所でもあり、貴族たちの別荘も多くある。十四番隊の守備範囲ではあるものの、島の数も多く移動に時間がかかりすぎるために、護衛の要請を受けてもすぐに駆けつけるのは難しい。問題点を解決するために一番隊の支隊が置かれるようになった。 支隊は島に訪れる貴族の護衛任務を主としつつも、地元民の護衛や獣人の探索や捕縛といった他の隊がするような通常任務も行う。「南西列島が獣人の大規模な襲撃に遭ったことは君たちも知っているだろう。我が隊にも犠牲が出た。死亡一名に負傷者多数。今は十四番隊に加えて二番隊と三番隊が支援のために在留しているが、現地の二番隊に急遽別任務が出されたため、ほどなく引き上げるそうだ。至急一番隊本隊からも再び人員を送らなけ
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