直美はため息をついて言った。「話せば長くなりますよ。実は昔、私は白石さんの兄と付き合ってたことがあって……婚約直前までいってたんですよ」美羽は驚いた。先ほど直美が口にした言葉を思い出し、問いかけた。「じゃあ、分かれた理由は、白石さんなんですか?」直美は口元に笑みを浮かべた。その瞳には隠しきれない嫌悪感が漂っていた。「そうですよ!あの女ったら、世界中の男が彼女中心に回ってないと嫌みたいなんです。私と浩平が仲良さそうにすると、決まって嫌がらせをしてきて、まるで私が彼女の男を奪ったみたいに……でも、浩平は彼女を溺愛してましたから。今思うと別かれて正解でした。もし結婚してたら、ロクな生活は送れなかったはずです。それにしても、中山社長がまさかあんな女を好きになるなんて、見る目がないですね」大輔の茶化す声が聞こえてきた。「それなら、うちの隆の見る目が優れてるってことだな!」隆は大輔をジロリと睨んだ。すると、美羽は不思議そうな顔をした。直美が補足する。「白石さんは以前、先輩に言い寄ってました。でも、完全に玉砕しましたけどね」美羽は信じられない思いだった。彼らの間にそんな複雑な関係があったなんて。しかも、翔平がそんな女性を選ぶとは。でも、人の好みというのは誰にも説明がつかないものだ。そろそろ時間になり、一行はお開きすることにした。レストランのロビーまで行くと、ちょうど名残惜しそうな二人組が見えた。直美はたまらず吐き捨てた。「本当に、最低」一行は足音を忍ばせ、二人が去るのを待った。しかし、瑠衣は翔平の手を掴み、離れようとしない。翔平は彼女の頭を優しく撫でながら、穏やかな声で促した。「浩平と一緒に帰るんだ」こちらに美羽一行が来ることに気づいた瑠衣は、顔を上げ、唇を尖らせて甘えた。「なら、翔平さん、キスして?」翔平が動こうとするより早く、浩平が強めの口調で言った。「瑠衣、行くぞ」翔平が口を開く。「次の時に、埋め合わせするから」「分かった!」瑠衣は翔平の手を離し、振り返って車に乗り込んだ。浩平は店内の様子を一瞥してから、車に乗り込んだ。翔平と竜之介、そして同行していた天嶺キャピタルの幹部2名もそれぞれの車に乗り込み、立ち去った。彼らがいなくなった後、ようやく美羽一行は駐車場へと向かった。
続きを読む