あのあと、私はずっと聡美さんに腕を掴まれたままだった。ただ手をつないでいるように見えたと思う。でも、実際にはそうじゃなかった。私は拘束されていた。お母さんは気づいていなくてよかったけど……。帰宅すると、腕には爪の跡がくっきり。シャワーを浴びるとひどく染みた。「うう、痛い……」でもシャワーを浴びないのも気持ち悪いから、我慢して浴びる。温度を下げても痛くて、なんだかもう、投げやりになって熱いお湯を浴びた。ぬるいお湯にじっくりつかるのがいいんだったら、熱いお湯をさっと浴びても大差ないはず!そんなふうにしてシャワーを浴びていたら、出るころにはすっかり頭がくらくらしていた。「……大丈夫か?」帰ってきた俊くんが心配そうに私に声をかけて来る。「うん……」そう答えるけど、私はちっとも大丈夫じゃなかった。視界はぐるぐるまわっているし、なんだか眠たくて、身体がだるい……。「普通には見えないぞ」「ちょっとシャワーを浴びてただけだよ」「風邪でも引いたか?」「違うよ、多分」熱いお湯でのぼせただけだから、放っておいても問題ないって言おうと思ったけど、言えなかった。気が付くと私は俊くんに抱き上げられている。「しゅ、俊くん!?」「どうした?」「なんで私のこと、抱っこして……」「ソファで寝てても良くないだろ」「それはそうだけど……、重たいよね?」さっきまでぼんやりしていた頭が、一気に回復したみたいだった。私は手足をばたばたさせる。それでも俊くんは降ろしてくれない。「遠慮するなよ」そう言いながら、のしのしと私を運んでいく。
最終更新日 : 2026-04-17 続きを読む