ステファンは一日中、シャンテルの部屋にいた。二人で笑い、冗談を言い合い、他愛のない話をした。アパートの中は、久しぶりに穏やかな空気に包まれていた。シャンテルにとって、それは少し不思議な感覚だった。誰かとこんなふうに過ごすのは、本当に久しぶりだったのだ。出会ったばかりだというのに、ステファンはまるで最初からそこにいたかのように、自然に彼女の生活に溶け込んでいた。その振る舞いも、気取らない態度も、すべてが「元からここにいました」と言っているようだった。夜になり、二人はリビングに腰を下ろした。テレビでは賑やかなコメディ番組が流れ、決まった間隔で笑い声が響いている。ローテーブルの中央には、シャンテルが用意した大きなボウルいっぱいのポップコーンが置かれていた。バターの香ばしい匂いが部屋の暖かさと混ざり合い、心地よい雰囲気を醸し出していた。ステファンの携帯電話が、また鳴った。彼は画面を一瞥し、一瞬だけ顔を曇らせると、迷わず通話を切った。シャンテルはちらりとそれを見て、眉をひそめた。「今日、ずっとそうやって電話切ってるよね……どうして?」好奇心と、ほんの少しの心配が混ざった声だった。「気にするな。大したことじゃない」彼は軽い口調で言い、問題を小さく見せようとした。「ふうん……まさか私、プロの犯罪者を家に上げちゃったんじゃないでしょうね」彼女はわざと疑うような口調で言った。それを聞いて、ステファンは声を出して笑った。その笑い声は部屋中に響いた。「やめろよ。そうしたらお前もこの部屋も、とっくに盗ってるからな」彼の目は悪戯っぽく輝いていた。シャンテルは、笑いと真面目の間のような表情で彼を見つめた。「ねえ、真面目な話……あなた、やることないの? ほぼ一日中ここにいたじゃない」「いやいや、心配すんなって」彼は手をひらひらと振った。「俺は、朝早く起きて会社に行くような上司でもないし、誰かのために朝から慌てて働くような人間でもないからな」一瞬間を置き、彼の目つきが柔らかくなる。「一日中ここにいたのは、俺がお前のヒーローだからだ。ヒーローってのは、助けた人間をずっと見守るもんなんだよ。今日、俺がいなかったら、お前は一日中ベッドの上で寝込んで、もっと悪くなってたぞ」シャンテルは思わず笑みをこぼした。「ああ、そうなの? じゃあヒーローは何をしてる人なの?」
Last Updated : 2026-05-21 Read more