「はいっ、ミネラルウォーター! 炭酸ダメなんでしょ?」助手席から差し出されたペットボトルを受け取り、私は小さく息をつく。莉央――私と同じ顔を持つ双子の妹は、相変わらず世話焼きで、そして無邪気だった。けれど、ふと視線を上げたとき、彼女の膝に落ちていた“白い羽”に胸がざわつく。「……どこから入ってきたんだろう、こんな羽」私がつぶやくと、後部座席の怜央が笑いながら身を乗り出した。「気にするなよ。山の上だし鳥だって飛んでる」軽い口調。けれど私は知っている。“この村で舞う羽は、ただの鳥のものじゃない”――そう語る怪談を、昔から。後部座席のもう一人、真央が窓の外を覗き込む。「……なんか、静かすぎない? 鳥の声も、虫の音もしない」車は山道を登り、森の奥へと進んでいく。風も止まり、葉擦れの音すら消えた世界に、ただエンジン音だけが響いた。「澪……やっぱり怖くない?」莉央が不安そうに笑う。私も笑い返すけれど、胸の奥に広がるのは、不思議な寒気だった。 私と全く同じ顔の、一卵性双生児の双子の妹の莉央(りお)は、気の強い美人の私と顔こそ同じものの、優しくて気が弱くておっとりしている。 私達は名前の似ているのだが、まさかの彼氏の名前もお互いに似ている。私の彼は運転手もしている怜央(れお)、同じ大学3年生だ。 「あははっ。澪は莉央ちゃんに頭が上がらないよな。俺もだけど。尻に敷かれまくってるよ。大学首席のこの俺様が」 「首席自慢されてもね?運動全然じゃん!喧嘩も弱いし、頭脳戦だけじゃん怜央は」「あー?そういうこという?頭がいいのって大事でしょ?頭脳戦も。戦闘ならほら莉央ちゃんの彼氏、真央(まお)くんがいるからこのチームは」 急に話題を振られ、スマホゲームをしていた爽やかなショートヘアの男性は、はにかみながら、へへっと笑った。 「怜央さんには叶わないよね!俺、頭は良くないし。莉央が気が利くし、頭もいいから莉央のおかげで人に騙されないだけで。ただ、そうだね。運動神経に自信があるので、莉央も澪さんも怜央さんも守れる自信あるけど?」 「うわぁ、真央くん頼もしい!ほらー怜央しっかりしてよ!」 真央くんのはにかむ笑顔も、気まぐれな性格も、猫系男子。 莉央は、真央くんの彼女にお似合いのふわっとした大人しくて優しい女性らしい女の子。 そして、
Last Updated : 2026-03-08 Read more