社内で行われる公開説明会や謝罪について、慎一はまったく興味を示さず、現場にも姿を見せなかった。 そもそも、この手の説明会などは形式に過ぎない。 今回の案件も、実行に移る前の段階で慎一がデータの不正を見抜いたものであり、子会社どころか、朝倉グループ全体に対しても一切の損失や影響は出ていなかった。 もともと、朝倉サポートソリューションズが提出する企画書は、どれも形だけのものだった。 グループ側も、切り捨てられた子会社に対して資金を投じるつもりなど最初からなく、この案件自体、最初から成立する見込みのない“死んだ案件”だったのだ。 そのことを社内の人間たちは知らない。 朝倉グループとの縁を盾に、自分たちを特別だと思い込んでいる上層部が、好き勝手に振る舞っているだけ。 慎一にとってそれは、ただの茶番にしか見えなかった。大人が本気でやっているごっこ遊びのような。* 名目上の「取引先企業」のリストは下河が提示したものだったが、慎一はそれに満足しなかった。 自ら選び直し、上場企業を一社、指名する。 その企業の社長は、慎一にとって数少ない友人と呼べる相手だった。 慎一の依頼を受けると、事情も聞かずに即座に動き、大型の会議室を用意し、一部門の社員を集めて、この“存在しない謝罪会”の観客として配置した。 時間は午後三時。 紗月は、正田に急かされるようにして早めに現地へ連れて来られ、狭い応接室で二時間も待たされていた。 応接室とは名ばかりで、実際には急ごしらえの部屋のようだった。 何に使われていたのかも分からないその部屋は、扉も廊下側の壁もすべてガラス張りで、通り過ぎる人間がわざわざ足を止め、中の紗月を一瞥していく。 そして、聞き取れないほどの小声で何かを囁き合う。 ようやく三時になり、紗月は案内役の社員に連れられて会議室へ向かった。扉を開けた瞬間、ほぼ満席の室内を目にして、息が止まりそうになる。 プロジェクターに資料を映す準備をしている間も、紗月の手は小さく震えていた。 この資料は、一週間ほとんど寝ずに作り上げたものだ。 それでも正田からは「不十分だ」「分かりづらい」と何度も差し戻され、ようやく形になった。 案件についても、紗月は何度も何度も調べ直した。 地方医療連携型スマート生活プラットフォームの開発計画――そう名付けられたこの案件は、
Terakhir Diperbarui : 2026-04-22 Baca selengkapnya