老婆令嬢と呼ばれた私ですが、死んで灰になりました。~さあ、華麗なる復讐劇をお見せしましょうか!~ のすべてのチャプター: チャプター 71 - チャプター 78

78 チャプター

77.愛する人たちのいる場所で

――それから五年後。 バロンブルグ王国は、かつてないほどの活気に満ちていた。 王都の大通りには新しい店が並び、地方と王都を繋ぐ街道はよく整えられ、人と物の流れは以前とは比べものにならないほど滑らかになっている。各地の騎士団詰所には改良された通信装置が置かれ、緊急時の連携も早くなった。職人たちは新たな仕事に恵まれ、商人たちは国の未来を語り、平民も貴族も、この国はこれからもっと豊かになるのだと信じていた。 その繁栄の中心に立つのは、アスリー・レイ・ギルフォード国王だった。 即位から二年。 あの方は、口にした通りの王になった。 民を見下ろすのではなく、近くで見ようとする王。必要とあれば泥のつく仕事も引き受けるくせに、その手でちゃんと明日を示してくれる王。 バロンブルグ王国はいま、愛によって治められている――そう言えば大袈裟かもしれない。けれど、少なくともマーガレットには、それ以外にうまく表す言葉が見つからなかった。 その国政を支える柱の一つとして、いまやファーブリック公爵家の名も広く知られている。 事件の後、ダグルドは第二王子派を支え抜いた功績と、その後の王政改革への尽力を認められ、公爵へと陞爵した。さらに、エンヴィが再び立ち上げた工房と機械開発、それを支えるファーブリック家の後ろ盾は、国の経済を大きく押し上げることとなった。 そしてその流れの中で、マーガレットもまた、自分の立場を確かなものにしていた。 表向きの肩書きは公爵家夫人。 けれど実際の彼女は、それだけではない。 人と人、家と家、商会と貴族、王城と地方。表に見えるものと、まだ表に出ていないもの。その間にある流れを見極め、繋ぎ、時には危険の芽を先に摘む。 女だからと軽んじられたことも一度や二度ではないが、それでも今では、困り事を抱えた者が「まずはマーガレット様に」と口にすることも増えていた。 彼女はもう、守られるだけの令嬢ではなかった。 自分で選び、自分で立ち、自分の名で生きる人間になっていた。 そんな日々の中でも、今日ばかりは仕事のことを考える余裕はない。 ファーブリック公爵家の私室。陽だまりの落ちる広い部屋で、マーガレットは深く息を吐きながら、ゆったりとした椅子に腰掛けていた。丸みを帯びた腹にそっと手を当てる。出産を間近に控えた体は重
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