カーテンの隙間から差し込む陽光が、床の上に綺麗な四角い光の模様を描いている。それを眩しそうに見つめながら、私はゆっくりとベッドから足を下ろした。寝室の天井にある木目の数を数えることくらいしかできなかった私にとって小さな解放だった。智哉さんからようやく「家の中なら歩き回ってもいい」と許可が降りたのは、あの夜から五日が経った頃だった。それまで頑なにベッドから出ることを禁止されていたのは、熱が下がったばかりの私がまた体調をぶり返したら困るから。それから、あのとき捻挫した足首がまだ動かすたびにピリッと痛んだからだった。「今日はいい天気…」ドアを開け、廊下を渡ってリビングへと向かう。この家に連れてこられてからというもの、ずっと二階の寝室にこもりきりだったから、一階の生活スペースに足を踏み入れるのはこれが初めてだった。気晴らしに外に行こうか。ずっとベッドの上にばかりいたから、自分の体力が砂のようにサラサラと零れ落ちて、どんどん衰えているような焦りがあった。いや、今日はこの見知らぬ大邸宅の探検に費やすくらいが、今の私にはちょうどいいのかもしれない。そんなことを考えながら、手すりを頼りに一段一段、慎重に階段を降りていく。そして、ようやく最後の段を降りきって視界が開けた瞬間、私は思わず息を呑んだ。「広…」高い天井から降り注ぐ柔らかな光と、贅沢なほどに広々とした空間。そこに置かれた調度品のひとつひとつが、私のような人間が触れていいのか躊躇うほどの洗練された重厚感を放っている。亮介の家も十分に広かったけど、ここは次元が違った。空間の広さそのものが、住む人間の格の違いを無言で突きつけてくるようで、大理石の床にぽつんと立つ自分の存在が、やけに小さく、場違いなものに思えて仕方がなかった。あの広さでさえ家事をするのが大変だったのに、その二倍はあるこの大邸宅を維持するなんて、一体どれだけの労力が必要なのだろう。丸一日あっても、私一人の手では埃一つ払い切れないかもしれない。無意識のうちに自分の服の裾をぎゅっと握りしめて
Terakhir Diperbarui : 2026-05-18 Baca selengkapnya