僕だってチートがあれば苦労なんてしていない のすべてのチャプター: チャプター 91 - チャプター 100

116 チャプター

色々とびっくりだよっ!

 この村での新しい元服の儀式は日本の中世を参考に帽子をかぶせてもらって名前をもらうことにした。  烏帽子親に烏帽子名をつけてもらうっていうアレだ。  カーゲマンには村長の僕が、僕はジョーに烏帽子親になってもらった。  ついでに村人全員に真名をつけることにした。  この世界の魔法、特に呪術について調べた結果たどり着いた元服の儀だ。  中世日本の禁忌思想と根っこは同じでね、この世界では呪いをかける際相手の名前が必要なんだって。  中世日本と違って迷信じゃないのが恐ろしいところだよね。   真名を知っているのは烏帽子親と実の親だけ。  信頼する人間以外には真名を教えないようにと村長である僕からの下知を伝える。  儀式なのでちょっと格式張って考えてみた。  まず、村長の家(今はまだ仮宅の小屋だ)で親に同席してもらってエボシと名付けた帽子をエボシ親にかぶせてもらう。  この帽子はヘレンに作ってもらった革製のつばなし帽だ。  この帽子の内側に食べられる葉が挟められている。  元服する者はかぶせてもらった帽子を自分で外し、その葉を手に取る。  そこには真名が書かれていて、両親に確認してもらったあとそれを飲み下して儀式完了だ。  カーゲマン以外の村人は、一人一人小屋に呼んで真名を書いた葉を手渡して食べてもらった。  全員の真名なんか覚えてないけどね。  最後に僕の元服を行う。  小屋に僕とジョーの二人きり。  ジョーにかぶせてもらった帽子を外して葉を確認する。  そこには見慣れないけど見覚えのある文字が書かれていた。  僕がみんなの真名として書いたものの一種だ。「……これって」 言葉を失う僕に耐えかねたのか、厳かな顔を崩してジョーは笑い出した。「漢字だぞ。忘れたか?」 え? えぇっ!?「俺も前世は日本人でな。お前の周りを飛び回っている妖精も見えてるぞ」 そんなそぶり見せてた?
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村は日常に戻る

 ジョーがキャラバンを率いて村を旅立ったのはその三日後だった。  名前の上がっていたノーシン、ブロー、ヤッチシの他に三人、キャラバンで働くことになった。  態度を決めかねて村に残ったのが五人。  遺骨を持って国に帰ることにした親族三人と従僕が一人。  後の一人は途中まで一緒に旅をして大きな街に行くそうだ。  僕はオギンに最後の一人を尾行するように頼んだ。  理由はなんとなく……うそうそ。  明確な理由なく「大きな街に行く」ということにちょっとした感じの悪さを覚えたからだ。「では、行ってまいります」 この頃は村人の多くが僕に敬語を使うようになっている。  タメ口なのはジャンと子供達くらいだ。  ジャンのヤロー……。  まぁ、軽口は言うけどそんなに気にしてない。  公式の場で敬語を使ってくれれば普段はどうでもいい。  ただ、普段使い慣れていないとかしこまった場でついボロが出ると言うのはよくあることなので、なんとも言い難い。 今、村では三つの建物が建設中だ。  一つ目はルンカー造りの蔵。  これは今までの経験の蓄積から順調に建設中だ。  二つ目は木造の高床式倉庫。  穀物を保管するために建設中だ。  この建築法はこの国には全く存在していないもののようで、ルダーを中心に建てているんだけど、結構難儀している。  もっぱらルダーがほぞ継ぎを強行しているからなんだけど、そこは口を出さないことにしている。  ジャンには悪いけど釘の質が悪いからあまり使いたくないと言うのも判るんだ。  大量に釘を生産させることで、他の鉄器生産が滞るのもいただけないし、色々な(主に前世)技術を伝承してもらうこともいいかなって思ってるから。  三つ目は僕、村長の屋敷。  こちらも日本建築ベースで作ろうと思っていて、ジャスとサビーたち三銃士に手伝ってもらっている。
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時間の問題

 ルダーと僕は前世持ちと言うことで、神様からちょっと才能的に優遇してもらっていてそこそこ手先が器用に生まれついているはずなんだけど、僕は全然優秀にしてもらっている感覚がない。  だって、手先の器用さならジャスの方が優れているし、力はガーブラにてんで勝てない。狩りもサビーやイラードの方が成功率が高い。  剣の腕前でもザイーダにさえ勝てない。  ……いや、こっちの方は急速に実力が上がっているのを体感してはいるんだけどな。 そうそう、木造建築物を造るにあたってルダーが日本由来のいくつかの道具を発明した。  手斧と鉋と引き鋸、それに鑿だ。  この国では鉋も鋸も押して使うタイプだったのをルダーが自分に合わせて作らせたらしいんだけど、前世で取った杵柄というのだろうけど玄人はだしで使いこなしているのでみんながあやかってブームになった。  教える人がそのスタイルなんだからそっちの方が上達が早いのもあって一気に事実上の標準になったというわけだ。  鑿はもちろんほぞ継ぎの必需品だ。  建築もそろそろ終盤というのもあるけど、畑仕事が繁忙期に入っていて、人手の大半をそちらに取られている。  畑仕事もルダーが指導的役割なので高床式倉庫と僕の屋敷は作業が遅れ気味だ。  まだ小屋に寝泊まりしているので僕の方はそんなに急ぐ必要はないし、倉庫も収穫物がないのでこちらも急ぐ必要はない。  どちらも秋までに完成してればいいと思ってる。  てな具合でのんびり(実際には畑仕事で忙しかったわけなんだけど)日々を過ごしていると、オギンが帰ってきた。「ご苦労だったね」「いえ」 僕の小屋でイラードを交えた三人の報告会が開かれた。  イラードを呼んだのは彼が村人の中で一番政治的才能があるからだ。「疲れているところ申し訳ないけど、早速報告してくれるかい?」「はい、村長のご懸念通り、男はズラカルト男爵領で第二の都市、商都ゼニナルで小商いを始めたのですが、この村のことを吹聴しておりました
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そこがいちばんの問題だよね

「で、いかがなさいますか?」 僕は腕を組んで考える。  さしあたって出てきた懸念は大きく三つ。  人の流入と野盗の襲撃、そして男爵の介入だ。  前二つはいつあってもいいくらいで想定してた問題だからいいんだけど、男爵の件はなぁ……まだ突っぱねられないよなぁ、今の規模じゃ。「すぐすぐはどうこうなる問題じゃないと思う。拙速に対策を考えてもいい案は生まれないから、じっくり考えよう」「じっくりというのは?」 これはどれくらいの期間考えるのかって質問だろうな。「春の種まきが終わる頃まで。男爵の耳に届くまでにはそれくらいの時間があるだろうし、野盗は秋にならなきゃ襲ってこない。この村は田舎の農村だからね」「キャラバンの荷があることが知られればその限りじゃないのでは?」「それにしたっていきなりは襲ってこないよ。街道の山賊と違ってね」「どう違うのでしょうか?」 イラードもオギンも不思議そうな顔をしている。  ああ、二人ともキャラバン育ちなのかな?「獲物が通るのを待ち構えて襲うのと違って、村を襲うにはそれなりに準備がいるからだよ」「ワタシにも具体的に教えてくれませんか?」「例えばキャラバン。武装した護衛がいたとしても荷車は晒されているだろ?」「ですね」「単なる旅人なら人数から武装、荷物のありかまで丸裸。ところが村を襲う場合は、村の規模を事前に調べないとなかなか襲うのも難しい」「なるほど。村の大きさ、住人の人数など知っておく必要のある情報を事前に集める……つまり準備期間が必要ということですね?」 さすがイラード理解の早いこと。「特にこの村は今外敵の侵入を防ぐために高い塀をめぐらしているから、遠目にじゃ様子が判らないでしょ?」「キャラバンの拠点にはどこも用心棒がいますからね、彼我の戦力を図るのは野盗の方でも死活問題ということですね」「そ。野盗対策はそもそもしてたしね」 その件は冬の間イラードともなんども話し合っている。
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ようやく村が復興した

 種まきが終わってルンカー造りの蔵も完成した。  高床式の倉庫もねずみ返し付きで完成した。  棟梁に指名したルダーに空いた人手の中から何人かを選抜してもらって次の建造物を作ってもらう。 物見櫓。 村は今、周囲をぐるりと高い塀で囲っている。  だから外から村の中が見られない代わりに、村の中からも外の様子が判らない。  そこで見張り台の建設だ。  正面門の内側に高さ十八シャッケンの高い物見櫓を作ってもらうことで馬鹿正直にやって来る人たちは割と早いうちにその存在を確認できるって寸法だ。 この物見櫓が完成する頃、ようやく村長の館も完成を見た。  この村唯一の木造二階建ての庭付き一戸建て。  前世的に言っても夢のマイホームだ。  しかもバス・トイレ付き。  風呂は内風呂とはいかず、庭の一角を仕切った五右衛門風呂。  風呂に入るには薪でお湯を沸かさなきゃならないけど、貴族様でもなかなか利用できない贅沢だってよ。  中世的文化水準でどちらかといえば西洋的文化様式なのを考えればここらあたりは納得だ。  この村は、日本にルーツがある前世持ちが多いせいか日本文化にあふれているけどね。  風呂に入るようになると、みんなの臭いが気になり始める。  みんなにお風呂を提供するってのはいろいろなことを考えると現実的じゃないので、中央広場の池を「清浄の泉」と呼んで水浴びを推奨することにした。  けど、女性陣はわざわざ泉から水を汲んで自宅で沐浴するようだ。  そうだよね、さすがにそうだよね。  うっかりパワハラセクハラするとこだったよ。  そうそう、井戸も完成した。  イラードの進言に従って館の庭にも井戸を掘る。  この辺りは山の麓にあるからなのか、水にはあまり苦労しないようだ。 なんて穏やかな村の生活を謳歌していた初夏、ついに物見櫓から報告が入った。
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くるべき時が来たってやつ?

「旅人?」「四人ほど連れ立ってこの村に向かっているそうで、もう一時間半もすれば村に到着するだろうということです」「報告ありがとう。門前で一応身体検査をしてから、中央広場で僕が面会しよう」 報告にきたサビーは頭を一つ下げて館を出る。  僕はリリムに視線を向け「どうしよう?」 と、情けない声を出す。「決断するのはあなた。私はあくまでナビゲーター。あなたの生存戦略を決定するための知識や助言をするだけなんだから」 前にも聞いたなこのセリフ。「むむ……そうだよなぁ」 判っていたことなんでため息一つで切り替える。「この村の存在が知られるのは時間の問題だった」「元キャラバンの口が軽いおじさんがあちこちで話してたって言ってたわね」「それを確かめに来たと考えて間違いないね」「でしょうね」「四人組だって言ってたけど、徒歩なのか乗り物に乗っているのか聞くの忘れてた」「それ、重要?」「割と重要」 移動手段は職業や階級を測る物差しに使えるからね。  えーと……確か、観測地点の高さから見渡せる範囲を求める計算式ってのがあったなぁ。 …………。 あ・これ、星の半径が判らないと正確な数字が出せないやつだ。 …………。 とりあえず地球と同じと仮定して、物見櫓の高さが……ここが山の麓だから道の向こうは少し下っているとして……メートル換算じゃなきゃ計算できないのか? これ。  もう、使えねーなこの知識!「何を悶えてんの?」「ほっといてくれ」
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ジャンはこれでも村長である

 散々うなってようやく前世の単位で答えを出す。  あくまでもここが地球と同じ大きさの星であることが前提なんだけど、  だいたい十キロメートル先を歩いているってことになる。  村に着くまでに一時間半はかかるって言ってたから徒歩だろう。「それで?半時間もかかって出たた答えは有益な情報になるの?」 !?  そんなにかかってたのか……村に着くまであと一時間じゃないか。「いくらか判ったことがある」「すごいじゃない」「もっと褒めていいよ」「調子に乗りすぎよ。だいたい、こんなに時間かかるんだったら徒歩だったか聞きに言った方が早かったじゃない」 あ。 ごほんと一つ咳払いをしたのは気持ちを切り替えるためだ。「まず、徒歩で歩いているということから考えて領主からの使者という可能性はなくなった」「どうして?」「領主がらみの使者は昔から大仰に馬車でやってきた。大抵はその馬車に徴収した農産物を積んで帰るだけで村の実体なんてまったく知らなかったと思うけどね」「じゃあ、今村に向かっているのはどんな人たちだと思う?」「そこまでは……ま、一番懸念していた領主がらみじゃなかったんでとりあえず良しだよ」「気楽ねぇ」「これっくらいの心持ちでいなきゃ持たないよ」 僕はかねて用意の村長らしい服に着替えて、中央広場へ向かった。  村長らしい格好ってのはちょっとした演出ってやつだ。  これは結構重要な要素で、今の僕はその若さ故に見た目で侮られ易い。  だから普段着とは違う格好をことあるごとにすることで村の代表であるということを村人に印象付けてきたし、その延長で対外的な権威づけとして今回のような場合にこういう格好をすることにした。  最大のポイントはさじ加減。  貴族みたいな格好は村長として滑稽なだけだから、田舎もんとしてはちょっと高級で垢抜けたほどじゃなく、着慣れているというのがミソだ。  この着慣れのために時々着てたんだけどね。  中央広場に着くと
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転生者は前世の知識で考えたがる

 散々うなってようやく前世の単位で答えを出す。  あくまでもここが地球と同じ大きさの星であることが前提なんだけど、  だいたい十キロメートル先を歩いているってことになる。  村に着くまでに一時間半はかかるって言ってたから徒歩だろう。「それで?半時間もかかって出たた答えは有益な情報になるの?」 !?  そんなにかかってたのか……村に着くまであと一時間じゃないか。「いくらか判ったことがある」「すごいじゃない」「もっと褒めていいよ」「調子に乗りすぎよ。だいたい、こんなに時間かかるんだったら徒歩だったか聞きに言った方が早かったじゃない」 あ。 ごほんと一つ咳払いをしたのは気持ちを切り替えるためだ。「まず、徒歩で歩いているということから考えて領主からの使者という可能性はなくなった」「どうして?」「領主がらみの使者は昔から大仰に馬車でやってきた。大抵はその馬車に徴収した農産物を積んで帰るだけで村の実体なんてまったく知らなかったと思うけどね」「じゃあ、今村に向かっているのはどんな人たちだと思う?」「そこまでは……ま、一番懸念していた領主がらみじゃなかったんでとりあえず良しだよ」「気楽ねぇ」「これっくらいの心持ちでいなきゃ持たないよ」 僕はかねて用意の村長らしい服に着替えて、中央広場へ向かった。  村長らしい格好ってのはちょっとした演出ってやつだ。  これは結構重要な要素で、今の僕はその若さ故に見た目で侮られ易い。  だから普段着とは違う格好をことあるごとにすることで村の代表であるということを村人に印象付けてきたし、その延長で対外的な権威づけとして今回のような場合にこういう格好をすることにした。  最大のポイントはさじ加減。  貴族みたいな格好は村長として滑稽なだけだから、田舎もんとしてはちょっと高級で垢抜けたほどじゃなく、着慣れているというのがミソだ。  この着慣れのために時々着てたんだけどね。  中央広場に着くと
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それは前世で散々やってきたことだから-前篇-

 現れたのは若い男たち四人。  僕ら農村の男たちとはまた違った肉付きの男たちだ。  どちらかといえばガーブラタイプだな。「ようこそ」 まずは当たり障りのない挨拶から。「この村の村長です」 うん、戸惑うよね。  判るよ、僕、若いからね。  まあそこはほら、旅慣れた人たちだからだろう、素早く気を取り直して自己紹介をしてくれた。  もっとも名乗ったのは通り名ってやつだけどね。「で、この辺境の村になんの用ですか?」 とまぁ単刀直入に聞いておこう。  相手は僕が若いことで侮ってくれてそうだからね。  老練な交渉術なんてかましたら警戒されちゃうだろ?  ここは腹の探り合いの場だ。  こっちはあくまで未熟な若き村長のていでこちらの手札を見せずに相手の手札を晒してもらう。「いやね、旅の途中でたまたま立ち寄ったゼニナルの街でこの村の噂を聞いたもんで、真相を確かめようかと思ってこうしてはるばるとやって来たってわけです」 一応リーダー格なのか、交渉担当なのか、単に年長ってだけなのか、四人の中で一番年かさっぽい男が無遠慮に言ってくる。  うん、たったこれだけで色々判ったことがあるぞ。  まず第一に彼らは(僕基準で)優秀じゃない。  これは文明水準の問題だな。  学がないんだ。  たぶん貴族と交渉したこともないだろう。  貴族と交渉したことがあれば多少なり敬語を使うはずだ。  いくら僕があなどりやすいったって一応は村の代表者だからね。  最低限の敬意があってもいいはずだ。  ところが彼らはそういった敬意を示して来ない。  これは彼らが普段大きな集団・組織に帰属していないことも関係しているだろう。  次にこの村に来た目的が自発的じゃないことが判る。  この手のアウトローが自ら進んでこんな辺境の田舎町を見に来ようだなんて、まず思わない。  この村は確かとなり村まで歩いて三日以上の距離にある。
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それは前世で散々やってきたことだから-中篇-

「そうですか。で、その噂というのはどのようなものでしょうか?」「野盗に襲われた村だが村人が戻って復興しつつあるという話だった」「なるほど」 噂の尾ひれとしてはおとなしい方だな。  たぶん元情報に近い噂だ。  人の噂は拡散するほど尾ひれが大きくなる。「なるほど見た所襲われた影響などほとんど残っていないようで」 これはおべっかってやつかな?  他に見るべきところがあったでしょうよ。「いえいえ、まだまだですよ」 と、謙遜しておこう。「長旅でさぞお疲れのことでしょう。じきに陽も暮れますから今日は村でお泊まりください。復興途中でろくなおもてなしもできませんが食べるものと寝る場所くらいは提供できますので」「じゃあお言葉に甘えて」 さて、この村では他所から人が来ると歓待の宴が開かれていたんだけど、それは滅多に人が立ち寄らないからできたことだと思うんだ。  とはいえ宴には先人の知恵が詰まっているからなぁ……。  例えば宴でベロベロに酔わせてゴニョゴニョするってのも田舎の村では必要なことだったりするんだけど、今のところ近親交配は全く考慮する必要がないわけで……。  うーん……新しい村には新しい習俗を考えるか。  とりあえず今回は僕の家で何人か集めてささやかに開くことにしよう。 ──ということで集めた村人はオギンにザイーダ、サビー、イラード、そしてストゥラー夫妻。  この人選は宴のメンバーとしてはちょっと偏ってる気がするけど、適材適所の人選だと思うんだ。  ストゥラー夫妻は長年ジョーの使用人を務めていて、ジョーの在宅中は身の回りの世話もする。  来客をもてなすのにこれ以上の人選はない。  サビーとイラードは護衛役だ。  オギンもザイーダも腕は立つけど今回は綺麗どころの役を担ってもらう。  セクハラとは言わせないよ。  時代的に。
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