この村での新しい元服の儀式は日本の中世を参考に帽子をかぶせてもらって名前をもらうことにした。 烏帽子親に烏帽子名をつけてもらうっていうアレだ。 カーゲマンには村長の僕が、僕はジョーに烏帽子親になってもらった。 ついでに村人全員に真名をつけることにした。 この世界の魔法、特に呪術について調べた結果たどり着いた元服の儀だ。 中世日本の禁忌思想と根っこは同じでね、この世界では呪いをかける際相手の名前が必要なんだって。 中世日本と違って迷信じゃないのが恐ろしいところだよね。 真名を知っているのは烏帽子親と実の親だけ。 信頼する人間以外には真名を教えないようにと村長である僕からの下知を伝える。 儀式なのでちょっと格式張って考えてみた。 まず、村長の家(今はまだ仮宅の小屋だ)で親に同席してもらってエボシと名付けた帽子をエボシ親にかぶせてもらう。 この帽子はヘレンに作ってもらった革製のつばなし帽だ。 この帽子の内側に食べられる葉が挟められている。 元服する者はかぶせてもらった帽子を自分で外し、その葉を手に取る。 そこには真名が書かれていて、両親に確認してもらったあとそれを飲み下して儀式完了だ。 カーゲマン以外の村人は、一人一人小屋に呼んで真名を書いた葉を手渡して食べてもらった。 全員の真名なんか覚えてないけどね。 最後に僕の元服を行う。 小屋に僕とジョーの二人きり。 ジョーにかぶせてもらった帽子を外して葉を確認する。 そこには見慣れないけど見覚えのある文字が書かれていた。 僕がみんなの真名として書いたものの一種だ。「……これって」 言葉を失う僕に耐えかねたのか、厳かな顔を崩してジョーは笑い出した。「漢字だぞ。忘れたか?」 え? えぇっ!?「俺も前世は日本人でな。お前の周りを飛び回っている妖精も見えてるぞ」 そんなそぶり見せてた?
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