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ようやく村が復興した

Author: 結城慎二
last update publish date: 2026-07-14 06:00:18

 種まきが終わってルンカー造りの蔵も完成した。

 高床式の倉庫もねずみ返し付きで完成した。

 棟梁に指名したルダーに空いた人手の中から何人かを選抜してもらって次の建造物を作ってもらう。

 ものやぐら

 村は今、周囲をぐるりと高い塀で囲っている。

 だから外から村の中が見られない代わりに、村の中からも外の様子が判らない。

 そこで見張り台の建設だ。

 正面門の内側に高さ十八シャッケンの高い物見櫓を作ってもらうことで馬鹿正直にやって来る人たちは割と早いうちにその存在を確認できるって寸法だ。

この物見櫓が完成する頃、ようやく村長ぼくの館も完成を見た。

 この村唯一の木造二階建ての庭付き一戸建て。

 前世的に言っても夢のマイホームだ。

 しかもバス・トイレ付き。

 風呂は内風呂とはいかず、庭の一角を仕切った五右衛門風呂。

 風呂に入るには薪でお湯を沸かさなきゃならないけど、貴族様でもなかなか利用できない贅沢だってよ。<
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     盛夏、キャラバンがまたひと組の父子家庭の家族を連れて村に戻ってきた。「そこで一緒になってな」 とジョーは言っていたが、多分表向きの話だ。  だってどうみても「できるっ!」って家族なんだもん。  親父はいかにも歴戦の戦士だし、三人の息子も畑仕事の体つきじゃない。  唯一の娘だって平凡に暮らしてきたらできっこない鋭い目つきで周囲を伺っている。  そもそもみんな似ていない。「いやいや、その設定はさすがに無理があるだろ」 と言うツッコミにニタニタと笑うだけなのが腹がたつ。「年の順にカイジョー、シメイ、オオダイ、ペギー、アーシカだ」 へー……頭文字がカシオペアかぁ(棒)「聞いたぞ。ついに男爵に目をつけられたんだって」「そうなんだ、参ったよ。オルバック様のお世継ぎ様、とか言うのがやってきたと思ったら『村が復興したなら税を払え。納税額は特別に前回並みにしといてやる。ありがたく思え』だってさ」「あー……そりゃまた残念な奴が当たったな」「まぁ、残念な奴のおかげで村の中に踏み込まれなかったから『物怪の幸い』だったんだけど」「年寄り臭い言い回しだな、前世はいくつまで生きてたんだよ」「四十の半ばだよ。ばあちゃん子だったんで言葉や趣味が多少、年寄り臭いのかもしれないけどさ。そっちは?」「天寿まっとう、七十二歳の大往生だ。明治大正昭和と生きてきたし、前世に思い残すことはない」 え? 明治大正!?「え? ジョーって僕のばあちゃん世代なの?」「なに!? そんなに世代が違うのか?」「僕は団塊ジュニア世代。ルダーは戦中派だって」「団塊ジュニア……それが四十半ばってことは未来人だな。まぁいいや前世の話はルダーも呼んで今度じっくり思い出話をするとして、男爵と事を構えるんなら必要だと思ってな。本物の戦士を連れてきてやったわけだ」

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    紅顔の小太り

    「そこの男、止まれ!」 と、使者の一人が鋭く僕を呼び止める。  肩をすくめてビクリとこわばる。  あ、これは演技じゃない。  なにせこちらは丸腰の農夫、向こうはホルス上で帯剣した男爵の部下だ。  こわごわとゆっくり振り向くと、相手は紅顔のでっぷり肥えた少年と白髪交じりのおじさんだった。「この村のものだな?」 高圧的な態度なのは少年の方。  いやいや、使者なんて仕事についてることを考えれば成人してるか。  一年目の新兵か、いいとこ自分と同年ってとこだろうな。「はぁ……」 と、曖昧に応えとこう。  リリムが僕の横で腹を抱えて笑ってる。  チッ、いい気なもんだよ。「村長を呼べ!」 おやおや、それでいいんですか?  どうやって、中に入れずに済ますか考えてたのに。「あー、それ、僕です」 ここは素直に答えとくべきだろう。「なに!?」 あー……いつものリアクションですね。  いいんですよ、慣れてますから。「この村の唯一の生き残りで、それが縁で村長させてもらってます」「そうか」 と応えたのはおじさん使者の方。  鞍や身につけているものが若い方より質素なのは身分の差だろうか?  だとすれば若様のお目付役ってとこか。  交渉の一切は若様がやるらしい。「なら話が早い。村が復興したと聞いてきた。事実か?」 下手か?  交渉ド下手か!?「……復興ってのがどういうものか知りませんがね、野盗や戦を避けてやってきた人たちが住み着いてるのを復興っていうならそうなんでしょう?」 リリム、気になるから僕の視界に入らないで。  できれば笑い声も抑えてくんないかな?  今後を左右する大事な駆け引きやってんだからさ。「では、今年から税を納めてもらおう」 オフゥ……なんだその説明一切吹っ飛ばした結論のみの伝達は。  

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    さゔぁいぶ-後篇-

     村に戻った僕は村人の埋葬をする。  人の死には慣れている。  現世の僕が、だけど。  この世界は前世の世界と違って文明水準が高くない。  当然医療水準も高くない。  田舎だからってのはあるかもしれない。  大きな街はもしかしたらすごく発展しているのかもしれない。  魔法のある世界だから、当然治癒魔法もあるはずだ。  でもそれがどれくらいの効果があるかもわからない。  だからこの村はよく人が死んだ。  子供は特によく死んだ。  僕にも姉と妹がいたらしい。  妹の方はかす

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    さゔぁいぶ-前篇-

     僕は十五歳の朝を木の枝の上で迎えた。  この世界の元服、つまり成人の儀式が行われる日だ。  確かに一生忘れられない日にはなったけど……切ない。  あまりにも切ない。  秋とはいえ、昼頃になればそれなりに暖かくなる。  今日は天気もいいので昼頃にはむしろ汗ばむほどの陽気になった。  慎重にあたりの気配を確認しつつ、木から降り集落に戻ると、まだプスプスとくすぶっている焼け跡の中を歩く。  あたり一面、嫌な臭いが立ち込めているのは、村人の焼けた臭いだろう。  昨日から何も食べてないのに込み上げてくる胃液を吐き出し

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    泣ぬれるは枝の上

    「逃げたのはガキ一匹か」 と、僕の真下で傷だらけのごつい男が言っている。  こいつが盗賊団の頭目と見た。「へい、多分」「多分だと!?」「へ、へ……」 あたふたした下っ端が頭目にぶん殴られ、仰向けにぶっ倒れる。  気絶してろ!  盛大に気絶してろよ、でなきゃここにいることがバレる。  僕の祈りは天に通じたのか、そいつは白目をむいて動かない。「このさらに奥に行ったかもしれませんぜ」「ならいい」 頭目は、一言吐き捨てて踵

  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    都市伝説は真実だった

    「じゃあ次は概要ね」 と、リリムは言う。「世界の概要は現世の知識があるから割愛ね」 あらま。「あなたは転生の際にDNAってやつに細工されていてね、神様曰く人よりちょっと優秀になってるそうよ」 え? ちょっと?「そこはとても優秀になってんじゃないの? テンプレ的に」「いくら世界に干渉できる環境にある神様だってそんなことホイホイしたら世の中のバランスが狂っちゃうでしょう?」「異世界転生は世界のバランスを崩さないのか?」「崩すわよ。それなりに。そもそも

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