「場所は決めてるんだけど、ちょっと迷ってるんだ」「何を?」「大きさとか諸々……」 他の民家と差別化するってのは、曲がりなりにも民主主義国家で生きた前世の知識が「それはどうか?」と自問してくるんだけど、封建的王国で世の中が乱れていることを考えると歴史オタクとしての前世がこれまた囁いてくる。「それより倉庫の方が優先順位高いだろ?」「今年の冬もこの小屋で過ごす気か?」「ん? んーん……多少手直しすればもう一冬くらい大丈夫でしょ」「村長がそういうなら他にもやることは多いし?」 ジョーはちゃんと僕を村長として立ててくれる。「他で思い出したんだけど、井戸を掘り直したい」 と、鉄器生産ができるようになったらと、先延ばしにしてきた懸案事項を提案する。「村の中に水が出るのか? ならありがたいが」 ルダーがありがたがるのも当然だ。 人も増えたし、各家庭で水を使うようになったもんだから、水汲みは重要かつ重大な労働になっている。「もともとこの村には街中に井戸があったんだ。野盗に襲われて使えなくなったから埋め戻しちゃったんだけどね」「そいつはいい。村の中に井戸があれば有事の際もなにかと助かる」 それは僕も思った。 思ったけど、それって籠城するってことだぞ。「それとは別に用水路から村に水を引こうと思ってる」「なんでまた?」「んーん……なんとなく?」 いや、説明しても理解してもらえないと思ったからなんだけど。「まぁ、手段は一つより二つのほうがいい。三つ四つとあればなおさらいいけどな」「どこまで引く気だ?」 おや、興味がおありですか? ジャリくん。「中央広場まで。その後は用水路の下流域に引き戻す計画だ」「それなら、畑の近くを通してくれるとありがたい」 なるほど。 そもそも畑のための用水路だけど、そこから引き込むんならもっと便利に使うってのは悪くない。
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