「今日は外で食べないか」 雄吾がふと口を開いた。 佳苗はきょとんと目を瞬かせる。「外ですか?」「ああ」 雄吾はソファから立ち上がり、腕時計へ目をやる。「今日は佳苗のお祝いだからな」「お祝い……?」 佳苗は思わず苦笑した。「試用期間の評価ですよ?」「十分お祝いする理由になる」 雄吾は当然のように言う。「頑張ったことは、ちゃんと形にしてやらないと次の励みにならない」 その言葉に、佳苗は少し照れたように笑った。「そんな大げさなものじゃないですよ」「俺にとっては大げさじゃない」 真っすぐに言われると、反論できない。 佳苗は観念したように頷いた。「じゃあ……お言葉に甘えます」「よし」 雄吾は満足そうに微笑んだ。「着替えてこい」「はい」 二十分ほどして、二人はマンションを出た。 夜風が心地よい。「どこへ行くんですか?」 佳苗が歩きながら尋ねる。「近くだ」 雄吾はそう答えるだけだった。 十分ほど歩いたところで、一軒の和食店の前で足を止める。 派手さはない。 けれど落ち着いた雰囲気の店だった。「ここ、前から気になっていたんだ」「素敵なお店ですね」 二人は店内へ入り、窓際の席へ案内される。 温かいお茶が運ばれてきた。「乾杯でもするか」 雄吾が湯飲みを持ち上げる。 佳苗は思わず笑った。「お茶でですか?」「酒は飲めないだろ」「そうでした」 二人は顔を見合わせて笑う。 湯飲みを軽く合わせる。「試用期間終了、おめでとう」「あ
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