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資格試験まであと少し

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-07-11 11:29:35

 資格試験まで、あと一週間。

 佳苗の毎日は、仕事と勉強であっという間に過ぎていった。

 仕事を終えて帰宅すると、夕食を済ませ、二時間だけ机へ向かう。

 休日は雄吾が向かいで仕事をしながら付き合ってくれる。

 そんな生活がすっかり当たり前になっていた。

「ふぅ……」

 佳苗は参考書を閉じ、小さく息を吐く。

 時計を見ると、午後十時を回っていた。

「今日はここまでにします」

 向かいでパソコンを開いていた雄吾が顔を上げる。

「進んだか」

「はい」

 佳苗は嬉しそうにノートを見せた。

「苦手だったところが、少し分かるようになってきました」

「それは良かった」

 雄吾は穏やかに微笑む。

 佳苗はノートを閉じながら、小さく笑った。

「最初は絶対無理だと思っていたんです」

「でも、やっているうちに少しずつできるよう

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     母の風邪は、数日ですっかり良くなった。『もう熱もないし、元気よ』 そう連絡が来て、佳苗も安心した。『よかった。無理しないでね』『この前は本当にありがとう』『どういたしまして』 それからしばらく、母との間に大きな問題は起こらなかった。     ◇ 二週間ほど経ったある日の夕方。 仕事を終えた佳苗のもとへ、母から電話が掛かってきた。「もしもし?」『佳苗? 今、仕事終わった?』「うん。どうしたの?」『ちょっとね……また具合が悪くて』「また?」 佳苗は足を止めた。「風邪ぶり返したの?」『分からないけど、朝からなんとなくだるくて』「熱は?」『少しあるかもしれない』「測ってないの?」『まだ』「じゃあ測ってみて。食べるものはある?」『この前買ってきてもらったものは、もうないわね』 佳苗は時計を見る。 このあと雄吾と待ち合わせをしていた。「動けないくらい具合悪い?」『そこまでじゃないわよ』「じゃあ、とりあえず熱測ってみて。高かったら病院行った方がいいよ」『……来てくれないの?』「え?」『この前は来てくれたでしょう?』 佳苗は少し戸惑った。「あのときは本当に熱があって、食べるものもなかったから」『今日だって具合悪いのよ』「うん。だから心配してるよ。でも、動けるなら今日は家で休んで、明日も治らなかったら病院に行った方がいいと思う」 電話の向こうが静かになる。「何か必要なら、ネットスーパーで送ろうか?」『……いいわ』「本当に?」『そこまでしてもらわなくて大丈夫』

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  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   置いていかれる側

    「……今、泣いてるのか?」 低く静かな声が耳に落ちる。 その一言だけで、張り詰めていた感情が崩れそうになった。 佳苗は慌てて口元を押さえた。「な、泣いてません」『嘘が下手だな、お前は昔から』 昔から。 その言葉に、大学時代の記憶が蘇る。 榊原雄吾。 成績優秀、容姿端麗、誰にも媚びない孤高の男。 学生の頃から有名だった。 近寄りがたい人だったのに、なぜか佳苗にはよく話しかけてきた。『また他人の仕事押し付けられてるのか』『断れないのか、お前は』 呆れたように言いながら、結局いつも助けてくれた。 けれど卒業後は一度も会っていない。 それなのに、どうして今。「どうし

  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   もう騙されない

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  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   私は、代理母だった

    「……っ、はぁ……ぁっ……!」 全身を引き裂かれるような痛みに、藤倉佳苗は汗で濡れたシーツを握り締めた。 眩しい手術灯。鼻を刺す消毒液の匂い。何度も響く機械音。 苦しい。 息ができない。「もう少しです! 頑張ってください!」 医師の声が遠い。 お腹の奥が裂けるように熱い。 それでも佳苗は必死に意識を繋いだ。(赤ちゃん……) やっと会える。 悟との子供。 愛する夫との、大切な命。 その一心だけで耐えていた。 けれど次の瞬間、医師たちの声色が変わった。「血圧低下!」「出血が止まりません!」「急げ!」 視界がぐらりと揺れる。 寒い。 急激に体温が奪われていく。

  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   監視する妹

     ホテルへ入る佳苗と雄吾。 暗い夜道で撮られたはずなのに、驚くほど鮮明だった。「……どうして」 佳苗の指先が震える。 まるで誰かに見張られていたみたいだった。『ねぇお姉ちゃん』『その人、誰?』『もしかして浮気?』 次々届くメッセージ。 佳苗は顔を青ざめさせた。 浮気。 その言葉に胸が痛む。 裏切っていたのは悟たちの方なのに、なぜ自分が責められなければいけないのだろう。「見せろ」 雄吾が静かにスマホを受け取る。 メッセージ画面を見た瞬間、その目が冷えた。「……なるほど」「先輩」「撮られていたな」 低い声。 感情を押し殺したような響き。「どうしよう……」

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