翌週。 佳苗は朝から慌ただしくパソコンへ向かっていた。「佳苗さん、この書類お願いできる?」「はい」 先輩から受け取った契約書を確認し、必要事項を入力していく。 以前は一つひとつ確認してもらいながら進めていた作業も、今ではほとんど一人でできるようになっていた。「できました」「ありがとう」 先輩は内容に目を通し、小さく頷く。「うん、大丈夫」「もう基本的なところは安心して任せられるね」 その言葉に、佳苗は少し照れくさそうに笑った。「ありがとうございます」「でも、まだ分からないことも多いので……」「分からないことは聞けばいいよ」 先輩は穏やかに笑う。「一番困るのは、分からないまま進めちゃうことだから」「はい」 佳苗は素直に頷いた。 それは入社したばかりの頃にも教えられたことだった。 今では遠慮せず質問できるようになり、そのおかげで仕事も覚えやすくなっている。 午後。 課長が佳苗のデスクへやって来た。「佳苗さん」「はい」「来月から担当する取引先だけど、今日から少しずつ書類だけは触ってみようか」「もちろん最終確認は先輩がするから」「分かりました」 佳苗は緊張しながら契約書を受け取る。 会社名。 契約内容。 請求条件。 一つずつ確認しながら、慎重に入力を進めていく。 途中で迷った箇所があり、佳苗は先輩へ声を掛けた。「ここなんですが……」「いいところに気付いたね」 先輩は画面を見ながら説明する。「この取引先だけ処理が少し違うの」「だから毎回契約書を確認する癖をつけると間違えにくいよ」「なるほど」
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