蒼士は低く舌打ちし、さらに水温を下げた。氷のように冷たい水が頭上から降り注ぎ、ようやく体の奥で燻る熱が少しだけ引いていく。シャワーを終えて浴室から出ると、寝室にはナイトランプが一つだけ灯っていた。淡く黄みを帯びた光が室内を包み込み、どこか甘やかな空気を漂わせている。紗寧はすでに眠っていた。横向きになり、彼に背を向けたまま規則正しい寝息を立てている。肩紐の片方がずり落ち、露わになった白い肩から胸元にかけての肌が、薄闇の中でしっとりとした光沢を帯びていた。蒼士の喉がわずかに上下する。その場に立ったまま数秒見つめた後、ようやく足音を忍ばせながらベッドへ上がった。マットレスがわずかに沈む。彼が横になった途端、隣で眠っていた紗寧が無意識に寝返りを打ち、そのままころりと彼の腕の中へ転がり込んできた。柔らかな体が隙間なく密着し、片脚は彼の腰に乗っている。ナイトドレスの裾は太腿の付け根近くまでめくれ上がり、なめらかな肌が寝間着の布地をかすめた。蒼士の体が一瞬で硬直する。ようやく抑え込んだはずの熱が、再び勢いよく燃え上がった。彼は目を閉じ、慎重に腕を回して彼女の腰を抱くと、少し距離を取らせようとした。だが、当の本人はぐっすり眠ったまま。離されるのが不満だったのか、小さく鼻を鳴らしながら再び擦り寄ってくる。今度はさっき以上に近かった。蒼士は深く息を吐いた。――本当に勘弁してほしい。暗闇の中で三分近く葛藤した末、彼は観念して彼女から離れ、再びベッドを抜け出した。浴室のドアが閉まり、ほどなくしてまた水音が響き始める。今度は先ほどよりずっと長かった。二度目の冷水シャワーを終えて蒼士が出てきた頃には、空の端がうっすらと白み始めていた。彼はベッドで気持ちよさそうに眠る妻を見つめ、苦笑しながら首を振る。一晩で冷水シャワーを二度。さすがに身も心もへとへとだ。そっとベッドへ戻ると、今度は学習したらしく、拳一つ分の距離を空けて横になる。しかし、それも長くは続かなかった。しばらくすると眠ったままの紗寧がまた転がってきて、迷いなく彼の胸へ飛び込んできたのだ。蒼士は天井を見上げながら、腕の中の甘く柔らかな体温を感じてため息をつく。――参ったな。また浴室へ行く羽目になりそうだ。
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