「え……?!芹沢専務と?」約束の20時を少しだけ過ぎて、亮子と落ち合った2人の行きつけのバー。「うん。美味しくいただいたら、あちらが執着し始めて」「出た……小悪魔亮子!」いただいた、というのは関係を持ったということ。……まったく、私はつい先日はじめてを経験をしたばかりなのに、親友はこの上級者ぶり。「それで……?ちゃんと付き合う気あるの?」「そうねぇ……」聞いたのはもちろん、亮子を心配してのことだ。芹沢専務は落ち着いた大人ながら、女性関係は少し緩いようだから。「あちら次第ね。1ヶ月以内にプロポーズしてきたら、結婚してもいいかも」「え?そんなに本気で考えてるの?結婚はそんなに急いでしなくても……」「よく言う……!1年も契約結婚した人が!」余裕の笑顔で笑う亮子を見てなんとなくホッとした。結婚してもいい、なんて言って、主導権は完全に彼女が握っているようだから。そこへ、注文したチーズリゾットとシーザーサラダ、白身魚のフリットが運ばれてきた。ハイボールで乾杯し、しばらくお互いの仕事の話をしていたのだが……「紅はどうなのよ、その後神楽先輩とは」聞かれたくなかった質問が飛んてきて、思わずビクッと背筋が伸びてしまう。「ははぁ〜ん、その反応は……まさか、もしかして?」「デートしようとか言うから、海水浴に行こうって言ってやったの。それでその……いろいろあって、」素敵だな、と感じてしまったエピソードなど、恥ずかしくて口にできない。「ヤったね?」「ヤ……っ」「もう……!本当に紅は、悪女なんだか可愛いんだか、アンバランスがたまんないのよ!」ケラケラと笑いながら、亮子がおしぼりを投げてくるので、もちろんこちらも投げ返す!親友との他愛のない話は心を軽くする。……昼間食堂で見かけた神楽と若い女の子のやりとりも、紅はすっかり忘れることができた。2時間ほど飲んで、店を変えるか解散するか……という話になった頃、亮子の携帯が着信を伝える。紅に断って電話に出た亮子。……話しぶりから、芹沢専務からの着信のようだ。「迎えに来るって言って聞かない……」「いいじゃない。今からなら電車で帰れるから、解散しよう」きっと芹沢専務は車で来るだろう。そして私も一緒にいたら、送ると言い出すに違いない。そんな気を使わせることに少し気疲れを感じ、紅は店を出て早々に駅に向
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