All Chapters of 上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~: Chapter 31 - Chapter 40

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31:離れがたい2人

二人で過ごす休日は、驚くように早く過ぎていった。土曜日は、あの後、廉の家で散々愛し合って、結局、買い出しに行くことは叶わなかった。夜になって、さすがにお腹がすいたので、デリバリーを頼んで、廉の家の広いソファでくっつきあって配信ドラマを見ながら食べた。何をしていても、必ず体のどこかで触れあっていて、ずっと二人の間に熱がこもっているようだった。日曜日は、さすがにこんな状態ではいけない、と買い物に出て、部屋まで送ってもらった。廉は、夜の飛行機で香港に出張の予定なので、その準備もしないといけない。そう思って、ついさっき、絡めた指を名残惜し気に離して、廉を切なく見つめたばかりなのに、風呂場でシーツの染み抜きをしていると、インターホンが鳴って、廉が戻って来た。「蓬莱さんが迎えに来るまで、まだ3時間あるから」部屋に入ると、ソファに座ってPCを広げて仕事をし始めた。コーヒーを邪魔にならないように脇に置いて、自分は予定通り週末の家事を続ける。傍に廉がいるだけで、唇の端が上がって気分が高揚する。しばらくして、携帯のアラームが鳴り、ため息交じりに廉がPCを閉じる。玄関を出る時に、ギュウッと綾香を抱きしめると、再び大きく深いため息を吐いた。「行きたくないな」拗ねたように呟いて、まるで、玄関を出て行く踏ん切りがつけられない子どものようだ。 その頬に軽い口づけをして、笑顔を向ける。小さな子どもの背中を押してあげている気分になる。「行ってらっしゃい」その返事は、深く長い口づけになって戻って来た。エレベーターに向かう背中がもの寂し気に見えるのは自分がそう思いたいからだろうか。一人で眠るその夜は、ベッドが冷たく寂しく感じて、なかなか寝付けず、どうしようもなく廉のことばかり考えてしまった。 月曜日の朝は、社会人なら誰しもが共感できる、一番テンションの上がらない時間だ。綾香は、どちらかと言うと仕事が好きな方に入ると思うのだが、それでも月曜日に電車に揺られて仕事に行くのは気分が乗らない。出社するといつものようにカウンターのPCの電源を入れて、書類受けに入っている物を確
last updateLast Updated : 2026-07-23
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32:妬みと羨望①

オフィスビルが立ち並ぶこの界隈も、今はクリスマスの様相で華やかだ。夜の帰宅時には、街路樹がイルミネーションで彩られ、幻想的な雰囲気になる。明日の昼頃には、廉が香港から帰ってくる。この4日間、毎朝のおはようのメッセージと夜の長電話は続いた。毎晩、会食で遅い時間まで疲れているだろうに、廉は実にマメだ。毎日、会いたい、寂しいと電話口で囁いてくれる。自分もたまらなく廉に会いたい。温かい体に触れて、抱きしめられたい。そう思って、毎晩、寝付くまで布団の上をゴロゴロと悶えている自分が情けない。たった4日の出張で、こんな風になるとは。恋に溺れるにもほどがあるだろう。そして、心のどこかにエリカのことが引っ掛かっている。エリカが廉に気持ちを打ち明けたら、どうなるんだろう。「綾香、クリスマス、うちに泊まることは、水無瀬専務も了承済みなの?」今日のランチは、恵乃木田亭の蕎麦だ。蕎麦湯を頼んだところで、朱莉の口から出た質問に、ぼんやりと考え事をしていた綾香が顔を上げる。「了承って‥‥別に大丈夫だけど」もごもごと歯切れ悪く応える綾香を、ふぅん、という顔で朱莉がじっと見つめる。「もっと浮かれても良さそうなのに、なんでそんなにモヤっとしてるのか気になって仕方ないんだけど」廉と一緒に過ごしている時は、本当に幸せで、満ち足りているのだが、離れて冷静に考えてみると、やはり、自分ごときが廉の彼女だというのは、釣り合いが取れないように感じて不安になる。「浮かれすぎてて、これじゃダメだって、思ってる感じ‥‥」朱莉が、目を細めて呆れたような顔をする。「何言ってんだか。なんで浮かれちゃいけないの。まだ、付き合いはじめでしょ? 今が一番浮かれる時期じゃん」ははは、と乾いた笑いを浮かべてごまかす。朱莉は、ますます目を細めてうさんくさげに見ている。「まぁ、いいけど。綾香は、変に真面目だからね。そうそう、菱本くんが、綾香が最近、綺麗になったって営業部でめちゃくちゃ噂になってるって言ってたよ。私もそう思う」店員が蕎麦湯を持って来て、伝票
last updateLast Updated : 2026-07-24
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33:妬みと羨望②

今頃は、ヒートアップした桐谷秋穂に好き放題言われていることだろう。眉間に皺を寄せて目を瞑っていると、チンっと音を立ててフロアについた。扉が開いた先の待合のソファに、エリカが優雅に座っている。綾香に気づくと笑顔を向けて立ち上がった。「綾香、待ってたのよ。ごめんなさい、急に来て」相変わらず、綺麗な人だ。ふっと3日前の電話の向こうを思い出した。「水無瀬専務は明日まで居りませんが、何か御用がおありでしたか?」そう声をかけると、綾香のビジネスライクな口調に一瞬ひるんだようだったが、気を取り直して、笑顔を向ける。「廉がいないのは知ってる。昨日まで一緒だったから。その時の書類にうちのボスのサインを入れてもらったから持ってきたの」昨日まで一緒だった‥‥強張りそうな顔を必死で緩めて、笑顔を作る。「それに、綾香に会いたくて」「私にですか?」「職場に勝手に押しかけちゃいけないのはわかってるわ。でも、なかなかプライベートで会う機会が無いし、私、綾香の連絡先を知らないから」正直、エリカがとても良い人だというのはわかる。だからこそ、あまり仲良くなりたくはない。廉を奪われてしまうかもしれないのに、仲良くなんて‥‥余裕のない自分に呆れる。「急だけど、今日の夜、良かったら食事に行かない? どうしても話をしたいことがあるの」本音を言えば、行きたくはない。さっきのダメージもあるので、今夜は家でゆっくり過ごしたい。夜には廉と電話で話もしたい。とはいえ、ここまで誘われて、行けませんということもできない。仮に今日がダメだと伝えても、日を改めて約束をすることになるだろう。思わず出てしまいそうなため息を抑えて、笑顔のまま返事をした。「はい、今夜、大丈夫ですよ。どこに伺えばいいですか?」エリカは、綾香の両手を握って喜んだ。その姿を見て、こんな可愛くて素敵な人を冷たくあしらおうとする自分のことを、本当に狭量で嫌な人間だと思った。エリカは自分の名刺の裏に、自身のメッセージアカウントと店の名前、電話番号を書いてカウンターに置く。
last updateLast Updated : 2026-07-25
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34:小さな自分

エリカとの約束の時間に合わせて、1時間ほど残業をした後、帰り支度をする。コートを手に取ったところで携帯がメッセージの着信を告げた。『今日の夜は、少し早く電話できるかも』廉からだった。メッセージの内容に、ますます約束の店に行く足が重くなりそうだ。『今日はこの後、エリカと食事に行く予定』と返信をすると、『エリカはいい奴だよ。きっと綾香と仲良くなれると思うよ』と返って来た。いい奴‥‥手放しのざっくりとした褒め方が、相手を内に入れている感じがして、余計に綾香のモヤモヤを掻き立てる。何を返せばいいのかわからなくなり、適当に返事のスタンプを送った。エリカとの待ち合わせの店は、こぢんまりとした隠れ家的なビストロだった。駅の反対側にあり、あまり行ったことのない場所だ。店に着くと先にエリカが待っていて、手を振って合図する。「ここわかりづらかったでしょ? 迷子にならなかった?」席に着くと、すぐにウェイターがやってきて、飲み物のオーダーを聞いてくれる。「素敵なお店ですね。近くに勤めているのに、ちっとも知りませんでした」「いいお店でしょ? この間、廉に連れて来てもらったのよ。私、そんなにこの辺りに詳しくないから、知ってるところにさせてもらったの」廉に連れて来てもらった店‥‥仕事をしていればそんな機会はいくらでもあるだろう。いちいち細かいことを気にしない、と自分に言い聞かせる。食前に何を飲むかメニューを見せられて、おススメを聞く。おいしいプロセッコがあると言うのでそれを頼んだ。「ねぇ、綾香はお酒を飲むほうなの?」「いえ、普段、一人で飲むことはほとんどないですね。エリカさんは飲みますか?」エリカがもっと砕けて話したがっているのはわかったが、どうしても少し距離を取りたい。心の中で密かに、ごめんなさい、と呟く。「私は、日本に来てから梅酒にはまっちゃって。夜寝る前に毎日飲んでるの。あれ、甘いでしょ? おいしいけど太りそう」どう見ても太る要素のなさそうな、美しくバランスの取れた体形に、ふふふと軽く笑みで返す。泡の入った細いワイングラスが運ばれてきて、軽くグラスを合わせる。甘いイタリア産のスパークリングが喉を潤す。「綾香は、孝也と一緒にアメリカには来なかったわね。廉からは、孝也同様、兄妹みたいに育ったって聞いてたの。もし、来てくれてたら、もっと親
last updateLast Updated : 2026-07-28
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35:クマに注意

うじうじとして、すっかり深夜思考に苛まれ、昨夜はうまく眠れなかった。せっかく好きな人と思いを遂げたばかりだと言うのに、朱莉の言うように、もっと浮かれたいと思う。とことん卑屈な自分が悲しい‥‥。「目の下のクマが凄いけど、どうしたの? コンシーラーで化粧直ししてくる? 貸すわよ?」御園さんの、おはようの後の言葉がそれだった。よほどひどいらしい。「後で鏡見てきます」愛想笑いで返して、仕事を始める。朝自宅を出る前に、廉に、おはようのメッセージを送ると、もう空港にいるようだった。昼過ぎには会社に戻ってくるのだろう。忙しい彼につまらない甘え方をしないようにしっかりしよう。洗面所で目の下のクマを確認するついでに、ペチペチと頬を叩いてみた。席に戻り、営業のいくつかの部署に回す書類を作成する。できた物から廉に確認をしてもらうためにフォルダに保存していく。そうこうしているうちに昼を回り、廉が香港から戻ってきた。「専務、お疲れ様です。お帰りなさいませ。ご不在中に入ってきた案件については、PCのフォルダの方に入れてあります」手短に要件を伝える。「ありがとう」御園さんが、総務から回ってきた確認書類について、廉と話をしている。彼と目線を合わせることなく、仕事を続けた。6時を過ぎて、御園さんが隣でうーんと体を伸ばす。「最近、つわりはどうですか?」「うーん、まだね。今がちょうどそういう時期だから。ちょっと寝不足だったり、食べ過ぎたり、ほんの少しのことで体調が悪くなるの。こうなってみて初めて働きながら自分を育ててくれた母の偉大さがわかるわ」眉を寄せて、ふふふ、と笑う。「たぶん、年末年始のお休み明けにはもう少し体調が落ち着くと思うの。1月中旬には4か月になるしね」「無理なさらないでくださいね。私、まだまだですけど、できる限り早く仕事で役に立てるようになりますから」「ありがとう、高辻さん。後任があなたで本当に良かったって思ってるのよ」
last updateLast Updated : 2026-08-02
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36:香港の夜(廉サイド)※

香港での新しいリゾート施設のオープンに向けて、周辺の観光協会、公的機関を招いての会食が行われる中、窓の外に沈む夕日を見ながら、綾香とのことを思い出していた。綾香と自分とでは、互いを想う気持ちに温度差があるのはわかっている。綾香にとって自分は、幼馴染の憧れのお兄さんの延長で、自分を男として意識していたかどうかもわからない。でも、それは構わなかった。綾香と通じ合えた今、彼女が自分ほど強い思いを持っていなかったとしても、ゆっくりと気持ちを育てればいい。少なくとも、好意があるからこそ、こうして愛し合うことができたのだから。本当は、こんな場所で仕事などせずに、彼女と一緒にずっと籠っていたかった。あの日、綾香が、ベッドで手を広げて、自分の名前を呼んで、抱きしめてくれたことに、恐ろしいほどに舞い上がっていた。思春期をこじらせすぎたせいか、まるで初めての行為に夢中になる10代のように欲求が収まらず、いくらでも彼女が欲しくなった。盛り過ぎないように、どれほど心の中で自分を戒めたか。2度目に愛し合った時、最初に比べて柔らかくなったとはいえ、狭く熱い綾香の中に入ると、背筋を快感が這い上り、すぐにも精を零してしまいそうだった。彼女が快感に頬を染めて、自分の首に縋り付き、腰を揺らし始めると、子宮が下りて自分の物がその入り口を叩いているのがわかった。押しつぶすように、そこを突くと隘路が蠢き、自分の物を強く絞る。まるでその形を覚えようとしているように。強く首にしがみつき、細い嬌声を上げて達する姿に、あぁ、いつか自分の全てをこの奥に放ちたい、と強く感じた。二人でシャワーを浴びて、綾香に自分のスウェットを着せて、その可愛い姿を抱きしめてソファで二人で映画を見た。「あ、これにしようよ。これ、映画館に一緒に見に行ったよね。孝くんが私のワンピースにコーラこぼして、最後まで見れなかった奴」「俺も結局、最後まで見て無いから、リベンジだな」ピザを頼み、互いにソースのついた指をなめ合う。もし、アメリカに行っている間に綾香が来ることがあって、二人がこういう関係になっていたら、それはそれで幸せな妄想なのだが、恐らく自分は
last updateLast Updated : 2026-08-04
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37:小さな嘘と大きな誤解※

会食に出かけられるように、コートとビジネスバッグが置かれたソファの端に、ちょこんと座る。「綾香、昨日の夜は、誰と飲んでたの?」廉はデスクに寄り掛かって、硬い表情でこちらを見ている。「あ、エリカさんと食事して‥‥」いい加減な嘘をつくとこういう目に合うのはわかっていたはずなのに。廉はエリカと話をして、きっとエリカと飲んでいたわけではないことを知っているのだろう。馬鹿な自分が恨めしい。「食事をして?」その先を促すように廉が言葉を復唱する。「食事をして、その後‥‥家に帰ったの」廉の顔を伺い見ると、綺麗な片眉を上げて、疑わしそうな目で見ている。そして、大きくため息をついた。「俺のしつこい連絡が鬱陶しくなったのか?だったら、そう言えばいいだろう。嘘なんかつかずに」「ちがっ、そんなんじゃない。そうじゃないの」「じゃぁ、本当は誰かと飲んでたのか? 随分と寝不足気味に見えるけど、朝まで誰かと一緒だった? 俺がいないから?」堅い表情で、冷たい口調の廉の様子に、どうしていいかわからなくなる。小さな子どものようなごまかしをして、自分で自分の首を絞めている。子どもじみた妬みを抱えた自分を知れば、廉はさぞ呆れるだろう。その時、外のカウンターの電話が内線を告げた。「‥‥電話に出てきます」俯き加減に言って、席を立った。会食に行く時間を過ぎたので、立浪部長がエントランスで送迎車とともに待っているという連絡だった。見送りの為に一緒にエレベーターに乗ろうと、廉の後ろをついて行こうとカウンターから出ようとしたら、顔も見ずに、下りてこなくていい、と冷たく告げられた。エレベーターに乗り込む廉に向かって礼をして下げた頭が上げられず、ポタポタと絨毯に涙が零れた。自分が情けなくて、不甲斐なくて、悲しかった。頭を下げたまま手探りでティッシュを取り、涙を拭う。こういう時は顔を上げるとせっかくのコンシーラーが崩れるから。涙を拭い去って、のろのろと帰宅の準備をしてエレベーターに乗り込むと、途中で菱本ともう一人営業部の1つ上の先輩が乗り込んできた。
last updateLast Updated : 2026-08-06
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38:変わるのは自分から①

目の前で回る洗濯機を眺めながら、先週の週末は幸せに過ごしたな、と思い出した。御園さんの後任に選ばれてからのこの3週間余り。ジェットコースターのように気持ちが乱高下している。そして今はどん底だ。それもこれも全て自分が悪い。『明日、孝也も来るって。なんか大事な話があるんだって♡』母からのメッセージが携帯の画面に浮かんだ。メッセージの最後のハートマークにウキウキした感じが見える。兄に彼女がいるらしい、と言うのはそれとなく母から聞いていた。結婚でもするのかな。でも、まだ、大学院に行きながらの勤務医なんて生活大変なんじゃないかな。直面したくないことがあるときは、なぜかそれ以外のことにやたらと冷静に思考が働く。面倒なことから逃げたがる自分の性格を表していて、笑えてしまう。洗濯ものを浴室に干して、部屋に戻り、コーヒーを片手にカウンターに腰かける。明日は、午前中の内にクリスマスプレゼントを渡しに実家に帰る予定だ。テラスの吐き出し窓の横にある観葉植物に多めに水を入れておこうと窓辺に寄り、カーテンの外を見る。景色の端に廉の住むマンションが見えた。ここからではどれが彼の部屋かはわからないし、たぶん、まだ帰っていないだろう。 このままでいいのだろうか。彼が連絡をくれるまで待っていていいのだろうか。もし、このまま関係が終わってしまったら? 恵まれた環境だからと、小さい頃から周囲にヒソヒソと妬まれることが多く、自分から行動を起こすことを控えてしまうようになっていた。主張をすれば、それに対して、何かの言葉が返ってくる。その中に含まれる小さな悪意が苦しかったのだ。それがいつしか後ろ向きな姿勢を作ってしまっていた。このまま、どうせ自分なんて、と廉への気持ちを沈めてしまって、それで今の恋が終わって後悔しないだろうか。菱本のように、目の前で幸せになっていく廉を見ていられる? 自分がどんな思いを抱えているか知ることなく笑う彼を見ていられるのだろうか? そうだ、私は、まだ、何も彼に伝えていなかった。惚けたように見つめていたら、自分の気持ちに気づいてくれるだろうと思っていただけだ。そして、優しい彼がそれに応えてくれただけなのだ。グルグルと絡まってい
last updateLast Updated : 2026-08-08
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39:変わるのは自分から②

「どう‥‥どうでもよくはない‥‥です」語尾が少しずつ小さくなる。心のどこかから、もういいんじゃない?どうでもいいって言うんだし、わざわざ自分をさらけ出さなくても、そういう声が聞こえる。小さく首を振って、その声を振り払う。「昨日は、エリカさんと食事をして、すごく落ち込んでしまって。それで、どうしても廉と話をするのが怖くて」廉の眉間に皺が寄る。「なんで、エリカと話して落ち込むことがあるんだ? 何か言われたのか? そんな悪い奴じゃないと思ってたが。言い難くても何でも教えてくれ。綾香を傷つける言葉は許せないな」「あ、違う違う。エリカさんは私に意地悪を言ったりはしないわよ。本当に‥‥すごく良い人だから」廉の顔から目を反らして、大きく深呼吸をした後、口を開く。「なんでもできて、綺麗で優しいエリカさんが羨ましくて、妬ましくて仕方なかったの。私の何が廉の気持ちを引き寄せられるだろうって思ってしまって。で、何も思い浮かばないから、すっかり落ち込んでしまったの」言いながら、鼻の奥がツンとしてくる。情けないことに、泣いてしまいそうだ。「廉のように何でもできる人の隣に立つには、私は余りに出来が悪すぎて、本当に嫌になっちゃって。どうして、もっと頑張って来なかったかなぁ、とか、どうして、もっと綺麗に生まれてこなかったのかなぁ、とか、くだらない劣等感でいっぱいで」ポタポタと膝の上に握りしめた拳に涙が落ち始める。こんな女々しいのは良くないってわかってるのに、涙が止められない。「でも、廉が好きなの。ずっと好きなの。隣に立てなくても、傍にいられなくても大好き。どうしていいかわからないくらい好き‥‥」叫ぶように発していた言葉の途中で抱きしめられていた。シャツの胸に縋り付いて、嗚咽を漏らす。「俺のことがそんなに好きなの?」涙が少し落ち着いてきた時に、頭上から言葉が降って来る。いつもの優しく甘い口調。「‥‥大好き‥‥です」こもった掠れた声で返す。縋り付いている胸が大きくため息をつく。「もう一回言って、どのくらい俺
last updateLast Updated : 2026-08-10
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40:愛とは週末に育つもの

ツンと立ちあがった乳嘴を舌で舐め上げられる。「はっ‥‥ん」「綾香、俺の服も脱がせて」おぼつかない指先で廉のシャツのボタンを外していく。その間も胸への愛撫は続いていて、キュッと先端を摘ままれる度にピクンと指先が止まる。ボタンを外したシャツを廉の肩から滑らせる。抱きしめられて、敏感になった胸が廉の胸に擦りあわされる。それだけで、背筋を快感が走り、この後、廉に与えられるであろう喜びを思い出して体が震えた。背中に回された手が、後ろから尻の丸みを確かめるようにして撫でている。体の向きを変えられ、ひじ掛けにあるクッションを背に大きく足を抱え上げられた。「あっ」下着を抜きとられ、大きく足を開かされた状態に、羞恥で顔が真っ赤になる。唇が、膝の裏から撫でるように足の合わさる中心へと向かっていく。どこに手をやっていいかわからず、片手を廉の二の腕にそっと触れると、指を絡めてギュッと握られた。蜜をたたえた襞の隙間を舌で舐め上げられ、その熱さに体の奥からさらに蜜が溢れた。廉は、足を肩に抱えるようにして、体を割り入れると、舌を隘路に突き入れてくる。「ふっ、んん」くちゅくちゅと水音がして、どうしようもないほどに体の奥から湧き出てくるものがある。「綾香、俺を欲しいと言って」足の付け根の窪みに頬を押し付けて、廉が掠れた声で呟く。羞恥と興奮で頭がパンクしそうになっている。絡められた指をギュッと再び握って、火照った顔で廉を見つめる。「廉、廉が欲しいの。お願い」「俺は、ずっと綾香が欲しかったよ。欲しいって思ってはいけない時も、ずっと‥‥」廉が体を起こし、唇を寄せる。蜜口に熱く固いものが触れる。「いつだって、俺は綾香にだけ余裕がないんだ。知らなかっただろう?」掠れるような語尾で呟いた後、一気に綾香の中に押し入ってくる。「あぁぁ、んん」思わずこぼれた嬌声を、廉の唇が掬う。舌を絡め、深く繋がり合って、互いを感じ合う。「ん、綾香、熱いね‥‥はぁ、綾香の中
last updateLast Updated : 2026-08-12
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