全国放送の生放送。 私の姿は今、この瞬間日本中へ流れている。 高校時代の私を知る人がこの光景を見たら、きっと目を疑うだろう。 地味で、芋くさくて、取り柄のない女。笑われ続けた私が、今こうして全国放送のスタジオでスポットライトを浴びているのだから。 ……何より。 海皇星桜生は、どんな顔をしてこの放送を見ているのだろう。 「お前のような地味でセンスのない女に、そんな服が似合うわけがない」 「俺とは釣り合わない」 そう吐き捨てていたのだから。 そんなことを考えていると、 「――今、アパレル業界で最も注目を集める若手起業家、株式会社『Léna』代表の望月レナさんにお話を伺います」 スタジオに司会者のよく通る声が響いた。カメラの赤いランプが静かに点灯する。 私は軽く息を整え、インポート風セットアップの袖口をそっと整えた。 今日の特集は、日本を変える若き経営者たち。 その一人として私が選ばれた。 昔の私なら、人前に立つことさえ怖くて逃げ出していただろう。 でも、もう違う。 あの日、踏みにじられた涙も、否定され続けた悔しさも、全部、『Léna』の礎になった。 「よろしくお願いします」 「『Léna』がここまで多くの女性から支持される理由を、ご自身ではどうお考えですか?」 「秘訣というほどではありませんが……私はただ、『誰かの基準に合わせる服』ではなく、『自分が一番愛せる自分になれる服』を作りたかったからです」 「なるほど。だからこそ、多くの女性が共感しているのですね」 私は小さく微笑む。 本当の理由は口にしない。見返したい。ただ、その一心だった。 「この度は、特集に参加してくださり、ありがとうございます」 インタビュアーの感嘆の声を最後に、カメラの赤いランプが消えた。 *** ――同じ頃、都心の高層ビルの一室。 デスクに向かっていた俺、海皇星桜生は、点けっぱなしにされていた壁掛けのテレビ画面へふと目を向けた。 画面に映し出されていたのは、全国放送で堂々とインタビューに答える若きアパレル会社代表の姿。 『自分が一番愛せる自分になれる服を作りたい』 凛とした声でそう語り、優雅に微笑む美しい女性。 その横顔を目にした瞬間
最終更新日 : 2026-08-07 続きを読む