All Chapters of 入学早々、医療戦士に選ばれました〜光のハンカチと3人の治療簿〜: Chapter 1

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第1話 ルミエールアカデミーをバカにするな!

 ルミナス市の中央駅を出た瞬間、俺は思わず足を止めた。 朝の光を受けた硝子張りの建物が、空まで届きそうなほど高く連なっている。建物と建物のあいだには半透明の通路が渡され、その内側を淡い青白い光が絶えず流れていた。 遠くから見れば、街の上空に何本もの光の川が浮かんでいるように見える。 通りには、朝から多くの人が行き交っていた。仕事へ向かうらしい人、制服姿の学生、荷車に薬草の籠を積んだ商人。焼き立てのパンの香りと、薬草を煮出した飲み物の少し苦い匂いが混ざり合い、村の朝とはまるで違う空気を作っている。 俺は胸の内ポケットに入れた封筒へ、そっと手を当てた。 白い紙に、細い金色の縁取り。 中央には、光を抱く獅子と薬草を組み合わせた紋章が刻まれている。 今朝、俺が育った孤児院へ届いたばかりの合格通知だ。 何度読んでも、書かれている文字は変わらない。 ルミエールアカデミー医療専門学校への入学を認めます。「……本当に、合格したんだよな」 誰に聞かせるでもなく呟き、封筒の角を指先で押さえた。 紙越しなのに、そこだけがまだ熱を持っているような気がする。 入学試験を終えた日から、ずっと落ち着かなかった。 答えを間違えたかもしれない問題が、いくつも頭に浮かんだ。あの設問は、もっと早く答えを出せたはずだ。最後まで迷った選択肢もある。試験官が答案を集めていく背中を見送ったあとで、急に正しい答えを思い出した気さえした。 終わった試験のことを、いつまでも考えても仕方がない。 分かっていた。 分かっていても、古い問題集を引っ張り出し、もう答えの出ない問いを解き直してしまう夜があった。 俺は、最初から何でもできる人間じゃない。 一度で覚えられないなら十回書いた。十回で足りなければ、覚えるまで繰り返した。 分厚い教本を前にして眠気に負けそうになった夜も、理解できない言葉ばかりが並ぶページを閉じたくなった日もある。それでも投げ出さなかった。 医療の道へ進みたかったからだ。 苦しそうにしている誰かのそばで、何もできずに立ち尽くすことが嫌だった。 知識があれば。 技術があれば。 少しでも落ち着いて、正しいことを考えられるようになれば。 自分にも、誰かを助けられる日が来るかもしれない。 そんな願いだけを頼りに、ここまで来た。「浮かれてる場合じゃないな」
last updateLast Updated : 2026-08-05
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