秋の気配が混じり始めた心地よい風が、学園のテラス席を吹き抜けていく。白銀の髪をふわりと揺らしながら、エルミナは淹れたての紅茶を口にし、うっとりと目を細めた。その向かい側では、漆黒の髪をなびかせたルシエラが、優雅な所作で小さな焼き菓子を口へと運んでいる。「ふふ、やっぱりルシエラちゃんと飲むお茶が一番おいしいな」「もう、エルミナったら。毎日のように一緒にいるのに、よく飽きないわね」ルシエラが少し呆れたように、けれど心からの温かな微笑みを浮かべて返事をする。その瞳には、かつて周囲を寄せ付けなかった氷のような冷たさはどこにもない。自分に向けられるまっすぐで優しい光だけが存在していた。エルミナは胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じていた。(ああ、本当に幸せ……。ずっと、こういう世界になればいいって思っていたんだもの)エルミナ自身、いま起こっていることの「正確なカラクリ」など何も知らなかった。なぜあれほど刺々しく、自分を敵視していたルシエラが、ある日を境にこんなにも優しく微笑んでくれるようになったのか。なぜ以前は学園に漂っていた殺伐とした空気や人々の中毒的な争いが、いまや嘘のように消え去り、誰もが穏やかに笑い合っているのか。彼女にとって、難しい理由は必要なかった。幼い頃からずっと祈り続けてきたこと――世界から争いが消え、みんなが傷つけ合うのをやめ、大好きなルシエラと手を取り合って笑い合える日が来ること。その「理想の祈り」が、神様の奇跡によってようやく結実したのだと、エルミナは本気で信じ切っていた。「ねえ、ルシエラちゃん。明日の放課後、王都の新しいドレスショップに行ってみない? すごく可愛い新作が入ったって、他のクラスの子から聞いたの」「ドレス? ふふ、いいわね。エルミナに似合う明るい色のドレス、私が選んであげるわ」「本当!? 嬉しい! 絶対ルシエラちゃんに選んでもらったのを着るね!」無邪気に喜ぶエルミナの姿を、ルシエラは心から愛おしそうに見つめている。その時、エルミナの胸の奥で――誰にも聞こえない、ごく小さな「歪み」の音が響いた。(……あやしいな。ルシエラちゃんの深いところにある『何か』が、まだ少しだけ冷たい)エルミナの意識の表面は、純粋で無垢な少女のままだ。だが、彼女の魂の深層に根を張り、彼女の存在そのも
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-06 อ่านเพิ่มเติม