私は死んだ。なのに、どういうわけか魂だけが透真のそばに戻ってきてしまった。夜空いっぱいに広がる花火の下、彼は車椅子を優しく押していた。光と影に彩られた横顔は、息を呑むほど端正で美しい。「誕生日おめでとう」車椅子に座った美雪が顔を上げ、幸せそうに微笑んだ。「ありがとう、透真。こんなに楽しい誕生日は初めて」「喜んでもらえたならよかった」美男美女の2人は、通りすがりの人々がカメラを向ける中、まるで絵本から抜け出してきた王子様とお姫様のように見えた。私は自嘲気味に笑った。現世に魂が戻されたのは、仲睦まじい2人の姿を見せつけるためなのだろうか。生きていた頃なら、立ち去ることができたし、腹を立てて騒ぎを起こすことだってできた。けれど、死んでしまった今、私は透真のそばから離れられない。5メートル以上離れようとすると、見えない力に引き戻されてしまうのだ。なんという絶望的な状況なのだろう。轟音とともに花火が夜空に弾け、無数の光の花を咲かせる。美雪はうっとりと見入っていたが、透真はスマホを取り出した。画面に表示されていたのは、私とのメッセージのやり取り。大半は、彼の体調を気遣ったり、何をしているのかと尋ねたりするメッセージ。けれど、最後の数通は、私が助けを求めたものだった。【透真、誰かにつけられてる気がする】【透真、今どこにいるの?怖い……迎えに来てくれない?】【透真、私、悪い人たちにさらわれたの。犯人たちに4億を要求されてる。お願い、助けて……助けてくれるなら、離婚でも何でもする。あなたが月島さんと一緒にいたいって言っても、もう何も言わないから……】そして、その下には、長い沈黙のあと、ようやく返ってきた透真からのメッセージがあった。【金なんてない。本当にさらわれたっていうなら、それはそれでいい。少しは痛い目を見て、身勝手な性格を叩き直してこい】そのメッセージを読んだ瞬間、私の心は死んだ。犯人たちに服を引き裂かれたときでさえ、もう恐怖も屈辱も感じなかった。犯人たちは容赦なく私をいたぶり、好き放題に弄んだ。抵抗するたびに手足を折られ、全身を突き抜ける激痛に、やがて指一本動かすことさえできなくなった。私から返事がないことに気づいたのか、透真は眉をひそめ、さらにメッセージを送りつけてきた。【自分の過ち
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