尾獣(びじゅう)は『NARUTO』の世界観において、強大な力を宿した巨大な獣たちの総称だ。もともと十尾が分裂して生まれた九体の存在で、それぞれが独自の性格と能力を持ち、人柱力と呼ばれる忍者に封印されることでその力を制御されている。一尾から九尾まで番号で呼ばれ、特に九尾のキュウビは物語の中心的存在として描かれる。
これらの存在は単なる破壊の道具ではなく、憎しみと孤独に縛られた悲劇的な側面も持つ。例えば、守鶴は砂隠れの村に封印され、我
愛羅の苦悩の根源となった。一方で八尾の牛鬼は
キラービーと絆を築き、人と尾獣の共存を示す希少な例でもある。彼らは戦争の兵器として利用される一方、最終的にはナルトと仲間たちによって理解され、真のパートナーシップが築かれる。
物語後半では、尾獣たちが本来ひとつだった十尾の一部であることが明らかになり、忍界全体の命運を握る鍵となる。特に第四次忍界大戦では、全ての尾獣のチャクラが集約されることで無限月読計画の核心に関わる。ナルトがキュウビと和解し、全ての尾獣と対話できたことが、戦争終結の転機となった点は特筆すべきだろう。
彼らの存在は単なる戦闘力の尺度ではなく、『理解されない力』の象徴として物語に深みを加えている。最終的には尾獣たちも自由を得て、人柱力との新しい関係性を模索する姿が描かれ、武力ではなく信頼に基づく結末が提示される。