心の帰る場所、人は常ならず遠距離恋愛をして3年、彼氏である陸川海斗(りくかわ かいと)は一度も私に会いに行かせてくれなかった。
私は悔しくて泣き喚いたこともあったが、海斗はただ疲れたように言った。
「望美(のぞみ)、これは君のためだよ」
その言葉で、私は一瞬で何も言えなくなった。
なぜなら、本当にそれは私のためだったから。
遠距離恋愛の最初の一年、私は何度も彼に会いに行った。
初めて行ったとき、私が家を出たあとガスの元栓を閉め忘れ、火事で家が全焼してしまった。
二度目は、私が乗っていたエレベーターが故障し、中に半日以上閉じ込められ、酸欠でほとんど気を失いそうになった。
三度目は、これほど不運が続くとは思わなかった私だが、空港に向かう途中で交通事故に遭い、ICUで3日間寝たきりになった。
それ以来、海斗との遠距離恋愛は、彼から私への一方通行の航路になった。
ところが今回、会社の都合でたまたまJ市に出張することになった。
私は海斗に知らせず、運良く今回はうまくいくよう神様に願った。
願いは叶ったかのように、飛行機が無事に着陸した。
その時、私は興奮して、海斗にメッセージを送ろうとした。
しかしふと、迎えに来ている人々の中に彼の姿を見つけた。手には赤いバラの花束を抱えていた。
私は、彼と心が通じたのか、あるいは友達が彼に知らせたのかと思った。
歩み寄ろうとしたその瞬間、彼が笑顔で別の女の子に抱きつき、キスをしているのを見てしまった。