白髪になる日を待てない結婚して5年目石田啓太(いしだ けいた)は浮気をした。
石田奈緒(いしだ なお)に隠れて外で愛人を囲っていた。しかし奈緒は、それを知っても泣き喚いたりせず、翌日にはその愛人をうまく誘導して港市のお金持ちのもとに自ら行かせた。
それ以降、啓太は何事もなかったかのように以前と変わらず優しく気遣う良き夫を演じ続けた。
奈緒はそれが一時的な出来事だと思っていた。
しかし一年後。
実家の会社が倒産。
父は莫大な借金を抱えて飛び降り自殺し、母は債権者に辱められ命を落とし、弟は交通事故で植物状態に。
奈緒もあまりのショックに倒れ、寝込むこととなった。
そして死の直前、啓太は顔を歪めてこう言い放った。
「お前のせいで、安子はベッドの上であのジジイに惨たらしく殺されたんだ。全身傷だらけで死んでいった。こんな日が来ると想像できなかったのか?奈緒、これは報いだ!」
すべては啓太の復讐だった。
ベッドに横たわる奈緒は、血の気の引いた顔で命を賭けて愛した男を呆然と見つめるとそのまま息絶えた。