骨髄を捧げて、死んだ日私・新田真綾(にった まあや)の骨髄移植の手術当日。
母から電話がかかってきた。
「また仮病?骨髄を提供するだけでしょ。そんなに大げさに『死ぬ』みたいなこと言って、誰に見せてるの?」
その傍らで、弟の新田翔真(にった しょうま)が低く吐き捨てるように言った。
「どうしてそんなに腐ってるんだよ。彼女に借りがあるなら、それくらい当然だろ。死ねって言われても仕方ないじゃないか」
そして、恋人の西園綾人(にしぞの あやと)までもが、怒りを抑えきれずに言葉をぶつけてきた。
「骨髄ひとつだろ!死ねって言ってるわけじゃない!どうしてそんなに自分勝手なんだ!」
――誰も知らない。私の体は、骨髄を提供すれば命を落とすことを。
それでも、みんながそう望むのなら。私は、その望みどおりに死ぬだけだ。