兄の俺が魔法少女で何か問題でも?「お嬢さん、誤解しないでください。私はただのしがないタクシー運転手で、あなたの先生じゃありません」
運転席に座る黒髪の青年は、目の下に濃いクマを浮かべ、必死に弁解した。
「いいえ、あなたが先生です」
後部座席には、息を呑むほど美しい金髪の少女がいる。彼女は頑なな表情を崩さず、ひたすらに青年の袖を引っ張っていた。
「ちょっと、お嬢さん!これ以上引っ張るなら、セクハラで通報しますよ!」
「先生の匂い……絶対に間違えるはずがありません!」
少女は怯むどころか、さらに距離を詰めてきた。
「勘弁してくださいよ……本当に先生じゃないんです。魔法少女になんて興味ないし、魔法アイドルのライブだって見たことない。そんな私が、あなたの先生なわけないでしょう?」
……
「先生、ついに本来の姿を見せてくださったんですね」
金髪の少女の瞳が感動に潤む。それはまるで、長年生き別れた肉親と再会したかのような眼差しだ。
しかし、銀髪のマンダラは、不思議そうにコテリと首を傾げた。
「申し訳ないけれど、お嬢さん。何か勘違いをしているようね……
私は『魔女』であって、あなたの『魔法少女の先生』なんかじゃないわ!」