カスタムショップに足を運んだときの匂いや道具の音を思い浮かべるだけで、作業の優先順位が頭に浮かぶ。まず私が注目するのはショックとスプリングのセットアップだ。現行
ギャランは車格と重さのバランスが独特なので、単に落とすだけのスプリングでは乗り味が崩れる。そこで減衰力が細かく調整できるダンパーを入れ、フロントとリアで板バネレートを最適化することでコントロール性を引き出すのが定石だ。
次に足回りの取り付け剛性を高める作業を加える。ゴムブッシュを硬めの素材に交換してフロアからの入力を直接サスペンションに伝え、ステアリングの初期応答を鋭くする。ストラットタワー周りやサブフレームのガタをチェックして必要なら補強プレートを挟み、サスペンションジオメトリの狂いを最小化する。そしてアライメント作業を丁寧にやること。キャンバー、キャスター、トーのバランスを取るだけでタイヤの接地感と直進安定性が劇的に変わる。
最後に実走チェックを繰り返してセットを詰める。私は数回の段階を踏んで乗り心地と性能の落としどころを探す派だ。街乗りの快適性を残したいなら減衰の柔らかい領域を残す。攻めたいなら全体的に引き締めてコーナリングでのロールを抑える。ギャランの足回り改良は“一発で決める”より“段階を踏んで合わせる”方が長く楽しめると結論づけている。