この作品の小説と映画で最も驚いたのは、同じテーマを扱いながら全く異なる味わいになっている点です。原作では「音波が地球を救う」というSF設定が詳細に説明され、科学的な裏付けのようなものまで感じさせます。文章の持つ想像力の余地が広く、読むたびに新たな発見があるのが楽しい。
対する映画版は、青春映画のような明るさと疾走感がありました。特に学生バンドの描写が生き生きとしていて、小説では
傍観者的だったキャラクターたちが前面に出てきます。危機の描写も、小説の静謐な恐怖とは対照的で、アクション映画のようなスリルさえ感じました。同じ物語がこれほど違う形で楽しめるとは、作者の手腕が光ります。