ざっと眺めると、公式プロフィールが特に重視しているのは“存在の輪郭”を示すための要素だと感じる。まず目につくのが種族と能力で、
フランドルは吸血鬼という枠組みに置かれながらも、単に血を吸う存在ではなく「破壊の力」を持つ者として描かれている点が強調されている。これによりゲーム内での危険度や戦闘上の役割が明確になり、プレイヤー側にも「手強い異質な存在」という印象を刻みつける効果がある。
次に住処と関係性だ。紅魔館という場所や姉である
レミリアとの結びつきが公式情報の中で重要な位置を占めているため、フランドルの孤立や管理された生活、そしてそれが生む精神的な不安定さといった性格描写が補強される。特に『東方紅魔郷』におけるExtraステージの扱いは、単なるボスキャラクターではなく物語的にも象徴的な存在としての見え方を強める。公式が示すのは詳細な生い立ての説明ではなく、関係性と機能を優先する設計だと受け取れる。
最後に、曖昧さの意図的な残し方にも注目している。年齢や詳しい過去、能力の限界などをはっきり書き尽くさないことで、二次創作や解釈の余地を残している。外見的な特徴(帽子や衣装、クリスタル状の翼など)はファンアートで確立された要素が多く、公式設定はそれらを完全に固定化しない傾向にある。だからこそ公式プロフィールはコアとなる設定──種族、能力、居場所、関係性、危険性──を重視しつつ、物語やファンの想像を引き出す“隙”を残しているように思える。そういうバランス感が、キャラクターを長く愛される存在にしているのだと感じている。