タイトルのクレジットを眺めていると、当時のキャスティングがなんだか映画の裏話みたいに感じられて楽しい。1970年代にかけてアメリカで放送されたあのコメディドラマ、'
奥さまは魔女'の主要キャストを挙げると、まず真っ先に名前が浮かぶのはサマンサ・ステファンズ役のエリザベス・モンゴメリーだ。彼女が演じたサマンサは作品の中心で、魔法を使いながらも家庭や夫との生活を大切にする姿が魅力だった。
続いて夫ダリン・ステファンズは、シリーズ前半をディック・ヨークが演じ、健康上の理由で降板した後半はディック・サージェントが役を引き継いだという特殊な事情がある。エンドラ(サマンサの母)を演じたアグネス・ムーアヘッドは、魔女らしい強烈な存在感で視聴者に強く印象づけたし、長年の助演として笑いを担ったのがオードラに対する刺々しい反応を見せる隣人たちだった。
近隣のグラディス・クラヴィッツ役は初期にアリス・ピアスが務め、彼女の死後はサンドラ・グールドが引き継いでいる。グラディスの夫アブナーはジョージ・トバイアスが演じていて、二人のやりとりがコメディのいい対比になっていた。また、ラリー・テート(ダリンの勤め先の社長)役はデイヴィッド・ホワイト、ダリンの母フィリス役はマベル・アルバートソンがたびたび登場して家庭ドラマの層を厚くしていた。子どもタビサ(タビサではなく“タビサ”表記の世代差もあるが一般的にはタビサ/タビサ)はエリン・マーフィーが有名で、魔力を持つ子どもの存在が物語に新しい展開をもたらした。また、やや遅れて登場するキャラクターとしては、
エスメラルダ役のアリス・ゴーストリーのような魔女仲間もいる。
この一覧はシリーズの基本ラインナップで、主要キャストは交代やゲスト出演も多かったため、細かい役替わりやゲストの顔ぶれを挙げ始めるとさらに長く語れるほどだ。とにかく、サマンサ=エリザベス・モンゴメリー、ダリン=ディック・ヨーク/ディック・サージェント、エンドラ=アグネス・ムーアヘッド、アント・クララ=マリオン・ローン、ラリー=デイヴィッド・ホワイト、グラディス=アリス・ピアス→サンドラ・グールド、アブナー=ジョージ・トバイアス、タビサ=エリン・マーフィー、というところを押さえておけば主要な顔ぶれはつかめるはずだ。どの俳優もそれぞれの個性でキャラクターを際立たせていて、今見返しても演技の妙に唸らされる。