論破の有効性を厳密に測りたいなら、実験の骨組みを最初に固めるのが肝心だと考える。
僕は被験者をランダムに複数の群に割り当て、各群に異なる「反論スタイル」を提示する実験を提案する。具体的には(1)事実ベースの厳密な反証、(2)因果関係を示す説明的反論、(3)感情や価値観に訴える反論、(4)何も提示しないコントロール群、という四群設計だ。介入前に当該トピックに対する信念・確信度・情報源への信頼度を測り、介入直後と数週間後に再測定して即時効果と持続効果を評価する。
さらに僕は、認知負荷やメモリ保持を測るために理解度テストと自由想起課題を組み込み、行動的な転移を見るために実際の共有・クリック行動を追跡することを勧める。被験者の政治的傾向や教育水準で層別解析を行い、反論が逆効果(いわゆるバックファイア)になるサブグループを特定する。結果の信頼性を高めるために事前登録・十分なサンプルサイズ設定・多重比較の補正を忘れずに行うべきだ。
最後にエコロジカル・バリディティも重要なので、ラボ内だけで完結させず、物語的要素が説得にどう作用するかを検討する場面として『ゲーム・オブ・スローンズ』のファン論争のような実社会の議論事例を参照してフィールド研究へ橋渡しするつもりだ。こうした段階を踏めば、どの種類の論破がどの条件で効果的か、かなり実践的な答えが出せるはずだと思う。