編集者が
ガチムチキャラを見極めるとき、まず注目するのはその“役割の必然性”だ。見た目が強烈でも、物語の中でただの装飾に終わるなら読者の心に残らない。だから私は、キャラの肉体表現が物語上どんな機能を果たすのかを丁寧に検討する。例えば、筋肉があることで説得力を持つ情景、肉体的な困難を通じて成長を描けるか、あるいはその外見が内面との対比を生むか、といった点を重視する。
また、視覚的な特徴は一目で認識できる“シルエット”や“アイコン性”に直結する。私は何度もラフやカバー案を見て、遠目でも誰だかわかるか、コスチュームや小物で個性を出せるかをチェックする。さらに、読者の共感を得るためには弱さやユーモア、失敗の描写も不可欠だ。筋骨隆々でも欠点や脆さがあるほうが人間味が増し、ファンの心を掴む。
最後に、実務面も無視できない。ターゲット層、連載媒体のトーン、グッズ展開の可能性などを総合して採算が取れるかを判断する。『ジョジョの奇妙な冒険』のように強烈なビジュアルが作品全体の世界観と噛み合っている例と比べ、同じガチムチでも作品ごとの使い方次第で反応は大きく変わる。結局のところ、外見と物語的必要性、それから市場性の三拍子が揃って初めて「刺さる」設定になると私は考えている。