大舞台で若手が頼りなく見える瞬間には、観客側の期待値が思いのほか厳しく作用していることが多い。役そのものの重さと俳優の経験値の差が目立つと、演技の線が細く見えやすい。私が最初に感じたのは、物語全体のテンポや先輩役者との呼吸が合っていないと、どうしても浮いてしまうということだった。特に対比がはっきりしている場面では、演技の小さな硬さや間のズレが大きく目立ってしまう。
演出と編集の影響も見過ごせない。若手を才能で抜擢しても、リハーサルや指導に十分な時間が割かれないと、画面上では不自然に感じる。宣伝目的でキャスティングされた場合、求められる演技の幅と俳優の準備の差が埋まらないまま本番を迎えることがあるのだ。私が印象に残ったのは、若手がシーンに集中できるように周囲がフォローできていないケースで、結果としてその人物の内面が伝わりにくくなるという点だ。
個人的には、作品の作り手側にも責任があると考えている。撮影現場での配慮や編集段階でのカット割り、音声の使い方で若手の良さを引き出せる余地は大いにある。若手が大役で“
役不足”に見えるのは単に技量だけの問題ではなく、期待・演出・制作体制・相手役との化学反応といった複合的要因が絡み合っているからだと私は思う。