明治禁色譚~美貌の御曹司と書生の夜
白檀の香る明治の屋敷――
美貌の御曹司・彰人は、まるで飾られた硝子細工のように、触れることさえ許されぬ存在だった。
そこに書生としてやって来たのは、無骨で実直な青年・直哉。
禁欲と理性を信条に生きてきた彼は、彰人の静かな色香に、知らず心を奪われていく。
すれ違いざまに揺れる睫毛、障子越しの気配、
布団に並んだ夜にこぼれる無防備な吐息――
美しすぎるそのひとが、少しずつ直哉の理性を侵食してゆく。
布団に並んだ夜、こぼれそうな吐息。
指先が触れただけで、心が揺れる。
そんな折、彰人に“見合い話”が持ち上がる。
現実の影が、ふたりの関係を静かに裂こうとしていた。
身分差と禁忌、理性と欲望が交錯する、耽美と官能の長編BL。