十五年目の同窓会~ただ、君の隣に帰るために
妻・希美の浮気が発覚した夜、唯史は、自分の中に空洞があることをはっきりと自覚した。
希美の不倫は、ただの裏切りではなかった。それは、唯史が自分から目を逸らしてきた「本当の自分」に気づかせるきっかけだった。
離婚を決め、地元の大阪郊外に帰郷した唯史は、十五年ぶりに佑樹と再会する。
「中学の頃から、お前だけが好きやった」
その言葉と共に重なる唇。崩れかけた心に、温度が染み込んでいく。
友情と愛情の境界、身体と心の欲望、所有と共生。
すれ違いと独占欲を重ねながら、二人は「恋人」という名前以上の関係に進んでいく。
「お前は、俺の帰る場所」
――壊れた日常から始まる、情感と官能が交差する十五年目の恋。