婚約を先延ばしにした彼氏を捨て、私は大富豪と結婚した
10度目の結婚の日取りが決まった翌日、陸川淳一は私を押しのけ、彼の養妹に情熱的なキスを贈った。
舞台から降りてきた野鹿佳織に、彼は真紅のバラを差し出し、耳元で囁くように言った。
「僕のプリンセス。この命は一生、君だけのために捧げるよ」
周囲の歓声が高まる中、私はその輪の外に静かに立っていた。
熱狂する人々の中で、私だけが冷静だった。一瞬たりともその場に留まる理由が見つからず、私は何も言わず背を向け、その場を去った。
5年もの間、期待と失望を繰り返してきたこの婚約。そのすべてに、私はついにこの瞬間、決定的な別れを告げたのだ。