偽りの愛は危険な香り~恋の罠が次から次へ~
篠井由美(ささい よしみ)は家の「いい子」。この人生で犯した最も馬鹿げたことは、姉・篠井光希(ささい みつき)の宿敵・浅沼雅彦(あさぬま まさひこ)を愛してしまったことだ。
浮気性で多情な彼を満足させるため、由美は多くの場所での恥ずかしいプレイに付き合ってきた。
だが、キャンプのテントで激しく求められた一夜の後、由美は知ってしまう。姉の光希こそが、雅彦が愛しても手に入らない人であったことを。
雅彦が自分に近づき、甘やかし、愛してくれたのは、すべて姉への復讐のためだった。
真実を知った由美は、彼に一枚の「流産」の診断書を残し、毅然と彼の前から姿を消した。
再会した時、彼女はもはやかつての従順な「いい子」ではなかった。その傍らには男女の双子がいた。
由美を失った日々と、骨の髄まで蝕むような想いが、男のプライドを粉々に打ち砕いた。雅彦は由美の服に死に物狂いですがりつき、声を震わせ、喉を詰まらせた。
「由美、戻ってきてくれ。その子たちを俺の子として育てる」
だが由美は男の手を冷たく振り払う。彼が掴んだ場所を汚れでも払うかのように軽く叩き、紅い唇に嘲笑を浮かべた。
「あの子たちには、ちゃんと父親がいるの。今更、あなたに父親気取りをされる必要はないわ」