女性恐怖症の夫が男性の部下を妊娠させた!?
夫に手作りの料理を届けに行った時、彼はまだ手術の真っ最中だった。
市内でも有名な天才歯科医である彼には、重度の女性恐怖症がある。
彼のクリニックのスタッフは全員男性だ。以前、彼は私に出会えてよかった、でなければ一生結婚できなかっただろうと、ひどく喜んで言っていた。
だが今日、彼の専用休憩室にあるゴミ箱の底には、口紅がべっとりとついた丸まったティッシュが落ちていたのだ。
取り替えたばかりの新しいゴミ袋の中は空っぽで、その底に横たわる、鮮やかすぎる「スターダストピンク」の色だけが、酷く目に焼き付いた。
詳しく見ようとしたその時、突然ドアノブが回った。
夫がドアを開けて入ってくる。ツンとした消毒液の匂いを漂わせながら、ごく自然に私を抱きしめた。
「静香(しずか)は優しいな。わざわざ料理を届けてくれるなんて」
私は体をこわばらせたまま抱かれ、胃がひっくり返りそうになるのを堪えながら言った。
「会いたくなったから、様子を見に来たの」
クリニックを出て車に乗り込むと、私は私立探偵をしている親友にメッセージを送った。
【クリニックの監視カメラの映像、直近三ヶ月分のバックアップが全部欲しい】