愛人とダーツに興じるメンヘラ夫、キモいので離婚
夫の中村健吾(なかむら けんご)は、病的なほど疑い深かく、心配性だった。
しかし、その脆さが、たまらなく美しく魅力的だった。
プライドも何もかも捨て、私はなりふり構わず健吾にアプローチをして、彼と一緒になることができた。
結婚するときは、健吾に安心してほしくて、私の方から婚前契約書にサインし、さらには離婚の際の財産分与もいらないと明記した。
ただ証明したかったのだ。
私が健吾と一緒にいるのは、お金のためではないということを。
しかし、私が妊娠すると、健吾はまた何かに不安を抱き始めたようだった。私のお腹を見つめては、何かを言いたそうにしているのだが、結局は口を閉ざしてしまう。
「瞳(ひとみ)……羊水検査、受けてくれないかな?別に、何かあるってわけじゃなくて、ただ確認したいだけなんだ……」
胸がずきりと痛んだ。
まだ、私のことを信じてくれていないのだろうか?
私の愛情を証明するために、様々なことをしたのに。それでもまだ足りないらしい。
そんなある日、インスタを見ていたら、健吾が秘書の斉藤理恵(さいとう りえ)と目隠しダーツで遊んでいる動画が流れてきた。
目隠しをされた理恵は、怖いのかダーツを握ったまま、なかなか投げられずにいる。
そんな理恵に、健吾が優しく声をかけた。
「理恵、思い切って投げてごらん。もし、当たっても、君が投げたのなら本望さ」