理想のパートナー
攻略に失敗した私は、「理想のパートナー」システムとやらに無理やりバインドされて、今や黒木将太(くろぎ しょうた)にとっての理想の妻を演じている。
彼と酒井千恵(さけい ちえ)のスキャンダルが流れれば、私はすぐさま表に立って釈明する。
千恵が私を陥れようと嘘をつけば、彼は何も言わず黙認し、私は慌てて自分から非を認めて謝る。
それどころか、彼が千恵に子どもを作らせても、私は騒ぎも怒りもしない。
むしろ素直に離婚協議書を差し出して、黒木家の奥様の席を千恵に譲る。
なのに、彼はなぜか不機嫌になる。私をベッドに押し倒し、怒りの色を湛えた瞳で言い放つ。
「咲(さき)、俺はお前に大人しくしてろと言ったんだ。俺を突き放せなんて、誰が言った?
今のお前は、俺を責めてるのか?」
私は呆然としたまま、彼の顔を見上げる。
「これが、あなたの望みじゃなかったの?」