秘書と愛し合う元婚約者、私の結婚式で土下座!?
汐見結衣と長谷川涼介は八年間愛し合った。
だがかつて涼介にとってかけがえのない存在だった結衣は、今や彼が一刻も早く切り捨てたい存在へと変わっていた。
結衣は三年間、必死に関係を修復しようとしたが、涼介への愛情が尽きた時、ついに諦めて、彼のもとを去った。
別れの日、涼介は嘲るように言った。
「汐見結衣、お前が泣きついて復縁を求めてくるのを待ってるぞ」
しかし、いくら待っても結衣は戻らず、代わりに届いたのは彼女の結婚の知らせだった。
激怒した涼介は結衣に電話をかけた。
「もう十分だろう」
電話に出たのは低い男の声だった。
「長谷川社長。悪いが、あいにく俺の婚約者は今シャワー中なんだ。お前の電話には出られない」
涼介は冷笑し、一方的に電話を切った。どうせ結衣の気を引くための駆け引きだろうと高を括っていたのだ。
だが、結衣の結婚式当日。ウェディングドレスに身を包み、ブーケを手に別の男へと歩み寄る彼女の姿を見て、涼介はようやく悟った。結衣は、本気で自分を捨てたのだと。
涼介は狂ったように結衣の前に飛び出して、懇願した。
「結衣!俺が悪かった!頼むから、こいつと結婚しないでくれ!」
結衣はドレスの裾を持ち上げて、涼介には目もくれずに通り過ぎながら言い放った。
「長谷川社長。あなたと篠原さんはお似合いのカップルだと仰っていませんでしたか?私の披露宴に来てひざまずいて、いったい何をするおつもりですの?」