転生して森で暮らしていたら買い物帰りに王女様を拾いました【R-18】

転生して森で暮らしていたら買い物帰りに王女様を拾いました【R-18】

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By:  みみっくCompleted
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注_♡の付くタイトルには、エロ描写ありです。 現代日本で引きこもり生活を送っていた高校生「ユウ」は、不慮の事故で命を落とし、剣と魔法の世界に転生する。森の奥で暮らす育ての父「トリスタン」に狩りや武術、暗殺術を学び、逞しく育ったユウ。しかし、10歳で父を失い、天涯孤独の身となる。 ある日、ユウは森で出会った少女「エリー」を助け、自宅に連れ帰る。彼女はなんと、この国の王女だった! 閉鎖的な環境で育った朴訥なユウと、世間知らずな王女エリー。正反対の二人の共同生活が、今、始まる。

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Chapter 1

第1話 転生―森での出会い

白石苑(しらいし その)が辞表を書き終えたとき、ふと顔を上げて窓の外を見やった。

ビルの巨大スクリーンには、朝倉蓮(あさくら れん)と芹沢琴音(せりざわ ことね)の婚約ニュースが、もう七日間も繰り返し流されていた。

誰もが言う――朝倉蓮は芹沢琴音を心から愛している、と。

でも誰も知らない。苑が七年間も彼のそばにいたことを。

十八歳から二十五歳。彼女の人生で最も輝いていた時間を、全て彼に捧げた。

けれど、彼は別の人と結婚することを選んだ。

だったら、自分はこの舞台から静かに退場すべきなのだろう。

彼の結婚式の日から、蓮の世界には、もう「白石苑」という名前は存在しなくなる。

視線を戻した苑は、辞表をきちんと折りたたみ、白い封筒にしまった。

そのタイミングで、オフィスのドアが外から開かれる。

入ってきたのは――彼だった。

黒のシャツの襟元はラフに開かれ、同じ色のスラックスが長い脚を包んでいる。

歩くたびに風が吹くような雰囲気で、その存在感はまるで王者のように堂々としていた。

苑の脳裏に、彼と初めて出会った日のことがよみがえる。

あの時も、彼は同じ黒いシャツを着ていた。

バーの隅で一人酒を飲んでいた彼は、見るも哀れな捨て犬のようだった。

彼の家は破産し、飲み代すら腕時計を質に入れて作った。

苑はその時計を買い戻した――そして彼の心まで奪ってしまった。

だが、泥に落ちた蛟は、いつか再び空を舞う。

彼は再起を果たし、いまや帝都で名を馳せる男になったのだ。

「メッセージ送ったのに、返事がなかったな?」

静かな声が、彼女の手にある封筒に向けられた。

苑は封筒を握りしめながら、窓の外を指さした。

「社長と芹沢さんの結婚プロモを見ています」

彼の目元がすっと陰を帯びた。

「プロモって……あれ、お前が編集したやつだろ。まだ見る意味あるのか?」

――そう、あのプロモーション映像は、彼女が作ったものだった。

そこに映る写真、甘い瞬間、そしてすべての「愛の言葉」。

それらは全部、苑が自分の手で選び、綴ったものだった。

あの時、蓮が苑にこう言ったのを、彼女は今でも忘れていない。

「この件はお前に任せる。琴音が他の人間だと不安がるからな」

彼と琴音が再会したのは三ヶ月前――

だけど、彼らの関係はもっと昔、学生時代から始まっていた。

七年前、琴音が海外へ旅立ち、同時に朝倉家は破産した。

そうして、ふたりは離れ離れになったのだ。

だが三ヶ月前、芹沢家が帰国。

蓮はすぐに琴音とよりを戻し、堂々とプロポーズをした。

苑は彼の傍に七年もいた。

誰もが当然のように、彼が彼女を選ぶと信じていた――彼女自身も、そう思っていた。

三ヶ月前、蓮が「好きな指輪を選んでこい」と言ったとき、彼女は当然、自分のサイズで選んだ。

……なのに。

その夜、花火が空を埋め尽くした瞬間。

彼は苑に言った。

「その指輪、ちょうだい」

彼女が時間をかけて選んだその指輪を受け取った彼は、次の瞬間――琴音の前で片膝をつき、それを彼女の薬指にはめたのだった。

きらめく夜空に負けないほどの華やかな花火の中、蓮は琴音に囁いた。

「俺は七年、二千五百日以上待ってた。ひと時も、君を忘れた日はなかった」

その瞬間、苑の心は、空に咲いた花火のように派手に散っていった。

そして、もう二度と元には戻らなかった。

彼が言った「二千五百日」は、琴音のための日々だったのか。

でも、その間ずっと、彼のそばにいたのは苑だった。

仕事の支えも、酒に酔ったとき名前を呼んだ相手も、眠るとき抱いていた相手も――全部、彼女だったじゃないか。

……だけどその問いは、彼女の中だけに留められた。

彼と琴音の結婚式、それが全ての答えだから。

七年も一緒にいたって、たった一度の初恋には敵わない。

それに、彼は一度も「愛してる」とは言ってくれなかった。

全部、自分で信じて、勝手に期待して、そして……ひとりで終わらせた。

だから、もう責めるつもりはない。

苑は混乱した想いをすっと胸の奥にしまい込み、静かに、けれど毅然と顔を上げた。

「朝倉社長、何かご指示でも?」

「今夜、芹沢家に一緒に行ってくれ。贈り物の用意、何が必要かはわかってるな」

それは、まるで仕事の指示みたいな無機質な言葉だった。

「了解しました」

苑は彼の秘書。頼まれれば断る理由なんてない。

蓮の深い眼差しがふいに彼女の顔を撫でるように流れた。

何かが、違う――けれど、それが何なのか、彼にも言葉にできなかった。

「白石、お前……」

口を開いたが、四文字言っただけで言葉が途切れる。

結局、彼が続けたのは――

「最近、あまり笑わないな」

琴音のことで頭がいっぱいなはずの彼が、そんな変化に気づいていたことに苑は少し驚いた。

そしてすぐに、プロの笑顔を浮かべる。

「今後は気をつけます、朝倉社長」

「白石」

彼女の名前を、彼はやや優しく呼んだ。

「お前の今のポジションは、何があっても動かさない。来年には副社長として正式に昇進させるつもりだ」

――小さな秘書から、社長の専属秘書、そして副社長へ。

それは、彼がこの七年間で彼女に与えてきた「立場」だった。

だが彼は、気づいていなかった。

彼女が欲しかったものは、最初からそんな肩書きではなかったことに。

――ただ、「奥さん」として彼のそばに立つこと。それだけだった。

けれど、それは叶わぬ夢。

水の上に描いた月のように、手を伸ばしても掴めない幻想だった。

「ありがとうございます」

苑は微笑んで、その「昇進」を受け入れた。

七年間、彼が与えたものは全て受け取った。

彼がくれなかったものに、彼女は一度も手を伸ばさなかった。

なのに、蓮の胸には拭えない不快感が残った。

だからこそ、彼は視線を鋭くして言った。

「前提として、何ひとつミスをするな。特に、婚礼に関しては絶対に」

「ご心配なく。社長と芹沢さんの結婚式、完璧に仕上げてみせます」

苑は微塵の感情も表に出さず、プロとして言い切った。

彼は彼女の言葉に目を細めてしばらく見つめると、くるりと背を向けた。

だがその視線の端で、彼女の手元にある白い封筒がふと目に入る。

そして、ぴたりと足を止めた。

「その封筒……何だ?」
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第1話 転生―森での出会い
 前世の記憶を持ったまま転生した者がいた。目覚めたのは、猛獣が出ると恐れられる森の山道。しかも、幼い子どもの姿だ。両親はおろか、人の気配すらない。一人取り残され、途方に暮れてさまよっていた。「ちょっと待ってくれ、ここはどこなんだ!? 俺に何が起きたんだ? 体が幼くなってるし……。この森、普通の雰囲気じゃないな。説明はできないけど、この辺りは危険だと確信を持って言える。もしかしてアニメでよく聞くスキルの気配察知ってやつなのかもな」 この場所にいれば、獣に襲われて餌食になるのは目に見えている。「遭難したらその場を動くな」とは言うが、それは捜索してくれる者がいるときの話だ。自分を探してくれる者などいないだろうから、自力で下山するしかない。もし誰かに会えたら、助けを求めてみよう。 山道を歩き続けるが、幼い体での彷徨はつらく、体力も続かない。幸いにも猛獣には出会わなかったが、それはもう一つのスキルである気配隠蔽のおかげだろう。静かに歩き、物陰に隠れることで、自分の気配を容易に消すことができたのだ。しかし、空腹とスキルを使い続けた疲労が蓄積し、やがて岩陰に隠れたところで動けなくなってしまった。・♢・♢・♢ 当時、王国の特殊暗殺部隊を率いていた隊長は、大貴族から無理難題な仕事を命じられていた。それは国王の命令ではなく、一部の王国上層部の派閥争いに巻き込まれたものだった。上層部の命令ゆえに簡単に断ることはできないが、今回の命令は国王の長女、まだ幼い少女の暗殺だった。 王弟を王位に就かせたい派閥があり、この派閥には多くの要職者が名を連ねているため厄介だった。彼らの機嫌を損ねるわけにはいかない。この派閥は、王弟の方が王家の血統を純粋に保つと考えており、そのため彼を王にしたいと願っていた。 隊長は、過去の様々な出来事を思い出していた。王女は愛らしい容姿で、性格も大人しく優しい。王城で会った際、優しく声をかけてもらったことが忘れられない。今回の暗殺命令にはひどく苦悩し、日々悩み続けていたが、ついに決断を下した。 隊長はその地位にまで上り詰めたからこそ知っている。今回の暗殺を遂行しても、秘密保持のために自分が狙われることになるだろう。命令を断ったとしても、自分が消されるのは確実だ。この話を持ちかけられた時点で、自分の死を宣告されているも同然だった。ならば、王女を暗殺などした
last updateLast Updated : 2025-06-26
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第2話 知らないオッサンに拾われた―異世界での一夜
「俺は、助かったのか? いや、攫われたのか?」 目の前にいるのは、かなり怖い顔の男だが、悪人面というわけではなさそうだ。だが、一人で笑っている。これは……寝たふりをしていた方が良かったか?「目を覚ましたか、坊主。いや……起こしちまったか! 悪いな。ちっと、うるさかったか」 男と目が合うと、怖い顔でニカッと笑った。「う、うん……おきた。おじさんが助けてくれたの? あ、ありがと……」 一応、子どものふりをしなければ気味悪がられるだろう。とはいえ、人見知りで自分に自信がなくオドオドした性格だったし、元々、性格は子どもっぽい。話し方さえ気をつけていればいいか。 今まで寝ていたから忘れていたが、腹が「ぐぅーっ」と静まり返った部屋に大きく鳴り響いた。それと共に俺の顔が真っ赤になったのが分かった。「あっははは……! そうか、そうか……安心したら、腹減ったか! 飯の心配なら要らんぞ、しかも肉は食い放題だぞ!」 怖い顔が緩み、優しい表情となって豪快に笑われた。「むぅ……。ひどい……恥ずかしいのに! 聞こえなかったふりをしてくれても良いのにっ」 頬を膨らませて、布団をかぶった。「いや、小さな体なのに、豪快に腹の虫が鳴ったもんで驚いてな! つい笑っちまった」 男がそう言うと、ギィーとドアを開ける音が聞こえた。不安になり布団から出ると、置いて行かれるのが怖くて男の服を掴み、一緒に外に出た。 窓から見える景色で、すでに夜だとは知っていたが、外に出ると漆黒の闇が広がり、近い距離の木でさえ見えないほどの闇に覆われているようだった。「なんだ? どうした? 小便か?」 男が不思議そうな表情をして見下ろしてきた。「ち、ちがう……」 小便? あぁ、外でするのか……。こういう田舎は初めてだが、親に連れて行ってもらったキャンプを思い出す。あの時もトイレは外だった。「じゃあ、なんだ? あぁ……そうか……」 さっきまで馬鹿にしたようにニヤニヤと見ていた顔が悲しげな表情になり、気を利かせたつもりなのか黙った。「まあ、なんだ……その、悪いことがあれば、良いこともあるさ! 人生、楽しんだもの勝ちだぞ!」 そう言いながら、かまどに消えていた薪に手をかざし、ブツブツと詠唱のようなことを呟くと、薪に勢いよく火が点いた。 あ、そっか……。子どもが山でうろついていれば、迷子とは思わ
last updateLast Updated : 2025-06-26
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第3話 訓練の日々、そして変化する常識
 翌日から、俺としては余計なお世話だと思っていた剣術、武術、ナイフ術、暗殺術、狩りの仕方を教えてくれる日々が続いた。初めは嫌々習っていたが、この体は肉体の基本能力が異常に高く、面白いように体が動き、覚えも早くて楽しかった。気にして不安に思っていた魔法も適性があり、基本を教わると、勝手に実験をして狩りに取り入れたりもした。「ちゃんと毎日練習をしないと、いざという時に体が動かないからな!」「ボク、いつサボった? 楽しく練習してるよ?」 言われなくても、面白くて勝手に練習をして過ごしていた。体を動かすのが、こんなに楽しいなんて知らなかった!「少しは、親らしいことを言わせてくれ!」 トリスタンが頭を、いつものようにガシガシと撫でてくる。まだ1ヶ月も経っていないのに、俺たちは仲良く暮らしている。「でも、剣術は敵わないな……」 残念そうに言うと、トリスタンに大笑いされた。むぅ……大真面目に言ってるのにぃ~。「剣術を始めて1ヶ月の坊主が、数十年剣術をしてる者に剣術で勝てるわけないだろ。それに、体格も力も違うしな」「むぅ……明日は、お父さんに勝つ!」 あっ。思わず……「お父さん」って言っちゃったよ。トリスタン……気づいてる……? ゆっくりと振り向くと、ニターと微笑むトリスタンが俺を見つめていた。「さ、昼食にするか!」 また、余計な気遣いかな……? あまり、こういう話はしないんだけどね。親子関係とか……俺は、すでに父親だと思ってるけど。トリスタンも息子のように接してくれるし、怒ってもくれる。それに、この世界の常識をいろいろと教えてくれた。 お父さんと呼んだのがバレているし、喜んでいるトリスタンの表情を見てしまったので、この日を境にトリスタンをお父さんと呼ぶようになった。 ――衝撃の狩り 週に一度くらいのペースで狩りに同行し、狩りがどんなものか見せてくれた。俺が想像していた常識とはかけ離れていた。普通さ……弓とか遠距離の武器を使うじゃん? 魔法とかさ? なんで、剣術や暗殺術が得意なのに……拳!?「この辺りは、巨大イノシシの縄張りだから気を付けろよ。あいつらは縄張りに敏感だから気づかれたら襲ってくる。そこが良いんだがな! 探す手間が省けるしな。お前はここで気配を消して見学してろな」 そう言うと、スタスタと森のけもの道を歩き出した。 ガサゴソと音が大
last updateLast Updated : 2025-06-26
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第4話 買い物帰りに猛獣に襲われた馬車を発見した
 月日は流れ、俺は病気や大きな怪我もなく順調に育った。だが、10歳の時に父が病で亡くなった。トリスタンは俺を実の息子のように育ててくれ、武術、剣術、暗殺術、狩りの仕方など、生きるために必要なことを教えてくれた。 彼は最後まで俺を自分の子供として育ててくれた。出会った頃は幼かったが、転生者である俺には当時の記憶があり、血の繋がりがないことは知っていたが、その話は一切せず、俺からも聞くことはなかった。血が繋がっていなくても、この世界で俺を育ててくれた父は、ただ一人の育ての父だ。 10歳の頃には一人で猛獣を狩れるようになっていたので、食事に困ることはなかった。生活費は主に猛獣の素材や、力尽きた冒険者や兵士が残した武具を売って稼いでいた。 武具の調達は、自分の実力を知らずに猛獣が多く生息するこの森に入ってくる冒険者がいるおかげで、生活が豊かになっているようなものだった。猛獣が現れて危険だと言われているからこそ、名を上げるために自分の力量を知らないハンターがこの森に足を踏み入れ、猛獣に倒される。その遺品を回収し、必要な消耗品の剣は倉庫に保管していた。他の装備は町まで売りに行き、得たお金で森で調達できない塩や調味料などの調理器具を購入し、残ったお金は貯めていた。 このハンターたちの遺体から装備をもらう行為は、この世界では一般的で違法でも問題でもない。前世の世界では嫌がられそうだが、こちらの世界では、そもそも落ちていた物は発見者の物になる。前世のように警察と同じ役割の兵士たちに届けても、受け取った兵士が自分の物にしてしまうので、かえって怪しまれてしまう。それに、落とし物を管理する法律やシステムも存在しない。実際に装備品を売るお店でも、兵士やハンターの装備品を売っても怪しまれることはなく、買い取ってくれる。 買い取ってくれる理由はもう一つある。それは、王国軍の紋章が入った武具が悪用され、過去に度々事件が起きていたからだ。王国軍の紋章を利用し、貴族邸や商家を襲い、金品を差し押さえだと偽って強奪する事件があったのだ。そのため、放置していると問題だと考え、兵士たちの武具は他の武器と比べると高額で買い取ってくれる。階級が上がれば紋章が立派になり、高額で買い取られる。 亡くなった者は所有者ではなくなるため、装備品や所持品はもちろん、お金も発見者の物となるのが一般的だ。でも、前世
last updateLast Updated : 2025-06-26
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第5話 買い物帰りに王女様を拾った
 ――予想外の出会い この世界に来てから、もちろん友達はいたことがない。当然だが、女の子を間近で見たこともなかったので、興味はあった。 歩くたびに背中にむにゅっとした柔らかな感触が伝わり、俺の肩越しに見える女の子の顔に、吐息すらも意識してしまい心臓が激しく脈打つ。肩越しに見える、桜色のぷるんとした唇に、さらに胸の鼓動が早まるのを感じた。 父親から「あまり人と関わらないようにな」と言われていたが、すでに家に着いていた。 改めて回復魔法で傷の手当てをして、俺の布団に寝かせている。この娘が起きた後、どうしよう……と後悔の念が押し寄せた。 なかなか目を覚まさないので、可愛らしい寝顔を眺めていると、背負っている時に背中に当たっていた胸のぷにゅっとした柔らかな感触が忘れられない。 興味は尽きないが、触るわけにはいかない。でも……見るだけならと思った。少し座る位置を変えると、切り裂かれたドレスの隙間から、白い肌にぴたりと沿う下着のような肌着が見えた。その肌着も破れていて、そこからまろやかな胸の膨らみがわずかに覗いていた。角度を変えると、あと少しで……ぷっくりとした膨らみが見えそう。じっと観察していると、不意に女の子が目を開けた。 気まずいな……忘れてしまおう。「ここは……どこでしょうか? 私は確か……」彼女は目を覚まし、寝たまま周囲を見渡し、布団の横に座っていたユウを見つめた。 見つめられたユウは、女の子に耐性がない上に、こんなにも美しい少女に見つめられ、恥ずかしさをこらえて答えた。「ここは俺の家だ」しかし、目のやり場に困り、そわそわして落ち着かない。「そうですか、私は獣たちに襲われてケガをして……」と寝たまま天井を見つめ、思い出そうと目を閉じていた。すると、何かを思い出したように表情を変え、自分の体を触り「あれ……!? え?」と本来なら痛みを感じるはずの体が、まったく痛まないことに驚きの表情を浮かべた。 驚いた表情の少女を見て、ユウは彼女が連れていた者たちのことや、彼女を家に連れてきた事情を説明しておいた方が良いだろうと思った。「ああ、護衛の兵士たちはみんな死んでたぞ。お前もケガして死にそうになっていたから、家に連れてきて治療した」とユウは淡々と説明した。 少女はその言葉に驚きと悲しみが交じった表情を浮かべ、「皆さん……死んでしまったんですね」と呟い
last updateLast Updated : 2025-06-27
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第6話 王女様と一緒に暮らすことになった
「俺は、王国とか王位とか分からないな。んー……何だそれ? 偉いってのは何となくわかるけどな」ユウは肩をすくめた。とっさに出た言葉だったが、これでごまかせると心の中で思った。「分からないのでしたら、気になさらないでください。大したことではありませんので……」エリーは、小さく可愛らしく笑った。 ん……? 普通ならば、大したことだと思うんだけどな。本人が気にしなくても良いと言うなら、このままの接し方でいこう、とユウは心の中で思った。「悪いな。こんな森の中の田舎育ちだから、教わらなかったんだ」とユウは苦笑いした。 そんな俺をエリーが見つめ、改めて座り直した。じっと俺を見つめて話し出した。「あ、あのぅ……実はですね。悪い者たちに何度も殺されかけて、逃げている途中で獣たちに襲われたのです。行くあてもないので……その、しばらくお世話になっても大丈夫でしょうか?」エリーは少し不安げに尋ねた。 内心は大喜びだった。送り届けなくて良くなり、しかもこんな美少女と一緒に過ごせるなんて……と心の中で思っていた。実際に話してみると、優しそうで気兼ねなく話せるし……なによりも可愛らしく、俺好みの女性だと思った。「問題はないけど、良い物は食えないぞ?」ユウは少し申し訳なさそうに答えた。王女様ならば、豪華な食事を食べているだろうし、頑張って作っても肉料理くらいしかない。しかも、作るのはシェフやコックではなく……俺だぞ。「大丈夫です。問題ありません」とエリーは、ホッと安心したように微笑んだ。 ユウが立ち上がり、「腹減っただろ? ちょっと用意をしてくるな」と言った。 エリーが申し訳なさそうな表情をした。「いえ、大丈夫です……」と言うが、小さく「キュゥー」と可愛らしい音がお腹から鳴り、顔を赤くして俯いた。 ユウは気にせずに家のドアから出て準備を始め、しばらくすると戻った。「今日は、獣の肉を焼いたのとパンとスープだ。これしかないぞ」とユウはテーブルに料理を並べながら言った。「大丈夫です。十分にご馳走です。ありがとうございます」とエリーは感謝の気持ちを込めて答え、食事が用意されたテーブルに座った。 小さな家なので、布団とテーブルの距離も近く、移動は簡単だった。「遠慮しなくても良いぞ。どんどん食べてくれ」と言った。そういえば、俺も父親との会話は最初こんな感じだったか。「は、はい
last updateLast Updated : 2025-06-27
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第7話 王女様のお着替え
「俺は気にしないし、迷惑ではないぞ?」ユウは少しむきになった言い方で、エリーを安心させるように言った。 エリーはその言葉に少しだけ安心したように見えたが、まだわずかに不安げな表情を浮かべていた。「ありがとうございます。ですが、私は人に見つかるといけないので、表を歩けないのです」とエリーは事情を説明した。「なんだ、そんなことか。それは大丈夫だ。ここは森の中で、周りには誰もいないぞ?」とユウは優しく言った。 エリーはホッとした表情を浮かべ、「そうだったのですか……。安心しました。では、しばらくお世話になろうと思います。本当にありがとうございます」と再び感謝の気持ちを伝えた。「でも、外には猛獣がいるから、一人で外に出るなよ。死ぬからな」とユウは警告した。 エリーは少し驚いた表情を浮かべ、「え?……は、はい」と答えた。 驚いた様子だったが、先ほど猛獣に襲われた実体験があったのですぐに理解できたようだった。いろいろと話をしていると、外はすでに暗くなっていた。夕食を食べ終わり、エリーが嬉しそうな表情をしていた。「ん? どうした?」不思議そうな表情をして、ユウはエリーに尋ねた。「あのですね、わたし……普段は一人で食事をすることが多いので、話しながら食べるのが楽しくて、嬉しいんです」とエリーがとびきり可愛い笑顔で言ってきた。 エリーが美味しそうに食べるので、自分も自然と夕食が進んだ。 ユウはその言葉に少し驚いたが、すぐに微笑んで答えた。「そうか。俺もしばらく一人で食事をしていたから、その気持ちは理解できるな。話しながら食べるのは楽しいよな。これからは、毎日一緒に話しながら食べられるな!」 エリーはさらに嬉しそうに微笑んで、「はい、とても楽しみです」と答えた。エリーの微笑みに、ユウの心も温かくなった。 夜も遅くなったので夕食の片づけを始めると、エリーも手伝おうとしてきた。 いやいや……王女様だろ? こんなことをさせたらダメだ。というか、そもそも洗い物なんてできるのか?「いやいや……客人にお皿洗いなんてさせられないからな」とユウは言った。王女様と言うと、表情が暗くなる気がしたので、あえて「客人」と言い換えた。「私、客人なのですか? 違いますよ。私、居候の身になったのですから……お手伝いしますよ」と、エリーは少しムスッとした表情で可愛らしく言ってきた。
last updateLast Updated : 2025-06-27
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第8話 王女様が布団に入ってきた
 暗い中だったが、わずかな月明かりに照らされた、ぶかぶかの服を着たエリーが見えた。片方の肩が出たその姿は、かなり扇情的だった。自分の大きな服を、こんなにも美しい少女が着ていることに、ユウは胸が高鳴るのを感じた。 それに、服の下からはドロワーズという下着がはみ出して見えている。そのドロワーズには、小さなピンクのリボンが付いていて、それすらも可愛らしくて目に焼き付いた。「はい。……では、一緒に寝かせてください」とエリーが言ってきた。 エリーは恥ずかしそうに枕を抱え、ユウの布団に入ってきた。 え!? 布団ごと移動してくるんじゃないのか……? まさか、同じ布団で寝るつもりなのか? ユウは平静を装い言った。「隣に布団を持ってくればいいんじゃないか?」 しかし、エリーからは返事がない。 狭いので、隣に寝られたら柔らかな胸が当たるだろうし……エリーの体がどこもかしこも柔らかそうで、気になって寝られそうにない。 仕方なく、少し布団から出て隣で寝ようとした。だが、エリーに見つかると、腕を引っ張られて布団に戻され、寝かせられた。 エリーが、まるで母親が子供に接するような表情と口調で、「ユウさん、風邪をひいてしまいますよ。ちゃんとお布団で寝てくださいね」と心配してくれるのはありがたい。だが、女性に免疫がない俺にはハードルが高すぎる。 同じように布団から少し出て寝ることを繰り返していたら、しまいにはエリーに腕を組まれながら寝ることになってしまった。腕を組まれることで、エリーの柔らかな胸の感触が、さらに鮮明に伝わってくる。これじゃ気になって眠れない。 寝るのを諦めて隣で眠るエリーを見ると、さらに驚くことに彼女は自分の枕ではなく、俺の枕で寝ていた。彼女の顔はとても近く、月明かりの下でさえそのまつげが見えるほどに密着している。手を動かせば、その手の甲に当たる柔らかなお腹の感触が伝わってくるし……。 これ、ある意味、俺にとっては罰ゲームだぞ。隣で寝るエリーは不安で震えていたが、俺に抱きついて安心したのか、スヤスヤと寝息を立てて眠ってしまった。 どうせ寝られないのなら、こんなに間近で美少女の顔を見られる機会はないだろうと思い、月明かりに照らし出されたエリーの可愛い顔を見つめて癒やされていた。 ごそごそとエリーが動くと、さらに密着してきた。すると、俺の頬にエリーの頬がぴと
last updateLast Updated : 2025-06-27
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第9話 新たな朝と変化―町へ買い物に行く
 あまり眠れずに朝になってしまい、少しずつ外が明るくなってきた。 隣を見ると、朝日に照らされ金髪がキラキラと輝く美少女が、俺のぶかぶかの服を着て寝ていて、俺を抱きしめているというあり得ない状況だった。……しかも、再びお互いの頬をくっつけて寝ている。このまま振り向けば、昨夜のように柔らかなエリーの頬にキスができる状況だ。それも……さっき、その美少女の太ももで射精をしてしまったんだぞ……。嬉しい感情と共に、罪悪感も感じていた。 すると、エリーが恥ずかしそうに目を覚ました。「……昨夜は、ありがとうございます」エリーが、眠そうな表情をして、密着している俺に驚くこともなく頬をゆっくりと離して言ってきた。 昨日も思ったけど、ドロワーズって下着なんだよな……見られるのも恥ずかしいよな? 俺は、意識しないようにただのハーフパンツだと思うようにしていた。 まだ朝早く、朝日が昇ってきたばかりで時間がある。「向こう向いてるから、着替えていいぞ」と平静を装い言った。「いえ、もう少しこのままでいても良いでしょうか?」と同じ枕で横になって見つめてきた。「ま、まあ……特に急ぐ予定は、ないし……。好きにしたらいい」と言うが、その服装じゃ俺の目のやり場に困るんだが……。 しばらく二人で布団の中で話をしていたが、エリーが起き上がると……日が昇り、部屋の中も朝日が差し込み明るくなっていた。エリーの姿がはっきりと見えるようになっていて……色白の綺麗な肩や、服からはみ出しているドロワーズよりも、服にできた二つの膨らみ、その膨らみに小さくポチっと膨らんだモノが見えていた。「ユウさん……見過ぎですよぅ……。恥ずかしくなってしまいます」とエリーは、頬を赤く染め、照れているような表情に変わっていた。昨日は、恥ずかしそうに隠していたんだがな。「明るくなったから、目のやり場に困るんだ。着替えてくれたら嬉しいんだが」「はーい。では、着替えてしまいますね」エリーが素直に返事をした。これでも王女様なんだよな……。王女様に指示や命令をしている俺って……侮辱罪とやらで、何回処刑されるんだ? と恐怖心が一瞬襲ってきた。 エリーがボロボロのドレスに着替えた。いつ見ても……目が切り裂かれたドレスの隙間に吸い寄せられる。エリーもそれに気づき、恥ずかしそうにしていた。 朝食の用意をしながら、「俺は朝食を食べたら
last updateLast Updated : 2025-06-27
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第10話 王女様の気持ちの変化
 手渡した物に、エリーは喜んでいた。「ありがとうございます……」とお礼を言ってきたが、少し不満そうな表情をしていた。「庶民の服で悪いな。ドレスは、目立つし売ってないからな」エリーの反応だと、やはりドレスじゃないと嫌だったのか? 抵抗もなく、エリーが庶民の服に着替えた。エリーが着替えが終わると、声を掛けてきた。「着替えましたよ。どうですか?」と嬉しそうにエリーはくるりと回った。思ったよりもスカートがふわっと捲れ、彼女は恥ずかしそうに手で押さえた。 ユウはその様子を見て、可愛さに胸が高鳴った。 髪型も服装も変わったので、絶対に気づかないだろうと思うが、普通の庶民とは違うオーラを感じる。王女様のエリーと同一人物だとは思わないだろう。王女様が村娘の格好をするはずがない。変装をするならば、貴族の娘かお金持ちの商家の娘だろう。 しばらく見とれてボーっとしていると、エリーも同じく見つめてきた。座りながら腰をかがめ、膝に手をつき、じっと見つめ返されて我に返った。 俺が慌てていると、「……なにか言うことは、ないのでしょうか……?」とエリーが不機嫌そうに言ってきた。「か、可愛い。すごく似合ってるよ。あ、庶民の服だけじゃなくて、ドレスでも何を着ても似合ってるぞ」 ユウは照れながらも、エリーに褒め言葉を伝えた。 褒められると、不満そうな表情は消え、「ありがとうございます」と言い、頬を赤くして顔を逸らし照れていた。 俺に誉められたくらいで大げさじゃないのか? お城で飽きるほど誉められていたんじゃないのか? こんなに美しく可愛らしいんだからさ……。とユウは心の中で思った。 再びエリーの仕草をぼんやりと眺めていると、やはり王女としての仕草が目立つ。優雅で見とれてしまう美しさと惹きつけられる魅力を感じる。「……さん、ユウさん? ゆーさーん!?」 名前を呼ばれているのに気付かなかった。 エリーがムスッとした表情で俺の頬を指で突っついてきた。「えいっ! ユウさん! 聞こえてます?」とエリーは隣で膝をつき、俺の横顔をじっと見つめていた。 驚き横を振り向くとエリーの可愛い顔が近くにあり「わっ!? な、なに? どうした?」と声を上げた。 俺が慌てている様子を見て、エリーはクスクスと楽しそうに笑っていた。その表情は、今までの作られたような笑顔の笑いではないと感じた。心から笑
last updateLast Updated : 2025-06-27
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