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virgin suicide :運命の出逢い4

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2026-11-02 06:09:45

***

「ここがおまえのデスク。一応、僕の隣」

「ここが、ですか……?」

手にしているダンボールを置きたいのは山々なれど、机の上にはファイルやら書類等が、これでもかと山積みされている状態だった。仕方なく椅子の上に、そっとダンボールを置く。

横に視線を移すと隣の山上先輩のデスクも同じように、いろんな物が山積みとなっている。

「山上先輩、俺の机の書類の山はいったい?」

顔を引きつらせながら、恐るおそる山上先輩に訊ねてみた。

書類の端々から覗く(始末書)の文字と一緒に、山上先輩の名前がしっかりと見えている。明らかに山上先輩の書類なのに、どうして俺のデスクに、こんなに置かれているのだろう。

「おまえがいない間に、僕がこなした仕事の数々。犯人逮捕したら、当然書類を作成しなきゃならないだろ?」

「そうですね……」

「水野は無駄に講習受けてるんだから、書類作成だってお手のもの。だよな?」

「はぁ。習ったので一応、できますが」

イヤイヤ答える俺に、山上先輩は涼しげな一重瞼を一瞬細めて、これでもかと嬉しそうな表情を浮かべ、俺の背中を力強くバシバシッと2度叩いた。それが痛いの
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    *** ――仕事がしにくい。「…………」 山上先輩は暇なんだろうか? なぜかずっと、こっちを見ているし。「…………」 俺の顔をずっと見ていて、飽きてこないんだろうか?「…………」「山上先輩あの、気が散るんですけど……」 なんのチェックをしてるんだか知らないけど、本当に気になってしょうがない。 どこか、刺すような視線――山上先輩のグサグサッと体を突き刺す視線を、毎日浴びていた。そんな感じでずっと見られる状態で仕事をするのは、非常につらい。「水野が書類の書き間違えをしないように、無言のプレッシャーをかけていただけだから」(――なんだよそれ、ただの嫌がらせじゃないか)「それはどうも、ありがとうございます!」 使っているボールペンが、ミシミシ軋むような音をたてた。山上先輩の視線ってば、あからさまな嫌がらせじゃないか。「これくらいのプレッシャーに負けていたら、いざというときに役に立たないからさ」 「はぁ、肝に銘じておきますね」 にっこり笑う山上先輩に、額にコッソリ青筋立てながら、俺も必死に笑って答えた。傍から見たら、とても仲のいい関係に見えるだろう。面倒見のいい先輩が、後輩をかわいがってる、そんな感じ。「なのに実際は真逆とか、巧妙過ぎるだろ、まったく!」 そしてこの人と喋ってるだけで、本当に倍の神経を遣う。もう気を遣うレベルを、とうに超えているよ。 呆れ顔をしたまま山上先輩から注がれる視線をスルーして、黙々と書類をこなすことに専念した。 当の本人は携帯を弄ったり、フラフラ出掛けたり(煙草を吸ってるらしい)俺を監視したりと、毎日過ごしていた。

  • BL小説短編集   virgin suicide :運命の出逢い4

    ***「ここがおまえのデスク。一応、僕の隣」 「ここが、ですか……?」 手にしているダンボールを置きたいのは山々なれど、机の上にはファイルやら書類等が、これでもかと山積みされている状態だった。仕方なく椅子の上に、そっとダンボールを置く。 横に視線を移すと隣の山上先輩のデスクも同じように、いろんな物が山積みとなっている。「山上先輩、俺の机の書類の山はいったい?」 顔を引きつらせながら、恐るおそる山上先輩に訊ねてみた。 書類の端々から覗く(始末書)の文字と一緒に、山上先輩の名前がしっかりと見えている。明らかに山上先輩の書類なのに、どうして俺のデスクに、こんなに置かれているのだろう。「おまえがいない間に、僕がこなした仕事の数々。犯人逮捕したら、当然書類を作成しなきゃならないだろ?」 「そうですね……」 「水野は無駄に講習受けてるんだから、書類作成だってお手のもの。だよな?」 「はぁ。習ったので一応、できますが」 イヤイヤ答える俺に、山上先輩は涼しげな一重瞼を一瞬細めて、これでもかと嬉しそうな表情を浮かべ、俺の背中を力強くバシバシッと2度叩いた。それが痛いのなんの――俺の背中は、お布団じゃないってば!「おまえがいない間、僕は激務をこなした。ということでデスクワークくらい、水野はへっちゃらだよなぁ」 楽しそう山上先輩は言い放ち、足取り軽くスキップしながら、どこかへ行ってしまった。「へっちゃらなワケ、ないじゃないか……」 膨大な書類を前に私物の整理をする気力が、一気に削がれてしまった。間違いなく隣にある、山上先輩のデスクの書類も俺がやらねばなるまい。「山上家の力を……無視したツケがこれなのか!?」 しかし頼ったところで楽をした分だけ超絶こき使われてしまい、お釣りが返ってくる気が激しくする。 山上先輩はここぞとばかりに俺を、自分の手足として使うだろう。その足で僕のために働けよと、言い放った人なんだから。あのときにおかしなヤツだと、どうして俺も気がつかなかったのか。「結局、あの人の元で働く時点で、苦労が待ってるということ。なんだな……」 はあぁと深いため息をついてから、いそいそ私物の整理を始めた。先の見えないデスクワークに、一抹の不安を抱えながら。

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