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〇〇しないと出られない部屋!?7

مؤلف: 相沢蒼依
last update تاريخ النشر: 2026-04-09 04:32:22

***

(雅輝のヤツ、何を考えているのやら。どうにも嫌な予感しかしねぇ……)

コンビニに寄ってから、ホテルにチェックインしたふたり。一緒に風呂に入ろうと誘いをかけた橋本の言葉を「見たいテレビがあるので、お先にどうぞ」と言って堂々と断った宮本に、不審感がつのってしまった。

「自宅とは違って風呂が広いのによ、せっかくの機会だっていうのに」

宮本が見たいテレビといえば、アレしかない。

「アニメが一番、俺二番ってか。笑うに笑えねぇ……」

足が伸ばせる広いバスタブ。橋本は腕を組みながら、なぜか正座の状態で浸かっていた。

自宅以外で久しぶりにおこなう行為に、自ずといろんな妄想をした。普段しないような体位で感じさせられ、卑猥な喘ぎ声をあげる自分――。

「いっそのこと、俺が雅輝を掘ってやろうか」

時間が経つごとにムラムラする気持ちが、イライラに変化した。ひとりきりの大きな風呂は、無駄にだだっ広く感じられてしまい、マイナス感情に拍車をかける。

(くそっ! これだったら、家に帰って寝たほうがいいだろうよ!)

苛立ちまかせに立ち上がり、怒り心頭のままバスルームから出る。すると入れ替わるように、
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  • BL小説短編集   第四章:二人だけの調律

    夜の気配がすっかり部屋に馴染んだ頃、リビングに灯る明かりがほんの少しだけ落とされた。カップの中の紅茶は空になっていて、それでもふたりの間には、沈黙が心地よく続く。 そんな中、神妙な面持ちの司が口を開いた。「あのさ陽」 「はい」 「音のない時間を過ごしてみたいって言ったのに……なぜだか急に、音が恋しくなった。少しだけ弾いてもいいだろうか?」 その問いに、迷いが頭の中を過った。でもすぐに頷く。「もちろんです」 彼が音を求めるなら、そうしてあげたほうがいいと判断する。 司は静かに立ち上がった。その動きは、まるで自分の鼓動を確かめるようにやけに慎重で、すごく丁寧だった。俺もそれに合わせて立ち上がる。 さっきまで司と呼吸を合わせていたので、動きを合わせることが自然にできた。 リビングからピアノのある部屋へと移動する間、ふたりの足音だけが木の床に微かに響いた。見慣れた漆黒のグランドピアノは、まるで何年も息を潜めていたかのように、静かにそこに佇む。「……まともな演奏、久しぶりだな」 司が鍵盤の蓋に手をかけ、そっと開ける。中に並んだ黒と白の鍵盤が、月明かりを受けてほんのり光って見えた。 俺が見守る中、司は椅子に腰を下ろし、少しだけ背を丸めるように前屈みになる。指先が鍵盤の上に浮かんだまま、ピタリと止まって動かない。どうやら、すぐには降りてこないらしい。 俺はそっとピアノの隣にしゃがみ、彼の指先を見つめる。そして、静かに声をかけた。「……音は逃げたりしません。司が帰ってくるのを、ずっと待ってましたよ」 司の肩が、ピクリと震えた気がした。でも次の瞬間、その指先がようやく、鍵盤に恐るおそる触れる。ポーン♪ 右手の人差し指が奏でる一音……ただ一音だけ、空間に響いた。それは決して強くはない。むしろ曖昧で、揺らいだ音だった。 でもその一音が、この部屋に“いま”を連れてきた。 司が瞳を閉じて、ゆっくりと深く息を吸う。そして、二音、三音と続けるように鍵盤をなぞり始めた。 旋律にはほど遠い、形にもならない音の断片。それでも確かにそこには、“戻ろうとしている人の音”があった。 俺はただ黙って寄り添うように、その音に耳を傾ける。失敗を恐れている彼が、また音と向き合おうとしていること。その震えを知っているからこそ、なにひとつ急かさず、ただ静かに、調律師として

  • BL小説短編集   第三章:一歩踏み出す夜2

    *** 場所をリビングに移すと、窓の向こう側は夜の帳がすっかり降りていた。カップに注がれた紅茶の香りが、部屋の静けさにまったりと溶け込んでいく。 間接照明が柔らかく灯る空間で、俺たちは再び向かい合う。ティーカップがひとつ、ふたつと音を立てるたびに、夜が少しずつ深くなった。「なんだか、不思議な感じがするな」 司が切なげに笑う。サンダルウッドの香りが、彼の動きに合わせて微かに揺れた。「なにがですか?」 「他人がこんなに傍にいることが、心地いいって思えるなんて」 彼の声はしっとりと低く、まるでピアノの弦が震えて響くように耳に聞こえた。「前の僕なら、絶対にあり得なかった。コンサート前ならなおさら……」 その言葉に、胸の奥がじんわりと温まる。「それ、ちょっとだけ嬉しいです」 「ちょっとだけ?」 司の瞳が、いたずらっぽく細まる。「……いや、だいぶ」 肩を揺すって笑ったら、司もそれに倣うようにカラカラ笑う。照明の陰影が彼の頬に静かに落ち、カーテンの隙間から覗く三日月が、その輪郭をほのかになぞる。その笑顔はこれまで見たどの瞬間よりもやわらかく、どこか壊れそうに儚かった。「ねぇ、陽」 「はい」 「君の調律は、すごく丁寧だ。音に対しても人に対しても」 ドキッとするような言葉――でも嫌じゃない。「……そんなふうに言ってもらえるなんて、光栄です」 「だからひとつだけ、お願いしてもいいだろうか?」 司からのお願いに、小さな高鳴りがひとつ。これは期待か、それとも戸惑いか。けれど彼の声に、その答えを委ねたいと思った。「はい」 司は、すっと立ち上がった。そして窓辺へ向かう。カーテンを少しだけ開けた先、夜の空に浮かぶ三日月の光が淡く揺れる。まるで、司の心の揺れを映すように。その横顔は完璧なピアニストの仮面を脱ぎ、ただの“司”としてそこにあった。「今夜は少しだけ……音のないまま、君と呼吸だけを合わせてみたい」 それはピアニスト・九条司にとって、“音”に依存してきた日々への小さな逆行だった。でも同時に“誰かと共に沈黙を分け合う”という、大きな一歩にも繋がる。「わかりました」 俺は静かに頷いた。「ありがとう、陽」 彼は囁くように言う。 この夜の静けさが、彼にとって“キズ”ではなく“始まり”になるように。そんな祈るような気持ちを、黙ったまま伝えた

  • BL小説短編集   第三章:一歩踏み出す夜

    なんだかイヤな予感がした夜、俺は指先に小さな震えを抱えながら、再び九条邸の門をくぐった。 最後にここを訪れた日から、ほんの数日しか経っていないはずなのに、ずいぶん遠い場所に来てしまったような気がした。 あの日、司の言葉に何度も胸を打たれて、部屋を出る頃には足元がふわふわしていた。それは温かいものに触れたあとの、名残のような浮遊感。だからこそこの扉を、また自分から叩いていいのか。それを決めるまでには、少しだけ時間が必要だった。 呼び鈴を鳴らすと、穏やかな笑顔の管理人・吉岡さんが応対してくれた。彼女はカーディガンを羽織っていて、手には掃除道具を持っている。きっと日課の途中だったのだろう。「おや芹沢さん。いらっしゃい」 「あの、突然すみません……司さんは、ご在宅ですか?」 吉岡さんは一瞬だけ目を細め、それから小さく頷いた。「ええ、いますよ。コンサート前なのに、今日はいつになく落ち着いていらっしゃるように見えました。朝から、ピアノの部屋にいらしてました」 その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。「よかった……」 「お通ししましょうか?」 「はい、お願いします」 重厚な扉の向こう、静かな空気が広がっている。どこかで時計の針が小さく刻む音だけが響く、そんな静けさだった。廊下を抜け、吉岡さんが立ち止まったのは、グランドピアノの置かれた防音室の前だった。「こちらに。ピアノの前にいらっしゃいます」 ピアノの前に。その言葉が、胸の中で反響する。 あの夜、暖炉の前で微睡んでいた彼の姿が、一瞬だけ脳裏を掠めた――ただそれだけのことで、胸が熱くなる。 思いきってドアを開けると、譜面を前に腰かける司の姿があった。背筋を伸ばし、静かに座っている。だが、指は鍵盤に触れていない。ただじっと、譜面に視線を落としていた。 少し伸びた髪が横顔にかかり、その輪郭は前よりもやわらかく、壊れそうに儚い印象に映った。「……司」 名前を呼ぶと、彼はゆっくりと振り返る。目が合った瞬間、司の瞳がほんの一瞬、驚きに揺れる――そして、すぐに安堵の色が広がった。言葉を交わさずとも、確かに伝わる表情だった。「陽……来てくれたんだ」 その声は、喜びに満ち溢れるピアノの高音のように軽やかに聞こえたことで、俺は自然と微笑む。「はい。また、調律に来ました」 司の口元に、ごく小さな笑みが

  • BL小説短編集    第二章:傷の音5

    *** リビングのソファに、向かい合って座る。間に置かれたティーカップは、口をつけてもすぐ冷めてしまうほど、熱のやりとりがまだたどたどしい。 九条さん――いや司が、ひとつ呼吸をおいた。「昔ね。僕には“音楽しかない”って時期があった。家の事情とかいろいろ……まあ音楽に携わる人間なら、よくある話だけど」 笑おうとしたその顔に、どこか陰りが差す。俺は黙って耳を傾けた。「ピアノの前にいれば、音に集中するだけでよかった。誰かにどう思われるか、なにを失うか……そういう雑念が、全部音に溶けていく気がした」 「……はい」 「でもね一度だけ、全部壊れかけたことがあるんだ。大きな演奏会でミスして。それだけならよくあることなんだけど、僕は……そこから立ち直れなかった」 その言葉に、思わず目を見開く。完璧なピアニスト九条司が、そんな脆い瞬間を持っていたなんて。「ひとつの音がズレただけで、世界が簡単にぐらついた。僕には“それしかない”と思ってたから。なのにその音さえ、ちゃんと弾けなかった」 「司さん」 「司って呼んで」 訂正された瞬間、頬が僅かに熱くなる。小さく頷き、声を絞り出す。「……司」 「うん。ありがとう」 その小さな“ありがとう”に、確かな痛みと感謝が混じっていた。「それからは怖かった。コンサートを開くことも、誰かと深く関わるのも、またなにかを失うのも……でも陽は違った」 司は俺の名前を呼び、嬉しそうに瞳を細めた。「気づいたら、君に話しかけてた。君が来た夜は、不思議と音が温かかった。よく眠れたんだ」 その言葉に、胸の奥でなにかが熱を灯す。まるで調律がうまくいったときの、ピアノの弦が震えるような静かな喜び。「俺はただ、調律をしただけです。でも、もし少しでも司が“音を好きでいられる”手伝いができてるなら、すごく嬉しい」 司が目を伏せる。そのまま、少し肩を揺らして笑った。その笑みには、どこか切なげな光が宿っていた。「ねぇ、陽」 「はい」 「――また、来てくれるだろうか?」 まっすぐな問い。でもそれは、音を確かめるように揺らめいたものだった。「もちろんです。何度でも来ます」 俺の言葉に、司の肩がほんの少し緩む。その表情に今まで見えなかった素顔が、静かに滲んだ気がした。「ありがとう……その言葉、今の僕には、ずるいくらい沁みる」 司は冷

  • BL小説短編集    第二章:傷の音4

    *** 数日ぶりに訪れた九条さんの家は、この間と違う空気をまとっていた。 扉の奥から出てきた彼は相変わらず綺麗で、いつもどおりの穏やかな微笑みを浮かべる。けれどその笑みが妙に遠く見えたのは、気のせいだろうか――あの夜の親密さが、今日は薄い膜の向こうに閉じ込められているみたいに感じる。「芹沢くんお疲れさま。外は暑かっただろう? 中へどうぞ」 玄関からリビングに通されるまでの数メートルが、やけに長く感じる。 前回来たときは、こんなふうじゃなかった。あの夜のぬくもり――指先すれすれの熱は、今はもう空気のどこにも残っていない。ただ、サンダルウッドの香りだけが微かに漂う。 九条さんはすぐにピアノの前に立ち、背を向けたまま、いつもの軽やかな調子で話す。「この前の調律、すごく良かった。低音、まるでピアノが生まれ変わったみたいだった」 「ありがとうございます……でも、もしまたなにかあれば遠慮なく」 そこまで言うと、彼がこちらを振り返った。 笑っていた。でもその目には、前とは違う曇りがある。まるで、あの夜のことを全部“なかったこと”にしようとしているような――。「芹沢くんも本番前とか、緊張するのだろうか?」 「あ、はい。たまに」 「そう。僕もね……そういう夜は、音のないところに行きたくなる」 その言葉は、あの夜の「眠れない夜」の話と似ていた。だが、明らかに温度が違う。あの夜は脆く、触れれば崩れそうなほど近く感じたのに、今はどこか他人行儀で、心をなぞるだけの言葉に思えた。(……あれは、夢だったのだろうか) 手のひらに、あの日のコーヒーカップの感触が残っている気がするのに。俺の中では、まだ終わっていないのに。「九条さんは……あの夜のこと、覚えてますか?」 意を決して口にした瞬間、鍵盤に触れている九条さんの指がふと止まった。けれど、すぐに動き出す。鍵盤の上を軽くなぞるように。微かな単音が、部屋の静寂に溶ける。「覚えてるよ。でもあれはちょっとだけ、夜が深かったせいだね……」 まるで自分に言い聞かせるみたいに、やわらかく。だが確かに、距離を置く声だった。「僕としては、変に気を遣わせたくない。仕事の相手に、ね――」 そう言って九条さんは笑う。どこまでもやさしい顔。そのやさしさで拒まれるのが、なぜか一番堪えた。胸の奥で、なにかが軋むような痛みを感じる。

  • BL小説短編集    第二章:傷の音3

    *** 芹沢くんが帰ったあとの部屋には、静寂の中に彼の痕跡がいくつも息づいていた。 ドアの閉まる控えめな音。足音。カップがテーブルに置かれる乾いた響き――どれもすでに聞こえない音なのに、耳の奥でずっと反響する。まるで彼がこの空間に刻んだぬくもりが、夜の帳に溶けきれずに漂っているように。 調律を終えたピアノは、驚くほど素直に鳴る。さっき試した低音も、ただ静かに、だが確かにそこにあった――とても優しい音だった。 あれは偶然の癖なんかじゃない。無意識の、もっと深いところから滲んだ音。芹沢くんの指がそれを選んだ。彼自身がまだ知らないままに。(彼の音には、温度がある――) 冷静で真面目で、まっすぐすぎるくらいの青年。なのにピアノを調律する指先は、まるで誰かを救おうとするような音を引き出す。自分では気づかないまま、誰かの心をそっと包むような音を。 そんな音に触れたのは、いつぶりだろう。誰かの奏でるものでも、自分の演奏でもない。ただひとつの音が胸の奥にじんわりと染みて、深いキズの輪郭をなぞるような感触。 ピアノの鍵盤と同じモノクロの世界で生きる僕に、鮮やかな色彩を与えてくれるなんて。(……ズルいな、あれは――あんな音を持ちながら、僕の心に無造作に触れた。本人はきっと、気づいていないくせに)「まさに、魔性の男と表現したらいいかもな」 口に出して呟き、苦笑する。 弱いところなんて、見せるつもりはなかった。あんな言葉を、本当は言うべきじゃなかったというのに。“誰かが僕を抱きしめてくれたら”――なんて馬鹿みたいだ。今さらそんなことを思っても、どうにもならないのに。 でも彼は目を逸らしただけで、笑わなかった。なにかを悟ったような顔で、ただ静かに黙っていて。問い返さず、騒がず、逃げもせず――ただ、そこにいてくれた。(……だからだ)“司”と呼んでほしかった。誰でもないこの名前で、ステージの外の自分を見てほしかった。「ピアニスト・九条司」という虚飾を脱いだ、本当の僕の姿を。きっと彼なら、気づいてくれると思ってしまったから。 指先にカップの縁に触れたときのぬくもりが、まだ残っている気がする。ほんの僅かに、触れかけただけの熱。直接彼に触れられなかったからこそ、余計にその感触が心に焼きつく。(陽――) 彼の名前を、声に出さず心の中で呼んでみる。その響きは、彼の音

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