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第7話「救いの一打」

Author: 辻野幸枝
last update publish date: 2026-07-26 06:33:22

 雀荘の空気は、いつもよりも一段と張り詰めていた。煙草の煙が薄くたなびき、牌を叩く音とざわめきが入り混じる中で、ひとつの卓だけが静寂に包まれているように見えた。

そこに座るのは、貧民街出身の見習い雀士、ミミ。彼女は額に薄く汗を浮かべ、険しい表情で牌を睨みつけていた。対局相手は中年の男。どこか貴族の品位を感じさせるが、その顔には冷酷な笑みが張り付いている。男の名はエドガー。王都の裏社会では名の知れた人物で、巧みなイカサマと容赦ない心理戦で多くの者を打ち破ってきた。

「ミミ、お前の負けだな」

男は余裕の声で言った。彼の表情には、ミミを|嘲る《あざける》ような|侮蔑《ぶべつ》の色が滲んでいた。

ミミは焦ったように牌を動かしながらも、動揺が隠せない。彼女はエドガーの心理戦に完全に飲み込まれ、自分の打ち筋を見失っていた。

「くっ!……こんなはずじゃ……」

その時、リリィが卓の隅から声をかけた。

「ミミ、冷静に。焦っても何もいいことはないわ」

その声は、張り詰めた卓の空気を少しだけ緩める力を持っていた。ミミは顔を上げ、リリィの顔を見て、少しだけ落ち着きを取り戻した。

「でも、相手の手が強すぎる…
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