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9.強制ピアス

Penulis: 神木セイユ
last update Terakhir Diperbarui: 2025-08-07 17:00:00

 蛍が中を覗き込むと、その中に入っていたのはたった一枚の写真。そして大きな鉈。子供用の純白のワンピースドレスだった。

「何 ? これ、女児用…… ? こんなの一体なんの為にここに……あ.……」

 口にしてからすぐ思い出す。

 真理の話ではルキは幼少期、母親の意向で男娼をしていた暗い過去。

 そしてMに指定された日、白いドレスで鉈を凶器に子飼いのクロウを惨殺した事。

「やっぱりね。真理さん、ケイには話したのか。意外だな」

「どうしてこれを俺に見せるんだ ? 」

「俺さ。猫にルキって名付けられても別に気にならないんだ」

「気味が悪いってないの ? 自分の名前じゃん」

    ルキは微笑むと、ただ黙って蛍を見つめる。

「な、なんだよ別にペットの名前なんか俺には関係ないけどさ」

    慌てて取り繕う蛍をよそに、ルキはただ穏やかな瞳で蛍に言葉を投げかける。

「ケイ、俺の本当の名前。教えてあげる」

「え…………本当のって ? ルキは偽名なのか ? 」

「俺の名は…… 李  累 。本当の流希は今はいないんだ」

 この時、蛍はルキの歪みの原因を理解した。ルキも自分の過去を自ら話したのは真理以外、蛍だけだった。

「ルイとルキ…… ? じゃあ、あんた。死んだ兄貴の名前を名乗って、本来の自分を捨てたのか ? 」

『ルキ』は死んだはずの双子の兄。

 自分はルキを名乗り、ルイと呼ばれた人生を捨てた人間。

「さてと……」

 ルキはコルセットの後ろからて手枷を取り出すと蛍の腕を拘束した。

 ガシャリ ! 

「 はぁっ !!? 何すんだよ ! 

 だいたい、それであんた納得してんのか ? 」

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