UNLOVING YOU

UNLOVING YOU

last updateLast Updated : 2022-09-11
By:  cceruleannnOngoing
Language: Filipino
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Synopsis

Fleur Garnet Harisson is an in-demand super model who has an issue about her, aborting her baby. She came back to the Philippines from Germany after 5 years of being away. As soon as she came home, her ex-fiancé, Rhysand Huecel Velarde forced her to be the step-mother inlaw of Rhysand's daughter, Vanilla.

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Chapter 1

Prologue

 「先輩! 絶対にその人の刃物に触れないでください!」

 鼓膜を|劈《つんざ》くような、切羽詰まった少女の警告。その声が響き渡ると同時、少年の喉が、ひゅっと鳴った。

 眼前に立ちはだかるのは、虚ろな眼でこちらを睨みつける、一人の男。その手には、鈍色のサバイバルナイフが握られ、尋常ならざる気配を放っている。

 「彼の周囲には……彼に殺された人たちの、怨霊が渦巻いて漂っています!」

 少女の言葉が、現実感を伴って脳髄に突き刺さる。

 「その怨念が、ナイフを、ただの凶器じゃない……“呪われた霊の武器”として成り立たせてしまっているんです!」

 あれを浴びれば、命はない。

 その事実だけが、冷たく思考を支配する。掌にじっとりと汗が滲み、指先が微かに震えていた。

 これまで遭遇してきた不成仏霊とは、魂の在り方がまるで違う。明確な殺意と、それを実行する手段を、その霊は確かに保有していた。

 ──ダンッ!

 鋭い踏み込みの音。男の身体が、獣じみた俊敏さで宙を舞う。

 空気を裂き、ナイフが横薙ぎに閃いた。少年はほとんど反射で後ろへ飛び退く。凶刃が鼻先を数ミリで掠め、ぞっとするような冷気が肌を撫でた。

 「……遅ぇよ、ガキが」

 掠れた、嘲るような声。

 次の瞬間、背後から風を裂く音。そして、左腕に走る、灼けるような鋭い痛み。

 「……っ!」

 呻きが、少年の唇から漏れた。咄嗟に庇った腕の袖が裂け、赤黒い血が迸る。骨には達せずとも、傷は決して浅くはない。

 それは、生と死が瞬時にせめぎ合う闘諍《とうじょう》。

 そして、彼らが否応なく歩むこととなる茨の道、その現実の一端に他ならなかった。

 だが──全ての始まりは、そこにはない。

 もっとずっと静かで、穏やかな春の風が吹く日々の内にこそ、その根は芽吹いていた。

 これは、一人の少年と一人の少女、二つの魂の邂逅の記録。

 そして、千年の呪いをその血に宿し、千年の祈りをその身に受けた、宿業の物語である。

 ***

 ──桜織市の日々──

 柔らかな風が、春の訪れをそっと街へと運んでくる。桜の花びらが、まるで空に溶けていくかのようにふわりと舞い上がり、優しい陽射しが、この街全体を祝福するように包み込んでいる。

 ここ、桜織市《さくらおりし》は、風穂県《かざほけん》のなだらかな平野部に広がる、どこまでも穏やかな表情をした町だ。

 遠い昔、この土地に最初に根付いた桜の木々が、毎年春になると美しい花を咲かせ、そこに住まう人々を、ずっと静かに見守ってきたという。

 言い伝えによれば、街を見下ろす丘の上に佇む桜織神社《さくらおりじんじゃ》に宿る古き神が、その身を削って桜の枝に聖なる命を吹き込み、この町を災いから護ってきたのだ、と。

 川沿いに続く桜並木が、長い冬の眠りからゆっくりと目を覚まし始める。そして、春風がそよぐたび、無数の花びらがはらはらと舞い落ちて、地面に淡く、美しいピンク色の絨毯《じゅうたん》を敷き詰めていく。

 その一瞬一瞬が、まるで小さな幸せをそっと閉じ込めた、一枚の絵画のようだった。

 新学期の、少しだけ浮き足立った朝。

 僕が自分の教室に足を踏み入れると、大きな窓から差し込む朝の陽射しが、まだ誰のものでもない真新しい机の表面に、柔らかく落ちていた。小さな光の粒が、空気中に漂う微かな埃と一緒に、きらきらと静かに揺れている。

 少し離れた場所からは、クラスメイトたちの他愛ない笑い声が微かに漂ってきて、まだ糊の匂いが残る新しい制服の香りが、春の甘い空気とそっと混じり合っていた。

 自己紹介は、特に目立つこともなく、当たり障りなく簡単に済ませて。僕にとっての、ごくごく平凡な一日が、また静かに流れ始めた。

 ***

 昼休み。購買で買った焼きそばパンを頬張りながら、僕は数人の友人と、本当にたわいもない話をしていた。

 「なぁ、今年は何か面白いこととか、あったりすんのかなぁ?」

 誰かが、期待と少しの気怠さを込めた声で、笑いながら呟く。

 僕は、その言葉に小さく首を横に振り、「別に、これまで通り、普通でいいよ」と答えた。

 そんな、何の変哲もない時間が、僕の胸に、温かい綿のようにそっと積もっていく。

 教室の窓の外には、小高い丘の上に鎮座する桜織神社の、あの大きな桜の古木──桜翁が、春の柔らかな光の中で、穏やかに枝を揺らしているのが見えた。

 なぜだろう、あの桜翁の方を見ると、時折、誰かに呼ばれているような……そんな不思議な感覚に襲われることがある。

 (この不思議な感覚は一体……。)

 ***

 放課後。

 騒がしい昇降口を抜け出すと、西に傾いた夕陽が、校庭全体を淡い金色に染め上げていた。

 その先には、桜織市で最も古く、そして最も大きな桜の木として、皆から慕われている桜翁。そして、その向こうの、夕闇が迫る森の奥には──古社、桜織神社が静かに佇んでいる。

 教室の窓からも毎日見えていた桜翁《さくらおきな》が、今はもうその枝いっぱいに見事な花を咲かせ、茜色の夕陽に照らされて、風にその薄紅の花びらを揺らめかせている。

 神社の周辺は、いつ来ても、どこか他とは違う、凛とした特別な空気が漂っているように感じられた。

 「昔から、この土地を見守り続ける、静かで力ある守り手が宿っているんだよ」

 ──そんな、この町に古くから伝わる噂話が、ふと春の夕風に混じって、僕の耳に届いた気がした。

 そしてまた、あの桜翁の方から、僕を呼ぶような、微かな気配を感じる。

 その時だった──。

 夕陽がまさに地平線に触れようとする、その瞬間。

 桜翁の、太く逞しい幹の根元に、ふわりと舞い落ちる花びらの中に、まるで最初からそこにいたかのように、一人の少女が、静かに立っていた。

 茜色の光に照らされたその横顔は、どこか儚げで、そして息をのむほどに透き通るように美しかった。|艶《あで》やかな茶色の髪が、ポニーテールに一つでまとめられていて、春の夕風に、その毛先が揺れるたび、なぜだか見ていて胸が締め付けられるような、どこか切なげな雰囲気を漂わせていた。

 その姿が、満開の桜と、燃えるような夕陽の光と、そして神社の持つ静謐な空気の中に、一枚の絵画のように、音もなく、ただ静かに、そこに在った。

 その、あまりに美しい光景に僕の目が、釘付けになって、どうしても離せなくなってしまった。

 ──ああ。その、あまりに静かな|邂逅《かいこう》こそが、永い永い旅路の始まり。

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