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第38話《条件に辿り着く》

last update publish date: 2026-05-13 00:35:49
午前。

良太の部屋は、いつもより広く見えた。

机の上に並んでいたフィギュアが消えている。棚にも残っていない。箱を置いていた場所には、埃のついていない四角い跡だけが残っていた。

黒いドレス姿のレイラは、その空いた棚の前に立っている。

幽霊は部屋を散らかさない。何かを触るわけでもない。

ただ、時間だけが過ぎる。

やがて玄関の鍵が鳴った。

ドアが開き、良太が戻ってくる。

手には空になった買取袋。肩が落ちていた。

「……売ってきた」

レイラが振り返る。

「そう」

良太は財布を取り出し、中身を確かめた。

「全部で七万ちょい。思ったより安かった」

レイラは空になった棚を見る。

「移動には足りるわ」

「……だろうな」

財布を閉じる音が、小さく部屋に響いた。

良太も棚を見る。

「俺の宝物、交通費になったわけだ」

「無駄にはしない」

「そういう問題じゃねぇんだけどな」

怒っているわけではない。

かといって、笑えるわけでもなかった。

五年間、何も進まなかった時間の中で少しずつ集めてきたものだった。仕事をしなくても、人と会わなくても、部屋から出なくても、あれだ
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